定期保険の保険金受取人を変更する場合の会計処理
【定期保険の保険金受取人を変更する場合の会計処理】
保険金の受取人を変更することで、保険料の経理処理が変更される
※法人が権利喪失する保険金受取分の保険料
資産計上額は取崩す
※被保険者の給与となる変更は、変更時点の
評価額で給与課税
【仕訳イメージ(給与となる変更のケース)】
(給与)XXX (前払保険料)XXX
(雑損失)XXX
保険金の受取人を変更することで、保険料の経理処理が変更される
※法人が権利喪失する保険金受取分の保険料
資産計上額は取崩す
※被保険者の給与となる変更は、変更時点の
評価額で給与課税
【仕訳イメージ(給与となる変更のケース)】
(給与)XXX (前払保険料)XXX
(雑損失)XXX
生命保険契約は、保険契約者が被保険者の同意を得て、保険金の受取人を契約期間中に変更することができます。
法人契約の定期保険の場合、保険金の受取人を誰にするかによって、保険料の経理処理が異なります。
そのため、保険金の受取人を変更することで、保険料の経理処理が変更されることになります。
この変更により、法人が保険金を受取る権利を喪失するケースで、対応する保険料資産計上額に残高が有る場合は、それを取り崩します。
また、保険料が被保険者の給与として取り扱われるようになる変更においては、法人が保険受取人である被保険者に対して保険契約を与えたことになるため、変更時点の評価額が、給与とみなされ、個人への給与課税が必要になります。
さらに、そのケースで、被保険者が役員である場合は、定期同額給与以外の役員給与を支給したとして、損金不算入となる可能性がるため、留意が必要です。
法人契約の定期保険の場合、保険金の受取人を誰にするかによって、保険料の経理処理が異なります。
そのため、保険金の受取人を変更することで、保険料の経理処理が変更されることになります。
この変更により、法人が保険金を受取る権利を喪失するケースで、対応する保険料資産計上額に残高が有る場合は、それを取り崩します。
また、保険料が被保険者の給与として取り扱われるようになる変更においては、法人が保険受取人である被保険者に対して保険契約を与えたことになるため、変更時点の評価額が、給与とみなされ、個人への給与課税が必要になります。
さらに、そのケースで、被保険者が役員である場合は、定期同額給与以外の役員給与を支給したとして、損金不算入となる可能性がるため、留意が必要です。
【定期保険の保険金受取人変更時の評価額】
原則/例外 | 評価額 |
---|---|
原則 |
変更時解約返戻金額 |
例外1:低解約返戻金型保険 (下記の条件を全て満たすケース) ①変更時解約返戻金額 <資産計上額×70% ②令和3年7月1日以降の変更 ③法人税法基本通達9-3-5の2 の適用対象 |
変更時資産計上額 |
例外2:復旧可能な払済保険 (下記の条件を全て満たすケース) ①復旧することのできる 払済保険 ②令和3年7月1日以降の変更 ③元の契約が法人税法基本 通達9-3-5の2の適用対象 |
変更時資産計上額+法人税基本通達9-3-7の2による損金算入額(払済保険への変更時の雑損失計上額) |
保険金受取人変更時の評価額は、原則として、その変更する際の解約返戻金の額により評価することとされています。
ただし、定期保険及び第三分野保険については、例外的な評価額を用いなければならないケースが2つ存在します。
ただし、定期保険及び第三分野保険については、例外的な評価額を用いなければならないケースが2つ存在します。
例外の一つ目は、低解約返戻金型保険であるケースです。
低解約返戻金型保険とは、解約返戻金の額が著しく低いと認められる期間(低解約返戻期間)が設けられている保険契約です。
このような保険は、低解約返戻期間終了の前後では、一回の保険料支払で返戻率が極端に上昇することがあります。
そのため、返戻率が極端に上昇する保険料支払の直前に変更を行うことで、不当に低い価額で保険契約を評価することができてしまいます。
そのような状況を防止するため、令和3年7月に所得税基本通達の改正が行われ、定期保険及び第三分野保険の内、法人税法基本通達9-3-5の2の適用対象となるもので、かつ、変更時の解約返戻金額が保険料の資産計上額の70%に相当する金額未満の場合には、解約返戻金額ではなく、変更時点の譲渡側の資産計上額で評価するとされています。
