事業税とは

事業税の定義

「事業税」とは、地方税法の規定に基づく税金であり、法人が行う事業に対して都道府県が課すものをいう。 (法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準
第4項(4))

事業税とは、法人が事業を行うにあたって利用している道路や港湾、消防、警察など様々なサービスや公共施設について、その経費の一部を負担する目的で課税する税金です。

法人の事業所に対して地方自治体(都道府県)が課しており、各地方自治体に納付します。
事業税は原則として、事業を行っている全ての法人に課されます。

そのため、株式会社・有限会社・合名会社・合資会社・医療法人・企業組合などの普通法人及び、農業協同組合、労働者協同組合、信用金庫などの協同組合等については、課税対象になります。

また、宗教法人・財団法人・社団法人・学校法人などの公益法人についても、収益事業を行っている場合はその収益事業についてのみ課税対象となります。

さらに、PTA・同窓会・実行委員会など人格のない社団については原則として課税対象外ですが、収益事業を行って収益を得た時のみ、課税対象となります。

それに対して、地方公共団体・国民金融公庫・国立大学法人などの公共法人については、課税対象外とされています。
組織の種類 課税の有無

普通法人

課税対象

協同組合

課税対象

公益法人

収益事業のみ課税対象

人格のない社団

収益事業を行って収益を得た時のみ課税対象

公共法人

課税対象外
事業税の額の算定方法は、法人の事業年度終了日の資本金の額又は出資金の額と法人の種類によって異なります。

事業年度終了日の資本金又は出資金の額が1億円を超えない法人、又は、公共法人等・特別法人・人格のない社団・みなし課税法人・投資法人・特定目的会社・一般社団法人及び一般財団法人の場合、事業税の額は事業年度の所得の金額に事業税率を掛けて算定します。
【外形標準課税対象外の法人の事業税額の算定式】
事業税額=事業年度の所得×税率
(※税率は都道府県によって異なる)

【該当する法人】
①法人の事業年度終了日の資本金の額又は
 出資金の額が1億円を超えない法人
②公共法人等
③特別法人
④人格のない社団
⑤みなし課税法人
⑥投資法人
⑦特定目的会社
⑧一般社団法人及び一般財団法人
事業年度終了日の資本金又は出資金の額が1億円を超える上記以外の法人の場合、外形標準課税が適用され、事業税の額は、所得割、付加価値割、資本割の合計となります。

所得割の金額は所得金額に税率を乗じて、付加価値割の金額は付加価値額に税率を乗じて、資本割の金額は資本金等の額に税率を乗じて、それぞれ算出します。

ここで出てくる付加価値額とは、法人がその事業年度で生み出した付加価値を基準とした金額です。具体的には、給料・賞与・手当・退職金等からなる『①報酬給与額』、支払利子から受取利子を控除した『②純支払利子額』、土地・家屋に係る支払賃借料から受取賃借料を控除した『③純支払賃借料』(①~③の合計を収益分配額という)と、単年度損益の合計です。
【外形標準課税対象の法人の事業税額の算定式】
事業税額=所得金額×税率(所得割)+付加価値額
     ×税率(付加価値割)+資本金等の額×
     税率(資本割)
(※税率は都道府県によって異なる)

【該当する法人】
法人の事業年度終了日の資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人で下記以外

対象外の法人:公共法人等,特別法人,人格の
       ない社団,みなし課税法人,投資
       法人,特定目的会社
       一般社団法
       人及び一般財団法人

【付加価値額の内訳】
付加価値額=収益分配額(①報酬給与額+②純支
      払利子額+③純支払賃借料)+単年
      度損益

①報酬給与額=給料+賞与+手当+退職金等
②純支払利子額=支払利子-受取利子
③純支払賃借料=土地・家屋に係る支払賃借料
        -受取賃借料
事業税の算定の際に使用する税率は、各都道府県ごとに、法人の種類や課税所得、事業開始年度に分類して定められています。
事業税は法人税と同様に、納税義務者が確定申告書で申告し、納付します。申告期限についても法人税と同様に、原則として事業年度終了日の翌日から2カ月以内です。

また、事業年度が6カ月超で、かつ、前事業年度における法人税額が20万円を超える普通法人については、事業年度開始より6カ月の時点を「中間」とし、「中間」日より2カ月以内に中間申告を行わなければなりません。

さらに、前事業年度における法人税額が20万円を超えない場合であっても、事業年度が6カ月超で、かつ、外形標準課税対象法人である場合には、中間申告が必要になります。
法人の条件 申告期限

事業年度が6カ月超かつ、
外形標準課税対象法人

年度申告
事業年度終了日の翌日から2カ月以内

中間申告
事業年度開始日より6カ月翌日から
     2カ月以内

事業年度が6カ月超かつ、
前事業年度の法人税額が20万円超

年度申告
事業年度終了日の翌日から2カ月以内

中間申告
事業年度開始日より6カ月翌日から
     2カ月以内

上記以外

年度申告
事業年度終了日の翌日から2か月以内
※中間申告は不要
中間納付を行う方法は、予定申告と仮決算、みなし申告の3種類があります。

予定申告では、前事業年度の決算時に納付した事業税額をベースに計算した中間納付額を申告・納税します。

具体的には、前事業年度の決算時の事業税額を、前事業年度の月数で除した金額に6カ月を掛けて算定します。

それに対して、仮決算では事業年度開始の日以後6カ月間の短期間版の決算を行い、それをベースに中間納付額を申告・納税します。ただし、仮決算の方法で算定した事業税額が予定申告による事業税額を超える場合は、仮決算の事業税額を採用することはできません。

また、中間申告期限内に中間申告書を提出しなかった場合は、期限を経過した時にあるべき方法により中間申告がなされたとみなされて、中間事業税額が決定されます。
中間納付の方法 算定方法

予定申告

前事業年度の事業税額÷前事業年度の月数×6カ月

仮決算

仮決算の金額をベースに算定した事業税額

※ただし、予定申告で算定した金額を上回る場合は
 採用不可

みなし申告

期限内に申告書を提出しない場合、あるべき方法で算定した金額で中間事業税額が決定
次のページでは、事業年度の所得等に対する事業税の会計処理ついて具体的にご紹介します。