一時払養老保険の会計処理

【一時払養老保険の会計処理】

支払保険料は、継続払と同様に、保険金の受取人が誰かに基づき会計処理。

ただし、福利厚生費となる部分については、期間の経過に応じて福利厚生費として損金の額に算入。

※短期前払費用に該当する場合は、継続適用
 を要件に、全額、支払事業年度の損金の額
 に計上してOK!

※役員賞与となる場合は定期同額給与に該当
 せず、損金不算入!
法人が養老保険の保険料を一時払した場合、その一時払した保険料は、通常の継続的に支払った保険料と同様に、その満期保険金と死亡保険金の受取人が誰かによって、下記のように会計処理します。
【養老保険の受取人と支払保険料の会計処理】




契約者 被保険者 満期保険金の受取人 死亡保険金の受取人 支払保険料の会計処理
法人 役員・使用人 法人 法人 保険積立金等で資産計上
役員・使用人の遺族 1/2 ⇒保険積立金等で資産計上
1/2 ⇒福利厚生費等で損金計上
   ※ただし、特定の者のみ
    に対する場合は給与
役員・使用人 役員・使用人の遺族 役員報酬・給与
法人 1/2 ⇒役員報酬・給与
1/2 ⇒福利厚生費等で損金計上
   ※ただし、特定の者のみ
    に対する場合は給与

(通達に規定がないため議論があるが、現状では上記の会計処理が一般的)
ただし、上記の内、福利厚生費となる部分については、原則として、一括払時に全額計上するのではなく、期間の経過に応じて福利厚生費として損金計上します。

なお、一時払した保険料が払込日から1年以内に到来する保険期間に係るものである場合は、法人税基本通達2-2-14で規定されている「短期前払費用」に該当するため、継続適用を要件に、全額、支払事業年度の損金の額に計上することが認められます。
また、一時払いした保険料の一部又は全部が、役員賞与となる場合は、継続払の場合と異なり、定期同額給与に該当せず、損金不算入となります。
下記では、一時払養老保険の会計処理を、具体例を使用してご紹介します。 【参考文献】
中村慈美・樋口翔太(2022)『企業の保険をめぐる税務/第1章Q&A2』一般財団法人大蔵財務協会
前提条件
A社は全従業員を対象に、10年満期の養老保険を、下記の条件で契約した。
・X1年4月1日に契約を開始し、保険料1,000千円を一時払
 した
・満期保険金の受取人は法人である
・死亡時保険金受取人は被保険者の遺族である
・A社の決算日は3月31日
① X1年4月1日(保険料支払時)
借方 貸方
保険積立金 500千円※2
福利厚生費 50千円※3
前払保険料 450千円※4
現金預金 1,000千円※1
※1一時払保険料
※2一時払保険料1,000千円×1/2
※3一時払保険料1,000千円×1/2÷10年×1年
※4一時払保険料1,000千円×1/2÷10年×9年
支払った保険料の1/2を保険積立金に計上し、福利厚生費となる残りの1/2の内、今期分を福利厚生費に、残額を前払保険に料計上します。
② X2年4月1日(翌期以降)
借方 貸方
福利厚生費 50千円※5 前払保険料 50千円※5
※3一時払保険料1,000千円×1/2÷10年×1年
当期分を前払費用から福利厚生費に振替えて、損金計上します。
次のページでは、養老保険に付加した特約の会計処理について具体的にご紹介します。