なお、この規定は改正後に実施した変更のみに適用されるため、令和3年7月1日以降の変更について適用され、それ以前の変更については、原則通り変更時の解約返戻金額で評価します。
低解約返戻金型保険とは、解約返戻金の額が著しく低いと認められる期間(低解約返戻期間)が設けられている保険契約です。
このような保険は、低解約返戻期間終了の前後では、一回の保険料支払で返戻率が極端に上昇することがあります。
そのため、返戻率が極端に上昇する保険料支払の直前に変更を行うことで、不当に低い価額で保険契約を評価することができてしまいます。
そのような状況を防止するため、令和3年7月に所得税基本通達の改正が行われ、定期保険及び第三分野保険の内、法人税法基本通達9-3-5の2の適用対象となるもので、かつ、変更時の解約返戻金額が保険料の資産計上額の70%に相当する金額未満の場合には、解約返戻金額ではなく、変更時点の譲渡側の資産計上額で評価するとされています。
なお、この規定は改正後に実施した変更のみに適用されるため、令和3年7月1日以降の変更について適用され、それ以前の変更については、原則通り変更時の解約返戻金額で評価します。
例外の二つ目は、復旧することのできる払済保険であるケースです。
一部の保険契約では、解約返戻金が低い段階で払済保険に変更し、その後保険料を支払うことで復旧することができます。
払済保険に変更する際には、資産計上額は解約返戻金相当額で評価されます。
そのため、このような契約の場合、変更前に払済保険に変更することで損失を計上し、不当に低い評価額で変更した後に、保険料を支払うことでもとの保険契約に復旧することができます。
そのような状況を防止するため、令和3年7月に所得税基本通達の改正が行われ、定期保険及び第三分野保険の内、復旧することのできる払済保険で、元の契約が法人税法基本通達9-3-5の2の適用対象となるものである場合には、解約返戻金額ではなく、変更時点の譲渡側の資産計上額に譲渡側が払済保険に変更した際に計上した損金算入額(法人税法基本通達9-3-7の2で規定)をプラスした金額で評価するとされています。
なお、この規定についても改正後に実施した名義変更のみに適用されるため、令和3年7月1日以降の変更について適用され、それ以前の変更については、原則通り変更時の解約返戻金額で評価します。
一部の保険契約では、解約返戻金が低い段階で払済保険に変更し、その後保険料を支払うことで復旧することができます。
払済保険に変更する際には、資産計上額は解約返戻金相当額で評価されます。
そのため、このような契約の場合、変更前に払済保険に変更することで損失を計上し、不当に低い評価額で変更した後に、保険料を支払うことでもとの保険契約に復旧することができます。
そのような状況を防止するため、令和3年7月に所得税基本通達の改正が行われ、定期保険及び第三分野保険の内、復旧することのできる払済保険で、元の契約が法人税法基本通達9-3-5の2の適用対象となるものである場合には、解約返戻金額ではなく、変更時点の譲渡側の資産計上額に譲渡側が払済保険に変更した際に計上した損金算入額(法人税法基本通達9-3-7の2で規定)をプラスした金額で評価するとされています。
なお、この規定についても改正後に実施した名義変更のみに適用されるため、令和3年7月1日以降の変更について適用され、それ以前の変更については、原則通り変更時の解約返戻金額で評価します。
【参考文献】
所得税基本通達36-37保険契約に関する権利の評価
中村慈美・樋口翔太(2022)『企業の保険をめぐる税務/第1章2(4)』一般財団法人大蔵財務協会
山本英生(2019)『「通達」から読み解く保険税務/第3章5⃣』税務研究会出版局
所得税基本通達36-37保険契約に関する権利の評価
中村慈美・樋口翔太(2022)『企業の保険をめぐる税務/第1章2(4)』一般財団法人大蔵財務協会
山本英生(2019)『「通達」から読み解く保険税務/第3章5⃣』税務研究会出版局
次のページでは、定期保険の生存給付金を受取る場合の会計処理について具体的にご紹介します。