在外子会社等のその他の包括利益の為替換算
支配獲得時に既に計上されていた子会社のその他包括利益累計額は、投資と相殺消去されるため、連結上に登場することはありません。
それに対して支配獲得後には、支配獲得時に既に計上されていた子会社のその他包括利益累計からの増減額が、連結上のその他の包括利益となり、連結包括利益計算書、連結損益及び包括利益計算書に計上されます。
その際の、在外子会社に関するその他の包括利益の金額は、前期末の”円建”その他包括利益累計額と、当期末の”円建”その他包括利益累計額の差額で算定します。
在外子会社に関するその他包括利益累計額の各期末の円換算額は、例えばその他有価証券評価差額金の場合は期末為替相場で換算する等、その他包括利益累計額を構成する各項目に適用される為替相場に従って算定します。
それに対して支配獲得後には、支配獲得時に既に計上されていた子会社のその他包括利益累計からの増減額が、連結上のその他の包括利益となり、連結包括利益計算書、連結損益及び包括利益計算書に計上されます。
その際の、在外子会社に関するその他の包括利益の金額は、前期末の”円建”その他包括利益累計額と、当期末の”円建”その他包括利益累計額の差額で算定します。
在外子会社に関するその他包括利益累計額の各期末の円換算額は、例えばその他有価証券評価差額金の場合は期末為替相場で換算する等、その他包括利益累計額を構成する各項目に適用される為替相場に従って算定します。
【在外子会社等のその他の包括利益の連結上の取扱い】
①在外子会社の支配獲得時に既に計上されて
いたその他包括利益累計額
⇒投資と資本の相殺消去により消去
②在外子会社の支配獲得後に生じたその他
の包括利益累計額の増減額
⇒下記の金額を連結上のその他の包括利益
として計上
連結上の在外子会社等に関する
その他の包括利益額
=前期末の円建その他包括利益累計額
-当期末円建その他包括利益累計額
※各期末のその他包括利益累計額の円価
額は、その他の包括利益を構成する各
項目に適用される為替相場で算定
①在外子会社の支配獲得時に既に計上されて
いたその他包括利益累計額
⇒投資と資本の相殺消去により消去
②在外子会社の支配獲得後に生じたその他
の包括利益累計額の増減額
⇒下記の金額を連結上のその他の包括利益
として計上
連結上の在外子会社等に関する
その他の包括利益額
=前期末の円建その他包括利益累計額
-当期末円建その他包括利益累計額
※各期末のその他包括利益累計額の円価
額は、その他の包括利益を構成する各
項目に適用される為替相場で算定
(外貨建取引等の会計処理に関する実務指針第31-2・70-2項
純資産適用指針第7項)
純資産適用指針第7項)
下記では、在外子会社のその他の包括利益の連結上の会計処理を、具体例を使用してご紹介します。(参考:外貨建取引等の会計処理に関する実務指針設例10-2)
前提条件 |
---|
A社は、X1年4月1日に外国法人B社の株式を80%取得し、その支配を獲得した。
・B社はX1年4月1日時点で、X株をその他有価証券として 保有していた ・X1年4月1日時点のB社のBS上のX株評価差額金は500USD であった ・X1年4月1日時点の為替相場は@100円/USDであった ・上記以外の条件は簡便化のため省略する ・A社及びB社の決算日は3月31日 |
【A社の会計処理】
① X1年4月1日(支配獲得時の投資と資本の相殺消去仕訳)
① X1年4月1日(支配獲得時の投資と資本の相殺消去仕訳)
借方 | 貸方 |
---|---|
資本金 XXX千円
利益剰余金 XXX千円 その他有価証券評価差額金 50千円※1 のれん XXX千円 |
B社株式 XXX千円
非支配株主持分 XXX千円 |
※1支配獲得時のB社の帳簿上その他有価証券評価差額金
500USD×支配獲得時為替相場@100円/USD
500USD×支配獲得時為替相場@100円/USD
支配獲得時に既にB社で計上されていたその他有価証券評価差額金は、投資と資本の相殺消去で消去され、連結BS及びPL上に登場することはありません。
追加前提条件 |
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X2年3月31日の状況は下記の通りであった。
・X2年4月1日時点のB社のBS上のX株評価差額金は800USD であった ・X2年3月31日時点の為替相場は@150円/USDであった ・上記以外の条件は簡便化のため省略する |
② X2年3月31日(開始仕訳)
借方 | 貸方 |
---|---|
資本金 XXX千円
利益剰余金 XXX千円 その他有価証券評価差額金 50千円※1 のれん XXX千円 |
B社株式 XXX千円
非支配株主持分 XXX千円 |
※1支配獲得時のB社の帳簿上その他有価証券評価差額金
500USD×支配獲得時為替相場@100円/USD
500USD×支配獲得時為替相場@100円/USD
B社の個別BS上では、X株のその他有価証券評価差額金が総額120千円(800USD×当期末為替相場@150円/USD)が計上されていて、財務諸表を合算することで、その他有価証券評価差額金120千円は全額連結BSに計上されています。
そこに、上記の連結開始仕訳を計上することで、支配獲得時に既に計上されていたその他有価証券評価差額金が相殺消去され、連結BS上には、支配獲得後に増減したその他有価証券評価差額金70千円のみが残ります。
そこに、上記の連結開始仕訳を計上することで、支配獲得時に既に計上されていたその他有価証券評価差額金が相殺消去され、連結BS上には、支配獲得後に増減したその他有価証券評価差額金70千円のみが残ります。
③ X2年3月31日(連結修正仕訳の内、その他有価証券評価差額金の按分)
借方 | 貸方 |
---|---|
その他有価証券評価差額金 14千円※2 |
非支配株主持分 14千円※2 |
※2支配獲得後に増減したその他有価証券評価差額金70千円
×非支配株主持分比率20%
×非支配株主持分比率20%
支配獲得時後に生じたその他有価証券評価差額金70千円の内、非支配株主に帰属する部分を『非支配株主持分』勘定に振替えます。
その結果、連結BS上で残るのは、支配獲得時後に生じたその他有価証券評価差額金70千円の内、親会社に属する56千円のみになります。
上記の結果を連結包括利益計算書に落とし込むと、下記のようになります。
その結果、連結BS上で残るのは、支配獲得時後に生じたその他有価証券評価差額金70千円の内、親会社に属する56千円のみになります。
上記の結果を連結包括利益計算書に落とし込むと、下記のようになります。
【連結包括利益計算書】
当期純利益 XXX千円 その他の包括利益: その他有価証券評価差額金 70千円 包括利益 XXX+70千円 (内訳) 親会社株主に係る包括利益(XXX+70千円)×80% 非支配株主に係る包括利益(XXX+70千円)×20% |
次のページでは、在外孫会社の外貨建財務諸表の為替換算について具体的にご紹介します。