金融商品取引法で求められる会計とは

金融商品取引法では、株式を公開している株式会社や一定額以上の有価証券を発行・募集する株式会社に、会社法の計算書類とは別に『有価証券報告書』又は『有価証券届出書』を作成して内閣総理大臣に提出することを定めています。(金融商品取引法第24条)
これは主に、一般投資家保護のため、投資判断に必要な情報を開示することを目的としています。
有価証券報告書には、企業情報として、企業の概況、事業の状況、設備の状況、提出会社の状況、経理の状況、提出会社の株式事務の概要、提出会社の参考情報が、その他に提出会社の保証会社等の情報及び監査報告書が含まれます。
このうち会計情報としては、“経理の状況”の中に財務諸表(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、付属明細表)及び主な資産及び負債の内容を記載しなければなりません。
財務諸表の作成においては、財務諸表等規則で定められた財務諸表の用語、様式及び作成方法をベースとし、財務諸表等規則に定めの無いものについては『一般に公正妥当と認められる企業会計の基準』に従い作成します。(財務諸表等規則第1条)
『一般に公正妥当と認められる企業会計の基準』が何かについては、会社法及び会社計算規則は特に規定していません。『一般に公正妥当と認められる企業会計の基準』とは、幅広い概念であって複数存在するものとされているため、どのようなものが含まれるかは明言できないものであるとされています。(会社法431条、会社計算規則会社計算規則第3・59条)
ただし、監査基準委員会報告書第24号では、下記のようなものが含まれると例示されています。
【一般に公正妥当と認められる企業会計の基準の例示】

企業会計審議会又は企業会計基準委員会から公表された会計基準

企業会計基準委員会から公表された企業会計適用指針及び実務対応報告

日本公認会計士協会から公表された会計制度委員会等の実務指針及びQ&A

一般に認められる会計実務慣行 (監査基準委員会報告書第24号付録2)
また、同じく監査基準委員会報告書第24号には、明確な企業会計の基準が無い場合等、参考になるものとして、下記のようなものが例示されています。
【明確な企業会計の基準が無い場合の参考例】

日本公認会計士協会の委員会研究報告(会計に関するもの)

国際的に認められた会計基準

税法(法人税法等の規定のうち会計上も妥当と認められるもの)

会計に関する権威のある文献 (監査基準委員会報告書第24号付録2)
金融商品取引法で作成が義務付けられる財務諸表は、同じく会社法で義務付けられている計算書類と『キャッシュ・フロー計算書』を作成しなくてはならないという点で異なります。また、決算書の表示のルールが少し異なる部分があります。ただしそれ以外の内容については、両者とも単一の会計帳簿をベースに『一般に公正妥当と認められる企業会計の基準』に基づき作成されているため、同一のものとなります。