公社債の保有目的別分類
【公社債の保有目的別分類】
分類 | 保有目的&会計処理 |
---|---|
売買目的有価証券 |
【保有目的】 時価の変動による利益の獲得 ※定義及び要件を明確かつ 限定的に定めておくことが 必要 【会計処理】 BS価額:期末時価 評価差額:当期に損益計上 |
満期保有目的の債権 |
【保有目的】 満期まで所有する意図をもって保有 ※定義及び要件を明確かつ 限定的に定めておくことが 必要 ※あらかじめ償還日が定めら れており、額面金額による 償還が予定されている債権 を、満期時まで保有する 目 的で取得した場合のみ満期 保有目的の債権に 分類可 【会計処理】 BS価額:取得原価、 又は、 償却原価 評価差額:発生しない |
その他有価証券 |
【保有目的】 上記以外 ≪例≫ ・他社との業務提携 ・相互持合い ・長期的な時価の変動での 利益獲得目的 【会計処理】 BS価額:期末時価 評価差額:全部資本直入法 又は 部分資本直入法 ※償却原価法を適用する債券 は、償却原価と時価との 差 額を評価差額として処理 |
公社債は、その保有目的により、『売買目的有価証券』、『満期保有目的の債券』、『その他有価証券』に分類され、それぞれで異なる会計処理が適用されます。
この保有目的による区分については、取得時の判断だけではなく、取得後も継続してその要件を満たしていることを検討することが必要です。
また、同一銘柄の公社債を異なる保有目的区分で保有することも認められます。 【根拠資料】
企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第69項
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第59項
この保有目的による区分については、取得時の判断だけではなく、取得後も継続してその要件を満たしていることを検討することが必要です。
また、同一銘柄の公社債を異なる保有目的区分で保有することも認められます。 【根拠資料】
企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第69項
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第59項
『売買目的有価証券』は、時価の変動により利益を得ることを、いわゆるトレーディング目的で保有する有価証券です。
企業が保有する有価証券を売買目的有価証券として分類するためには、その定義及び要件を明確かつ限定的に定めておく必要があります。
具体的には、有価証券の売買を業としていることが定款上から明らかで、かつ、トレーディング業務を日常的に遂行する独立の専門部署、関係会社、信託等によって売買目的有価証券が保管・運用されていることが望ましいとされています。
ただし、定款上の記載や明確な独立部署をもたなくても、売買を頻繁に繰り返している場合は、売買目的有価証券に該当します。
このような目的で保有する有価証券について、投資者にとっての有用な情報は有価証券の期末時点での時価に求められると考えられます。
また、売却することについて事業遂行上等の制約が無く、時価の変動による評価差額は、企業にとっての財務活動の成果と考えられます。
そのため、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は当期の損益として処理します。 【根拠資料】
企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第15・70項
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第59・65・66・67項・〔設例3〕
企業が保有する有価証券を売買目的有価証券として分類するためには、その定義及び要件を明確かつ限定的に定めておく必要があります。
具体的には、有価証券の売買を業としていることが定款上から明らかで、かつ、トレーディング業務を日常的に遂行する独立の専門部署、関係会社、信託等によって売買目的有価証券が保管・運用されていることが望ましいとされています。
ただし、定款上の記載や明確な独立部署をもたなくても、売買を頻繁に繰り返している場合は、売買目的有価証券に該当します。
このような目的で保有する有価証券について、投資者にとっての有用な情報は有価証券の期末時点での時価に求められると考えられます。
また、売却することについて事業遂行上等の制約が無く、時価の変動による評価差額は、企業にとっての財務活動の成果と考えられます。
そのため、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は当期の損益として処理します。 【根拠資料】
企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第15・70項
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第59・65・66・67項・〔設例3〕
『満期保有目的の債券』は、 満期まで所有する意図をもって保有する国債、地方債、社債、新株予約権付社債、コマーシャル・ペーパー等の債券です。
償還株式についても、債権ではないものの、債権との類似性から、満期保有目的の債権に分類することのできる有価証券とされています。
債券を満期保有目的の債券に分類するためには、『満期時まで保有する目的であること』を債券の取得時及び取得時以降に確認し得ることが必要です。
かつ、対象の債権は、『あらかじめ償還日が定められた』もので、額面金額による償還が予定されているものでなければなりません。
『満期時まで保有する目的であること』とは、企業がその債権を、償還期限まで所有するという積極的な意思とその能力に基づいて保有することをいいます。
そのため、保有期間が漠然と長期であるだけの債権や、市場金利や為替相場の変動等の将来の不確定要因の発生いかんによっては売却が予測される債権は、満期まで所有する意思があるとは認められず、満期保有目的の債権に分類できません。
また、企業の資金繰り計画や法律等の障害等により、継続的な保有が困難と判断される場合には、満期まで保有する能力があるとは認められず、満期保有目的の債権に分類できません。
『あらかじめ償還日が定められた』とは、明確な償還日が定められている場合、又は、償還日が定められていない場合でも償還が実行される可能性が極めて高い場合をいいます。
そのため、満期の定めのない永久債は、基本的にはこの条件を満たさず、満期保有目的の債権に分類できません。
ただし、コール・オプションが設定されている場合等で、償還が実行される可能性が極めて高いと認められる場合は、『あらかじめ償還日が定められた』という条件を満たすとされています。
