非上場株式に対する受取配当金の会計処理

【非上場株式の受取配当金の会計処理】

 ■原則

 ①配当金効力発生時
  (株主総会決議効力発生日等)
  決定額で未収配当金・源泉徴収税等を
  計上

 ②配当金受領時
  未収配当金と受領した現金を相殺
  ※配当金受領証で受領した場合も、
   現金勘定に計上


 ■例外
 (要継続適用・配当決定から支払迄が通常要
 する期間内である場合のみ適用可)

 ①配当金効力発生時
  (株主総会決議効力発生日等)
  会計処理なし

 ②配当金受領時
  受取配当金及び、受領した現金・源泉
  徴収税等を計上
  ※配当金受領証で受領した場合も、現金
   勘定に計上
非上場企業の配当金の会計処理には、原則法と例外法の2種類の方法があります。

原則法は、配当金の効力発生時に受取配当金を収益認識する方法です。

この方法においては、効力発生日に受取配当金・源泉徴収税等・未収配当金を計上します。

それに対して例外法は、配当金受領時に受取配当金を収益認識する方法です。

この方法では、配当金の効力発生日には、仕訳処理は行わず、受取時に受取配当金・源泉徴収税等・未収配当金を計上します。

この例外法については、配当の効力発生から支払までが通常要する期間内である場合のみ、継続適用を条件として認められています。 【根拠資料】
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第94項(2)
配当金を『配当金受領証』で受取った場合には、ただちに現金勘定に計上します。

『配当金受領証』の詳しい会計処理については、下記のページをご参照ください。
配当金領収書の会計処理
下記では、非上場株式に対する受取配当金の会計処理について、具体例を使用してご紹介します。
前提条件
A社は非上場企業であるB社の株式を100,000株保有している。
・X1年5月31日にB社株主総会で一株当たり配当金を15円と
 する決議がなされ、同時にその効力が発生
 した
・X1年8月31日に配当金を受領し、源泉徴収税等305千円を
 控除した、1,195千円が入金された
・B社株式はB社との取引関係強化の目的で保有
 している
・A社の決算日は3月31日
【原則法での会計処理】
① X1年5月31日(効力発生時)
借方 貸方
受取配当金 1,500千円※1 未収配当金 1,195千円※3
法人税、住民税及び事業税 
       305千円※2
※1一株当り配当金予測額15円×持ち株数100,000株
※2配当金予測額1,500千円×源泉徴収税率20.315%
※3貸借差額
受取配当金を収益認識します。同時に、受取配当金から控除される源泉徴収税額を費用認識し、入金予定額を未収配当金として計上します。
② X1年8月31日(配当金受領時)
借方 貸方
現金預金 1,195千円※4 未収配当金 1,195千円※4
※4配当金受領時の入金額
配当金の受領による入金額を、未収配当金と相殺します。
【例外法での会計処理】
① X1年5月31日(効力発生時)
仕訳なし
効力発生時には、会計処理を行いません。
② X1年8月31日(配当金受領時)
借方 貸方
受取配当金 1,500千円※1 現金預金 1,195千円※3
法人税、住民税及び事業税 
       305千円※2
※1一株当り配当金予測額15円×持ち株数100,000株
※2配当金予測額1,500千円×源泉徴収税率20.315%
※3入金額
受取配当金を全額収益認識すると同時に、現金収受額を現金預金で資産計上し、源泉徴収された税額を法人税、住民税及び事業税で費用計上します。
次のページでは、非上場株式の受取配当金から徴収される源泉徴収税等の会計処理をご紹介します。