会社法で求められる会計とは

会社法では、全ての株式会社に各事業年度に係る計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表)及び事業報告並びに計算書類の付属明細書と事業報告の付属明細書を作成することを義務付けています。(会社法435条第2項、会社計算規則第59条)
これは主に、株式会社の利害関係者である株主及び債権者保護のため、営業上の財産及び損益の状況を明らかにすることを目的としています。
計算書類等については、主に会社計算規則に定められた規則をベースとし、『一般に公正妥当と認められる企業会計の基準』に従い作成します。
『一般に公正妥当と認められる企業会計の基準』が何かについては、会社法及び会社計算規則は特に規定していません。『一般に公正妥当と認められる企業会計の基準』とは、幅広い概念であって複数存在するものとされているため、どのようなものが含まれるかは明言できないものであるとされています。(会社法431条、会社計算規則会社計算規則第3・59条)
ただし、監査基準委員会報告書第24号では、下記のようなものが含まれると例示されています。
【一般に公正妥当と認められる企業会計の基準の例示】

企業会計審議会又は企業会計基準委員会から公表された会計基準

企業会計基準委員会から公表された企業会計適用指針及び実務対応報告

日本公認会計士協会から公表された会計制度委員会等の実務指針及びQ&A

一般に認められる会計実務慣行 (監査基準委員会報告書第24号付録2)
また、同じく監査基準委員会報告書第24号には、明確な企業会計の基準が無い場合等、参考になるものとして、下記のようなものが例示されています。
【明確な企業会計の基準が無い場合の参考例】

日本公認会計士協会の委員会研究報告(会計に関するもの)

国際的に認められた会計基準

税法(法人税法等の規定のうち会計上も妥当と認められるもの)

会計に関する権威のある文献 (監査基準委員会報告書第24号付録2)
会社法で作成が義務付けられる計算書類は、同じく金融商品取引法で義務付けられている財務諸表と『キャッシュ・フロー計算書』を作成しなくてもよいという点で異なります。また、決算書の表示のルールが少し異なる部分があります。ただしそれ以外の内容については、両者とも単一の会計帳簿をベースに『一般に公正妥当と認められる企業会計の基準』に基づき作成されているため、同一のものとなります。