役員貸付金を役員報酬からの控除により回収した場合の会計処理

【役員貸付金を役員報酬からの控除により回収した場合の会計処理】

役員報酬の支払の仕訳で、返済された金額を『役員貸付金』等からマイナスする

≪仕訳イメージ≫
(役員報酬)XXX (役員貸付金)XXX
        (預り金)XXX
        (普通預金)XXX
貸付金は一般的には現金や預金で返済されますが、役員貸付金の場合は、役員報酬から控除する形で返済をするケースもあります。

役員報酬から控除して返済を受ける場合は、役員報酬総支給額から、源泉所得税等の預り金、役員貸付金の返済額、貸付金利息を受け取る場合はその受取額等を控除して、残額を役員へ現金預金等で支払います。

そのため、役員報酬支給総額を『役員報酬』として費用計上した相手勘定で、『役員貸付金』をマイナスすると同時に、預かった源泉所得税等の控除額を『預り金』等で負債計上し、支払額を現金預金等の勘定からマイナスする仕訳を計上します。
【参考文献】
仰星監査法人(2023)『勘定科目別仕訳処理ハンドブック/Ⅰ流動資産-貸付金134役員への貸付けと回収』株式会社清文社
下記では、役員貸付金を役員報酬からの控除により回収した場合の会計処理について、具体例を使用してご紹介します。 【参考文献】
仰星監査法人(2023)『勘定科目別仕訳処理ハンドブック/Ⅰ流動資産-貸付金134役員への貸付けと回収』株式会社清文社
前提条件
A社はX1年4月26日に役員Bに対して、下記の条件で貸付を行っている。

・貸付期間はX1年4月26日~X1年6月25日の2カ月間である
・貸付額は500千円である
・当該貸し付けに対しては、金銭消費賃貸借契約書を
 取り交わしてる
・X1年6月25日に返済日を迎え、役員Bに対する6月分の
 役員報酬から元本500千円及び利息1千円を
 控除して
 役員報酬を支払った
・役員Bに対する6月分の役員報酬は1,000千円、
 源泉所得税等の控除額は200千円であった
・A社の給与支払日は毎月25日である
① X1年6月25日(報酬支払&返済時)
借方 貸方
役員報酬 1,000千円千円※1 役員貸付金 500千円※2
貸付金利息 1千円※3
預り金 200千円※4
普通預金 299千円※5
※1役員Bの6月分報酬総額
※2役員貸付金返済額
※3役員貸付金に対する利息受取額
※4源泉徴収税等の預り額
※5役員Bへの支払額
役員報酬総額を役員報酬として費用計上し、相手勘定で、返済された役員貸付金、受け取った貸付金利息、源泉徴収の預り金を計上し、貸借差額を普通預金からマイナスします。
次のページでは、役員貸付金の利息の損益計算書上の表示について具体的にご紹介します。