満期保有目的の債券は、時価が算定できるものであっても、満期まで保有することによる約定利息及び元本の受取りを目的としており、満期までの間の金利変動による価格変動のリスクを認める必要がないため、取得原価をもって貸借対照表価額とします。
ただし、債券を債券金額より低い価額又は高い価額で取得した場合で、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された償却原価をもって、貸借対照表価額とします。 【根拠資料】
企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第16・71・72項・(注5)
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第59・68・69・70項・〔設例4〕
償還株式についても、債権ではないものの、債権との類似性から、満期保有目的の債権に分類することのできる有価証券とされています。
債券を満期保有目的の債券に分類するためには、『満期時まで保有する目的であること』を債券の取得時及び取得時以降に確認し得ることが必要です。
かつ、対象の債権は、『あらかじめ償還日が定められた』もので、額面金額による償還が予定されているものでなければなりません。
『満期時まで保有する目的であること』とは、企業がその債権を、償還期限まで所有するという積極的な意思とその能力に基づいて保有することをいいます。
そのため、保有期間が漠然と長期であるだけの債権や、市場金利や為替相場の変動等の将来の不確定要因の発生いかんによっては売却が予測される債権は、満期まで所有する意思があるとは認められず、満期保有目的の債権に分類できません。
また、企業の資金繰り計画や法律等の障害等により、継続的な保有が困難と判断される場合には、満期まで保有する能力があるとは認められず、満期保有目的の債権に分類できません。
『あらかじめ償還日が定められた』とは、明確な償還日が定められている場合、又は、償還日が定められていない場合でも償還が実行される可能性が極めて高い場合をいいます。
そのため、満期の定めのない永久債は、基本的にはこの条件を満たさず、満期保有目的の債権に分類できません。
ただし、コール・オプションが設定されている場合等で、償還が実行される可能性が極めて高いと認められる場合は、『あらかじめ償還日が定められた』という条件を満たすとされています。
満期保有目的の債券は、時価が算定できるものであっても、満期まで保有することによる約定利息及び元本の受取りを目的としており、満期までの間の金利変動による価格変動のリスクを認める必要がないため、取得原価をもって貸借対照表価額とします。
ただし、債券を債券金額より低い価額又は高い価額で取得した場合で、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された償却原価をもって、貸借対照表価額とします。 【根拠資料】
企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第16・71・72項・(注5)
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第59・68・69・70項・〔設例4〕
『その他有価証券』は、売買目的有価証券、満期保有目的の債券、子会社株式及び関連会社株式以外の有価証券をいます。
子会社株式及び関連会社株式といった明確な性格を有さず、売買目的又は満期保有目的といった明確な保有目的も無い株式については、『その他有価証券』として会計処理を行います。
『その他有価証券』の代表的な具体例としては、取引先との関係強化のために取得する場合や、業務提携目的等が挙げられます。
また、長期的な時価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券についても、その他有価証券に区分されます。
ただし、その保有目的は多岐にわたっており、上記のような業務上の関係を有する企業の株式等から、市場動向によっては売却を想定している有価証券まで多様な性格を有しています。
そのため、売買目的有価証券と子会社株式及び関連会社株式との中間的な性格を有するものとして捉えられています。
会計処理についてもその性格が反映されており、売買目的有価証券と同様に時価をもって貸借対照表価額とするものの、その評価差額は全額純資産の部に計上する『全部資本直入法』又は、評価損のみを当期の損失とし評価益は純資産の部に計上する『部分資本直入法』によるとされています。
取得差額が金利調整差額と認められる債券については、償却原価法を適用して算定した償却原価と時価との差額を評価差額として処理します。 【根拠資料】
企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第18・75・76項
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第59・68・69・70項・〔設例6〕
子会社株式及び関連会社株式といった明確な性格を有さず、売買目的又は満期保有目的といった明確な保有目的も無い株式については、『その他有価証券』として会計処理を行います。
『その他有価証券』の代表的な具体例としては、取引先との関係強化のために取得する場合や、業務提携目的等が挙げられます。
また、長期的な時価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券についても、その他有価証券に区分されます。
ただし、その保有目的は多岐にわたっており、上記のような業務上の関係を有する企業の株式等から、市場動向によっては売却を想定している有価証券まで多様な性格を有しています。
そのため、売買目的有価証券と子会社株式及び関連会社株式との中間的な性格を有するものとして捉えられています。
会計処理についてもその性格が反映されており、売買目的有価証券と同様に時価をもって貸借対照表価額とするものの、その評価差額は全額純資産の部に計上する『全部資本直入法』又は、評価損のみを当期の損失とし評価益は純資産の部に計上する『部分資本直入法』によるとされています。
取得差額が金利調整差額と認められる債券については、償却原価法を適用して算定した償却原価と時価との差額を評価差額として処理します。 【根拠資料】
企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第18・75・76項
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第59・68・69・70項・〔設例6〕
次のページでは、売買目的有価証券に分類される公社債購入時の会計処理について具体的にご紹介します。