従業員貸付金を給与控除により回収した場合の会計処理

【従業員貸付金を給与控除により回収した場合の会計処理】

給与の支払の仕訳で、返済された金額を『従業員貸付金』等からマイナスする

≪仕訳イメージ≫
(給与)XXX (従業員貸付金)XXX
      (預り金)XXX
      (普通預金)XXX
貸付金は一般的には現金や預金で返済されますが、福利厚生制度等により貸し付けている従業員貸付金は、給与からの天引きにより返済を受けることが一般的です。

給与から控除して返済を受ける場合は、給与総支給額から、源泉所得税等の預り金、従業員貸付金の返済額、貸付金利息を受け取る場合はその受取額等を控除して、残額を従業員へ現金預金等で支払います。

そのため、給与支給総額を『給与』として費用計上した相手勘定で、『従業員貸付金』をマイナスすると同時に、預かった源泉所得税等の控除額を『預り金』等で負債計上し、支払額を現金預金等の勘定からマイナスする仕訳を計上します。
【参考文献】
仰星監査法人(2023)『勘定科目別仕訳処理ハンドブック/Ⅰ流動資産-貸付金132従業員への貸付と回収』株式会社清文社
下記では、従業員貸付金を給与控除により回収した場合の会計処理について、具体例を使用してご紹介します。 【参考文献】
仰星監査法人(2023)『勘定科目別仕訳処理ハンドブック/Ⅰ流動資産-貸付金132従業員への貸付と回収』株式会社清文社
前提条件
A社はX1年4月26日に従業員Bに対して、貸付を行っており、給与からの天引きにより計画的に返済を受けている。
・X1年6月25日に従業員Bに給与を支給し、従業員貸付金の
 返済額50千円、利息1千円を天引きした
・従業員Bに対する6月分の給与総額は500千円、
 源泉所得税等の控除額は100千円であった
・給与の支払は普通預金口座から行っている
・A社の給与支払日は毎月25日である
① X1年6月25日(給与支払&返済時)
借方 貸方
給与 500千円※1 従業員貸付金 50千円※2
受取利息 1千円※3
預り金 100千円※4
普通預金 349千円※5
※1従業員Bの6月分給与総額
※2従業員貸付金返済額
※3従業員貸付金に対する利息受取額
※4源泉徴収税等の預り額
※5従業員Bへの支払額
給与総額を給与として費用計上し、相手勘定で、返済された従業員貸付金、受け取った利息、源泉徴収の預り金を計上し、貸借差額を普通預金からマイナスします。
次のページでは、従業員貸付金の利息の損益計算書上の表示について具体的にご紹介します。