傷害保険が失効した場合の
会計処理

【保険契約の失効とは】

保険料の払込すべき期限を過ぎ、約款上定められた猶予期間も過ぎることで、生命保険契約の効力を失うこと。

※失効により契約関係は消滅する

※失効した契約であっても復活可能な所定の
 未払保険料を払込手続することで復活させ
 ることができる

※復活させた場合であっても、失効期間中の
 保険事故は保障の対象外
保険契約は、保険料の払込をすべき期限を過ぎ、約款上定められた有用期間過ぎると、その効力を失い、契約関係が消滅します。

ただし、解約が完全な消滅であるのに対して、失効の場合は、復活可能な所定の期間内に未払保険料を払い込み、一定の手続きをとることで、復活させることができます。

そのため、失効は契約の休眠状態であるといえます。

失効から回復までの間の期間を失効期間中といいますが、この間は契約関係は消滅している状態であるため、この期間に保険事故が発生しても保障の対象とはなりません。
【傷害保険が失効の会計処理】
前払保険料等と解約返戻金額 会計処理

前払保険料等>解約返戻金

■復活期間経過迄
前払保険料等と解約返戻金の差額を損金算入することは不可

■復活期間経過後
前払保険料等と解約返戻金の差額を損金算入

前払保険料等≦解約返戻金

含み益の取扱いについては、下記の2説があるが、どちらを取るかは現状では不明

①失効時点で益金に算入

②復活期間経過後に益金に
 算入
傷害保険が失効した場合の会計処理は、資産計上している支払済保険料に含み損が出ている場合(前払保険料等>解約返戻金)と、含み益が出ている場合(保前払保険料等≦解約返戻金)で異なります。

含み損が出ている場合は、復活の可能性もあるため、復活期間経過迄は前払保険料等と解約返戻金の差額を損金計上することはできず、復活期間経過後に損金の額に算入します。

含み益が出ている場合の経理処理は、現状では明確な規定がなく、失効時点に益金とする説と、復活期間経過後に益金計上する説があり、どちらの方法を選択すべきかは解釈が分かれています。
【参考文献】
国税速報平成7年7月6日第4763号会社の支払保険料と受取保険金の税務(2)
山本英生(2019)『「通達」から読み解く保険税務/第3章4⃣』税務研究会出版局
次のページでは、支払保険料が給与課税された傷害保険の解約時の会計処理について具体的にご紹介します。