配当金領収書の会計処理

【配当金領収書とは】
会社が株主に対して各期の配当金を支払うために発行する証書

【配当金領収書の会計処理】
『現金』として取り扱う。所得税を差し引き、現金を入金されたとして会計処理。

≪仕訳イメージ≫
(現金)XXX (受取配当金)XXX
(仮払法人税)XXX
配当金領収書とは、会社が株主に対して各期の配当金を支払うために発行する証書です。

配当金受領書には、支払配当金額が記載されており、株主は取扱金融機関に配当金領収書を持参することで、配当金額の現金を受取ることができます。

通常、配当金は株主が指定した口座に振り込まれますが、振込先を指定していない場合は、このように配当金領収書が郵送されてきます。

そのため配当金領収書は、現金と同じ役割を果たす『貨幣代用証券』に該当し、会計処理上は『現金』として取り扱われます。

配当金領収書を受け取った場合は、所得税を差し引き、現金を入金されたとして会計処理します。

指しい引いた所得税は、法人税の前払いであるため仮払法人税に計上します。

仮払法人税は、期末決算において法人税額から控除することができます。

ただし、配当の対象となった株式の所有期間に対応する部分のみが税額控除の対象となるため留意が必要です。
【参考文献】
仰星監査法人(2023)『勘定科目別仕訳処理ハンドブック/Ⅰ流動資産-現金1⃣配当金領収書を受取った』株式会社清文社
下記では、配当金領収書の会計処理について、具体例を使用してご紹介します。 【参考文献】
仰星監査法人(2023)『勘定科目別仕訳処理ハンドブック/Ⅰ流動資産-現金1⃣配当金領収書を受取った』株式会社清文社
前提条件
A社はB社株式(上場)を保有しており、下記のように配当の受取を行った。
・X1年4月1日に配当金領収書3,000千円を受取った
・このうち、所得税は495千円であった
【A社の会計処理】
① X1年4月1日(配当金領収書受取時)
借方 貸方
現金 2,505千円※3
仮払法人税 495千円※2
受取配当金 3,000千円※1
※1受領した配当金領収書の配当金額
※2受領した配当金領収書の所得税金額
※3配当金額3,000千円-所得税金額495千円
受領した配当金領収書を受取配当金勘定で収益計上し、所得税額を仮払法人税に計上します。両社の差額を現金として資産計上します。
次のページでは、現金過不足の会計処理について具体的にご紹介します。