子会社株式及び関連会社株式に分類される上場株式の売却時の会計処理

【子会社株式及び関連会社株式の
            消滅の認識基準】
 約定日基準
子会社株式及び関連会社株式に分類される上場株式を売却した際には、約定日に金融資産としての消滅を認識します。

これを、『約定日基準』と言います。 【根拠資料】
企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第8・9・56・57・58・62項・(注4)
【子会社株式及び関連会社株式である
     消上場株式の売却損益の計上】

関係会社株式売却損益
=売却原価(※1)
 -対価としての受け払い額(※2)

※1売却時点の帳簿価額に基づいて算定

※2対価として新たな金融資産を取得した場合
  は、その金融資産の時価

※3関係会社株式売却損益は連結財務諸表上で
  修正される
子会社株式及び関連会社株式に分類される上場株式の消滅を認識する際には、対象の有価証券の帳簿価額を売却原価とし、その対価としての受け払い額との差額を、『関係会社株式売却損益』等の勘定科目で損益として計上します。

個別財務諸表上における売却原価は、売却時点で付されている個別財務諸表上の対象株式の帳簿価額に基づいて算定します。 (企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第11・61項)
有価証券の消滅に伴って、新たな金融資産が発生した場合には、その金融資産を時価により資産計上します。

例えば、有価証券の対価として現預金を受取った場合はもとより、回収代金として他の株や債券などの金融資産を受取った際には、その金融資産は時価で計上します。 (企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第13・63項)
上記の方法により個別財務諸表上で計上された売却損益は、連結財務諸表上で、対象の子会社の実質純資産価額に基づいて修正されます。
下記では、子会社株式及び関連会社株式に分類される上場株式の売却時の会計処理について、具体例を使用してご紹介します。
前提条件
A社は上場企業である子会社B社の株式について、下記の取引を行った。

・X1年3月30日に保有しているB社株式10,000株を一株当り
 @500円で売却する契約を結んだ
・X1年3月30日における売却予定のB社株式の、帳簿価額は
 4,500千円であった
・この売却によりB株の持分比率は65%から64%に低下する
・X1年3月31日におけるB社株式の時価は、一株当り@430円
 であった
・X1年4月2日にB社株式10,000株を引渡して、売却代金
 5,000千円を受領した
・A社の決算日は3月31日
【原則:約定日基準の会計処理】
① X1年3月30日(約定日)
借方 貸方
未収金 5,000千円※1 関係会社株式 4,500千円※2
関係会社株式売却益 
       500千円※3
※1一株当り売却価額@500円×売却株式数10,000株
※2売却したB社株式の帳簿価額
※3B社株式売却価額5,000千円-B社株式帳簿価額4,500千円
約定日に、売却したB社株式の消滅及び関係会社株式売却益を認識します。
② X1年3月31日(決算日)
仕訳なし
B社株式は消滅済みであるため、仕訳は計上しません。
③ X1年4月1日(翌期首)
仕訳なし
B社株式は消滅済みであるため、仕訳は計上しません。
④ X1年4月2日(受渡時)
借方 貸方
現金預金 5,000千円※1 未収金 5,000千円※1
※1B社株式売却価額
約定日に計上した未収金をマイナスし、受領した現金預金を計上します。
次のページでは、子会社株式及び関連会社株式に分類される上場株式の株式分割時の会計処理について具体的にご紹介します。