傷害保険の契約内容の変更の会計処理の概要
【令和元年7月8日以降の傷害保険の契約内容の変更の会計処理】
ケース | 最高解約返戻率85%未満 | 最高解約返戻率85%以上 | |
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契約内容の変更により最高解約返戻率が高くなるが、区分は変わらない | 責任準備金相当額の精算のみを行うとしてる |
【例外の方法1】
責任準備金相当額の精算のみを行う処理が認められる。 ■不足額を支払う 場合 追加払分を変更後の保険料に含めて処理 ■余剰額を受取る 場合 既往の資産計上累積額の内、払い戻された責任準備金相当額に応じた金額を取り崩す |
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責任準備金相当額の精算、及び、保険料資産計上額の調整を行うとしている |
【原則の方法】
下記の①・②の会計処理を行う。 ①追加払・払戻しする責任準備金相当額を損金又は 益金の額に算入 ②契約当初から変更後の契約内容であった場合の 保険料資産計上累積額と、実際の資産計上 累計額の差額を損金又は益金の額に算入 |
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契約内容の変更により最高解約返戻率がより高い区分になる | |||
契約内容の変更により最高解約返戻率が低くなる | 責任準備金相当額の精算、及び、保険料資産計上額の調整を行うとしている | ||
契約内容の変更の処理をしないとしている |
【例外の方法2】
その処理が認められる。 |
法人税基本通達9-3-4~9-3-5の2の取扱いは、保険契約時の契約内容に基づいて適用されます。
保険期間の途中で契約内容の変更があった場、保険期間の内、当該変更があった時以後の期間においては、変更後の契約内容に基づいて、法人税基本通達9-3-4~9-3-5の2の取扱いが適用されます。
なお、保険料や保険金額の異動を伴う契約内容の変更の場合、変更前の責任準備金相当額と、変更後の契約内容に応じて必要となる責任準備金相当額との過不足の精算を行うのが一般的です。
これにより、責任準備金相当額は契約当初から変更後の契約内容であったのと同じ額となります。
そのため、税務上の支払保険料の資産計上累積額もこれに合わせた調整を行う必要があります。
具体的には、契約変更時において、契約変更により追加払い又は払戻しする責任準備金相当額を損金の額又は益金の額に算入するとともに、契約当初から変更後の契約内容であったとした場合の保険料の資産計上累積額を試算し、実際の資産計上累計額との差額を損金の額又は益金の額に算入します。
この契約の変更に伴う損益は、雑損又は雑益・雑収入勘定、保険料等の費用勘定で計上します。
契約変更時の会計処理による損益は、その変更時に計上し、過去に遡って修正申告を行う必要はありません。(上記表【原則の方法】)
そして、契約変更後については、変更した契約内容に基づく会計処理を行います。
原則の方法による傷害保険の契約内容の変更の会計処理の具体例は、下記のページをご参照下さい。
傷害保険の契約内容の変更の会計処理(不足金額を支払う場合の原則法)
傷害保険の契約内容の変更の会計処理(余剰金額を受取る場合の原則法)
ただし、変更前の最高解約返戻率が85%以下で、契約変更により最高解約返戻率の区分に変更がない場合は、資産計上期間や資産計上割合は変わらないため、責任準備金相当額の精算のみを行う処理も認められます。
例外の方法による傷害保険の契約内容の変更の会計処理の具体例は、下記のページをご参照下さい。
傷害保険の契約内容の変更の会計処理(不足金額を支払う場合の例外法)
傷害保険の契約内容の変更の会計処理(余剰金額を受取る場合の例外法)
その場合、責任準備金相当額の追加払分は変更後の保険料に含めて処理し、払戻については既往の資産計上累積額から払戻された責任準備金に応じた額を取り崩す処理が認められます。(上記表【例外の方法1】) 【参考文献】
法人税基本通達9-3-5の2(注)5
定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱いに関するFAQ[Q12]
山本英生(2019)『「通達」から読み解く保険税務/第2章3⃣(2)』税務研究会出版局
保険期間の途中で契約内容の変更があった場、保険期間の内、当該変更があった時以後の期間においては、変更後の契約内容に基づいて、法人税基本通達9-3-4~9-3-5の2の取扱いが適用されます。
なお、保険料や保険金額の異動を伴う契約内容の変更の場合、変更前の責任準備金相当額と、変更後の契約内容に応じて必要となる責任準備金相当額との過不足の精算を行うのが一般的です。
これにより、責任準備金相当額は契約当初から変更後の契約内容であったのと同じ額となります。
そのため、税務上の支払保険料の資産計上累積額もこれに合わせた調整を行う必要があります。
具体的には、契約変更時において、契約変更により追加払い又は払戻しする責任準備金相当額を損金の額又は益金の額に算入するとともに、契約当初から変更後の契約内容であったとした場合の保険料の資産計上累積額を試算し、実際の資産計上累計額との差額を損金の額又は益金の額に算入します。
この契約の変更に伴う損益は、雑損又は雑益・雑収入勘定、保険料等の費用勘定で計上します。
契約変更時の会計処理による損益は、その変更時に計上し、過去に遡って修正申告を行う必要はありません。(上記表【原則の方法】)
そして、契約変更後については、変更した契約内容に基づく会計処理を行います。
原則の方法による傷害保険の契約内容の変更の会計処理の具体例は、下記のページをご参照下さい。
傷害保険の契約内容の変更の会計処理(不足金額を支払う場合の原則法)
傷害保険の契約内容の変更の会計処理(余剰金額を受取る場合の原則法)
ただし、変更前の最高解約返戻率が85%以下で、契約変更により最高解約返戻率の区分に変更がない場合は、資産計上期間や資産計上割合は変わらないため、責任準備金相当額の精算のみを行う処理も認められます。
例外の方法による傷害保険の契約内容の変更の会計処理の具体例は、下記のページをご参照下さい。
傷害保険の契約内容の変更の会計処理(不足金額を支払う場合の例外法)
傷害保険の契約内容の変更の会計処理(余剰金額を受取る場合の例外法)
その場合、責任準備金相当額の追加払分は変更後の保険料に含めて処理し、払戻については既往の資産計上累積額から払戻された責任準備金に応じた額を取り崩す処理が認められます。(上記表【例外の方法1】) 【参考文献】
法人税基本通達9-3-5の2(注)5
定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱いに関するFAQ[Q12]
山本英生(2019)『「通達」から読み解く保険税務/第2章3⃣(2)』税務研究会出版局
さらに、契約内容の変更により最高解約返戻率が低くなることが見込まれる場合で、経理事務の煩雑さらか、あえて定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱いに関するFAQ[Q12]の契約内容の変更の会計処理を行わないとしてる場合は、その処理が認められます。(上記表【例外の方法2】)
【参考文献】
定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱いに関するFAQ[Q11]
定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱いに関するFAQ[Q11]
また、令和元年の改正通達の適用日前に契約した傷害保険については、改正通達の適用日以後に契約内容の変更があった場合であっても、改正前の取扱い又は廃止前の個別通達の取扱いの例によるので、改正後の取扱いは適用されません。
【参考文献】
定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱いに関するFAQ[Q13]
定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱いに関するFAQ[Q13]
次のページでは、傷害保険の契約内容の変更に該当するものとしないものについて具体的にご紹介します。