所有権移転外ファイナンス・リース取引で利息相当額の総額を
リース期間中にわたり定額で配分する方法(貸手/第2法)

Question
所有権移転外ファイナンス・リース取引の貸手で、リース取引に重要性が無いと判定されたため、リース料に含まれる利息相当額をリース期間にわたり定額で配分する簡便的な会計処理を採用しようと考えています。当社は貸手の会計処理として、第2法を採用しています。このような場合、具体的な会計処理はどのようにしたらよいでしょうか?
【Answer】
ファイナンス・リース取引の貸手における利息相当額は、原則としてリース期間にわたって利息法により収益認識します。(企業会計基準第13号リース取引に関する会計基準14項)
所有権移転ファイナンス・リース取引については、この原則の利息法での処理のみが認められております。それに対して、所有権移転外ファイナンス・リース取引では、リース取引に重要性が乏しいと認められる場合は、簡便的に利息相当額をリース期間にわたって定額で収益認識することが認められています。(リース取引に関する会計基準の適用指針59・125・126・127項)
以下では、具体例を使用して利息相当額の各期への配分を定額法による方法の貸手の第2法の会計処理をご紹介します。(参考:リース取引に関する会計基準の適用指針【設例1-2-②】)
前提条件
A社は物件Xを下記の条件でB社へリースする契約を締結しました。
・所有権移転条項無し
・割安購入選択権無し
・リース物件は特別仕様ではない
・解約不能リース期間3年
・物件Xの購入価額は25,000千円
・リース料年額10,000千円(受取は1年ごとに後払),
 リース料総額30,000千円
・リース物件の経済的耐用年数5年
・貸手における物件Xの見積り残存価額はゼロ
・当該リース取引についてはA社において重要性が無いと
 判定され、
 利息相当額を定額で各期に配分する方法により
 会計処理を行う
・リース取引開始日はX1年4月1日
・A社の決算日は3月31日
【現在価値基準による判定】
(貸手の計算利子率の算定)
10,000千円÷(1+r)+10,000千円÷(1+r)^2+10,000千円÷(1+r)^3=25,000千円
r=9.70%

(リース料総額の現在価値)
10,000千円÷(1+0.097)+10,000千円÷(1+0.097)^2+10,000千円÷(1+0.097)^3=25,000千円

リース料総額の割引現在価値25,000千円÷現金販売価額25,000千円=100%≧90%

【経済的耐用年数基準による判定】
リース期間3年÷経済的耐用年数5年=60%<75%

【リース取引の判定結果】
解約不能条件有のため、ノンキャンセラブルの要件を満たします。

経済的耐用年数基準では75%に満たないため要件を満たしませんが、現在価値基準が90%のためフルペイアウトの要件を満たします。

所有権移転条件、割安購入権なく、リース物件は特別仕様ではないため所有権移転外に該当します。

上記の結果により、当リース取引は所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当すると判定されます。
【A社の会計処理】
① X1年4月1日(リース取引開始日)
借方 貸方
リース投資資産 25,000千円※1 買掛金 25,000千円※1
※1物件Xの購入価額
リース物件の購入と同時に、その購入価額をリース投資資産として計上します。
② X2年3月31日(第1回リース料受取日&決算日)
借方 貸方
現金預金 10,000千円※2

売上原価 8,333千円※3
売上高 10,000千円※2
リース
投資資産 8,333千円※3
※2受取リース料
※3受取リース料10,000千円から、利息相当額((30,000
  千円-25,000千円)÷3年=1,667千円)を差し引いた額
回収したリース料は全額売上高に計上します。それと同時に、リース料の内元本返済相当額を売上原価に計上し、リース投資資産を減額します。売上高と売上原価の差額の利息相当額がその期間の利益として計上されます。
③ X3年3月31日(第2回リース料受取日&決算日)
借方 貸方
現金預金 10,000千円※2

売上原価 8,333千円※3
売上高 10,000千円※2
リース
投資資産 8,333千円※3
※2受取リース料
※3受取リース料10,000千円から、利息相当額((30,000
  千円-25,000千円)÷3年=1,667千円)を差し引いた額
第1回リース料受取日と同様の仕訳を行います。
④ X4年3月31日(第3回リース料受取日&決算日)
借方 貸方
現金預金 10,000千円※2

売上原価 8,334千円※3
売上高 10,000千円※2
リース
投資資産 8,334千円※3
※2受取リース料
※3受取リース料10,000千円から、利息相当額((30,000
  千円-25,000千円)÷3年=1,666千円)を差し引いた額
第2回リース料受取日と同様の仕訳を行います。リース料の最終回収日の仕訳を計上すると、リース投資資産の残高はゼロとなり、リース取引が完了します。
次のページでは、所有権移転外ファイナンス・リース取引で利息相当額の総額をリース期間中にわたり定額で配分する方法(貸手/第2法)をご紹介します。