前受収益とは

前受収益は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合に、いまだ提供していない役務に対して支払を受けた対価のことをいいます。

全ての収益は、発生した期間に正しく割り当てられるように処理しなければならないため、このような収益は、当期の損益から除外し、翌期以降の収益として計上しなければなりません。

このように、適正な期間損益を算定するために、前払・未払の費用収益を経過的に計上する勘定科目を、『経過勘定』と呼びます。

経過勘定には、前受収益の他に、前払費用、未払費用、未収収益が有ります。
【前受収益とは】

一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合に、いまだ提供されていない役務に対し支払われた対価
※経過勘定の一種
前受収益と混同しがちな勘定科目に、前受金があります。

前受金は、『継続して役務の提供を行う』場合以外の前受を計上する勘定科目であるのに対して、前受収益は『継続して役務の提供を行う』場合に使用する勘定科目であるという点で、両者は異なります。
比較対象 相違点

前受金

前受金 :『継続した役務提
     供』以外に対する
     前受

前受収益:『継続した役務提
     供』に対する前受
(企業会計原則第二の一のA・注5)
下記では、前受収益の会計処理について、具体例を使用してご紹介します。
前提条件
A社は保険業を営んでおり、下記の取引を行った。
・X1年4月1日に向こう2年分の保険料20,000千円の支払いを
 受けた
・A社の当期の決算日はX2年3月31日
【A社の会計処理】
① X1年4月1日(保険料受取時)
借方 貸方
現金預金 20,000千円※1 売上高 10,000千円※2
前受収益 10,000千円※3
※1保険料受取額
※2保険料受取額20,000千円÷24カ月(2年)
  ×12カ月(X1年4月1日~X2年3月31日)
※3保険料受取額20,000千円-売上高計上額10,000千円
当期の期間に帰属する保険料は、売上高としてし、翌期以降の期間に帰属する保険料は、前受収益として負債計上します。
② X2年4月1日(翌期首)
借方 貸方
前受収益 10,000千円※3 売上高 10,000千円※3
※3前期前受収益計上額
前受収益として計上していた金額の内、当期に帰属する部分を戻入計上して、売上高として収益計上します。
次のページでは、前受収益に対する重要性の原則の適用について具体的にご紹介します。