傷害保険の契約内容の変更の会計処理(不足金額を支払う場合の例外法)
傷害保険の保険期間の途中で契約内容の変更が有った場合で、責任準備金相当額の不足額の精算を行う場合、原則として、その追加支払額を変更時の損金として計上すると同時に、加入当初から変更後の契約であったとして計算した変更時点での有るべき保険料の資産計上額と、実際の資産計上額の差額を、変更時に調整します。
ただし、変更前の最高解約返戻率が85%以下で、変更により最高解約返戻率が上がるものの、最高解約返戻率の区分に変更がない場合は、資産計上期間や資産計上割合は変わらないため、責任準備金相当額の精算のみを行う処理も認められます。
その場合、責任準備金相当額の追加払分を変更後の保険料に含めて処理することができます。 【参考文献】
法人税基本通達9-3-5の2(注)5
定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱いに関するFAQ[Q12]
山本英生(2019)『「通達」から読み解く保険税務/第2章3⃣(2)』税務研究会出版局
ただし、変更前の最高解約返戻率が85%以下で、変更により最高解約返戻率が上がるものの、最高解約返戻率の区分に変更がない場合は、資産計上期間や資産計上割合は変わらないため、責任準備金相当額の精算のみを行う処理も認められます。
その場合、責任準備金相当額の追加払分を変更後の保険料に含めて処理することができます。 【参考文献】
法人税基本通達9-3-5の2(注)5
定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱いに関するFAQ[Q12]
山本英生(2019)『「通達」から読み解く保険税務/第2章3⃣(2)』税務研究会出版局
傷害保険の契約内容の変更の会計処理の全体像については、下記の”傷害保険の契約内容の変更の会計処理の概要”をご参照下さい。
傷害保険の契約内容の変更の会計処理の概要
傷害保険の契約内容の変更の会計処理の概要
下記では、傷害保険の契約内容の変更に伴い、責任準備金相当額の不足額の支払を行う場合の例外の会計処理を、具体例を使用してご紹介します。
【参考文献】
山本英生(2019)『「通達」から読み解く保険税務/第2章3⃣(2)③』税務研究会出版局
山本英生(2019)『「通達」から読み解く保険税務/第2章3⃣(2)③』税務研究会出版局
前提条件 |
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A社が全従業員を対象に契約している傷害保険について、下記の契約内容の変更があった。
・X1年3月31日に保険金額の増額が行われ、変更時点で不足 している責任準備金1,000千円を支払った ・契約内容の変更時における、変更前契約に基づいて計上し てきた保険料資産計上累計額は9,200千円 である ・変更後契約に基づいて計算した、契約内容の変更時におけ る有るべき保険料資産計上累計額は 10,000千円である ・当該保険契約の最高解約返戻率は、変更前は75%、変更後 は76%である ・当該変更により最高解約返戻率の区分に変更が無いため、 責任準備金相当額の精算のみを行う ・保険期間の前半40%期間はX8年3月31日に経過予定であ |
【A社の会計処理】
① X1年3月31日(契約内容の変更時)
① X1年3月31日(契約内容の変更時)
借方 | 貸方 |
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前払保険料 600千円※2
保険料 400千円※3 |
現金預金 1,000千円※1 |
※1変更時に追加で支払った責任準備金余不足額
※2支払った不足額1,000千円×最高解約返戻率70~85%の場合
の保険料の資産計上割合3/5
※3貸借差額
※2支払った不足額1,000千円×最高解約返戻率70~85%の場合
の保険料の資産計上割合3/5
※3貸借差額
支払った責任準備金不足額のキャッシュアウトを認識するとともに、相手勘定で、支払額に最高解約返戻率70~85%の場合の保険料の資産計上割合3/5を掛けた額を前払保険料に、残額を保険料に計上します。
次のページでは、傷害保険の契約内容の変更の会計処理(余剰金額を受取る場合の原則法)について具体的にご紹介します。