上場株式の保有目的別分類
【上場株式の保有目的別分類】
分類 | 保有目的&会計処理 |
---|---|
売買目的有価証券 |
【保有目的】 時価の変動による利益の獲得 ※定義及び要件を明確かつ 限定的に定めておくことが 必要 【会計処理】 BS価額:期末時価 評価差額:当期に損益計上 |
子会社株式及び関連会社株式 |
【保有目的】 支配力及び影響力の獲得 (発行総数の20%以上保有が対象) BS価額:取得原価 評価差額:発生しない ※実質は事業投資であると 考えられる |
その他有価証券 |
【保有目的】 上記以外 ≪例≫ ・他社との業務提携 ・株式の相互持合い ・長期的な時価の変動での 利益獲得目的 BS価額:期末時価 評価差額:全部資本直入法 又は 部分資本直入法 |
上場株式は、その保有目的により、『売買目的有価証券』、『子会社株式及び関連会社株式』、『その他有価証券』に分類され、それぞれで異なる会計処理が適用されます。
この保有目的による区分については、取得時の判断だけではなく、取得後も継続してその要件を満たしていることを検討することが必要です。
また、同一銘柄の有価証券を異なる保有目的区分で保有することも認められます。 【根拠資料】
企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第69項
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第59項
この保有目的による区分については、取得時の判断だけではなく、取得後も継続してその要件を満たしていることを検討することが必要です。
また、同一銘柄の有価証券を異なる保有目的区分で保有することも認められます。 【根拠資料】
企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第69項
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第59項
『売買目的有価証券』は、時価の変動により利益を得ることを、いわゆるトレーディング目的で保有する有価証券です。
企業が保有する有価証券を売買目的有価証券として分類するためには、その定義及び要件を明確かつ限定的に定めておく必要があります。
具体的には、有価証券の売買を業としていることが定款上から明らかで、かつ、トレーディング業務を日常的に遂行する独立の専門部署、関係会社、信託等によって売買目的有価証券が保管・運用されていることが望ましいとされています。
ただし、定款上の記載や明確な独立部署をもたなくても、売買を頻繁に繰り返している場合は、売買目的有価証券に該当します。
このような目的で保有する有価証券について、投資者にとっての有用な情報は有価証券の期末時点での時価に求められると考えられます。
また、売却することについて事業遂行上等の制約が無く、時価の変動による評価差額は、企業にとっての財務活動の成果と考えられます。
そのため、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は当期の損益として処理します。 【根拠資料】
企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第15・70項
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第59・65・66・67項・〔設例3〕
企業が保有する有価証券を売買目的有価証券として分類するためには、その定義及び要件を明確かつ限定的に定めておく必要があります。
具体的には、有価証券の売買を業としていることが定款上から明らかで、かつ、トレーディング業務を日常的に遂行する独立の専門部署、関係会社、信託等によって売買目的有価証券が保管・運用されていることが望ましいとされています。
ただし、定款上の記載や明確な独立部署をもたなくても、売買を頻繁に繰り返している場合は、売買目的有価証券に該当します。
このような目的で保有する有価証券について、投資者にとっての有用な情報は有価証券の期末時点での時価に求められると考えられます。
また、売却することについて事業遂行上等の制約が無く、時価の変動による評価差額は、企業にとっての財務活動の成果と考えられます。
そのため、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は当期の損益として処理します。 【根拠資料】
企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第15・70項
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第59・65・66・67項・〔設例3〕
『子会社株式及び関連会社株式』は、その株式の発行企業に対する支配力又は影響力を獲得することを目的に保有する株式です。
他の企業の発行済み株式数の過半数を所有する株式は子会社株式に、過半数未満20%以上を保有する株式は関連会社株式に該当します。
このような株式の購入は、実質的には事業投資と同様であり、その投資に対する成果は、時価の変動による評価差額ではなく、対象企業の実質価額の変動であると考えられます。
そのため、親会社の個別財務諸表上では、取得原価をもって貸借対照表価額とし、連結財務諸表で、対象企業の純資産の実質価額の増減を反映します。 【根拠資料】
企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第17・73・74項
他の企業の発行済み株式数の過半数を所有する株式は子会社株式に、過半数未満20%以上を保有する株式は関連会社株式に該当します。
このような株式の購入は、実質的には事業投資と同様であり、その投資に対する成果は、時価の変動による評価差額ではなく、対象企業の実質価額の変動であると考えられます。
そのため、親会社の個別財務諸表上では、取得原価をもって貸借対照表価額とし、連結財務諸表で、対象企業の純資産の実質価額の増減を反映します。 【根拠資料】
企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第17・73・74項
『その他有価証券』は、売買目的有価証券、満期保有目的の債券、子会社株式及び関連会社株式以外の有価証券をいます。
子会社株式及び関連会社株式といった明確な性格を有さず、売買目的又は満期保有目的といった明確な保有目的も無い株式については、『その他有価証券』として会計処理を行います。
『その他有価証券』の代表的な具体例としては、取引先との関係強化のために相手方の株式を取得する場合や、業務提携のための株式相互持合い等が挙げられます。
また、長期的な時価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券についても、その他有価証券に区分されます。
ただし、その保有目的は多岐にわたっており、上記のような業務上の関係を有する企業の株式等から、市場動向によっては売却を想定している有価証券まで多様な性格を有しています。
そのため、売買目的有価証券と子会社株式及び関連会社株式との中間的な性格を有するものとして捉えられています。
会計処理についてもその性格が反映されており、売買目的有価証券と同様に時価をもって貸借対照表価額とするものの、その評価差額は全額純資産の部に計上する『全部資本直入法』又は、評価損のみを当期の損失とし評価益は純資産の部に計上する『部分資本直入法』によるとされています。 【根拠資料】
企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第18・75項
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第72・73項・〔設例5〕
子会社株式及び関連会社株式といった明確な性格を有さず、売買目的又は満期保有目的といった明確な保有目的も無い株式については、『その他有価証券』として会計処理を行います。
『その他有価証券』の代表的な具体例としては、取引先との関係強化のために相手方の株式を取得する場合や、業務提携のための株式相互持合い等が挙げられます。
また、長期的な時価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券についても、その他有価証券に区分されます。
ただし、その保有目的は多岐にわたっており、上記のような業務上の関係を有する企業の株式等から、市場動向によっては売却を想定している有価証券まで多様な性格を有しています。
そのため、売買目的有価証券と子会社株式及び関連会社株式との中間的な性格を有するものとして捉えられています。
会計処理についてもその性格が反映されており、売買目的有価証券と同様に時価をもって貸借対照表価額とするものの、その評価差額は全額純資産の部に計上する『全部資本直入法』又は、評価損のみを当期の損失とし評価益は純資産の部に計上する『部分資本直入法』によるとされています。 【根拠資料】
企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第18・75項
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第72・73項・〔設例5〕
次のページでは、売買目的有価証券に分類される上場株式購入時の会計処理について具体的にご紹介します。