公社債の時価

【公社債の時価評価の必要性】

会計基準上で、時価評価を免除されている有価証券は『市場価格のない株式等』のみ
                     ⇓
『市場価格のない株式等』に該当するのは下記の2つ
 ①市場で取引されていない株式
 ②出資金など株式と同様に持分の請求権を
  生じさせるもの
                     ⇓
公社債は、『市場価格のない株式等』に該当しない
                     ⇓
保有目的区分の会計処理に従い、時価評価を行う
有価証券について、会計基準上で時価評価を免除されているのは『市場価額のない株式等』のみです。

『市場価格のない株式等』とは、市場で取引されていない株式及び、出資金など株式と同様に持分の請求権を生じさせるものをいい、公社債は含まれていません。

そのため公社債は、私募債等の市場価額の把握が困難なものであっても、保有目的区分別に規定されている会計処理に従い、時価評価を行わなければなりません。 【根拠資料】
企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第19項
また、2008年2月28日に「金融商品に関する会計基準」「金融商品の時価等の開示に関する適用指針」が公表される以前は、「金融商品会計に関する Q&A」のQ17において、私募債や新株予約権付社債等で市場価格がなく、かつ、時価として合理的な価額を算定することが困難な債券は時価評価の対象外とされていましたが、Q17は削除されています。

そのことから、現在においては、時価評価の対象となる有価証券の範囲は拡大されており、有価証券として保有している全ての公社債は、保有目的区分の会計処理に従い、時価評価を行わなければならないと解釈できます。
【公社債の時価の例】

・金融商品取引所の価格
・店頭取引の価格
・日本証券業協会の売買参考統計値
・元利金にリスク要因を織り込んだ現在価値
 
金融資産の「時価」は、市場参加者間で秩序ある取引が行われると想定した場合の、当該取引における資産の売却によって受け取る価格又は負債の移転のために支払う価格であるとされています。

ここでいう市場には、公設の取引所及びこれに類する市場のほか、随時、売買・換金等を行うことができる取引システム等も含まれます。 【根拠資料】
企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第6・54項・(注2)
公社債には、金融商品取引所に上場しており取引所で売買されているもの、上場はしていないものの店頭取引で売買されているもの、私募債で相対取引のみで売買されているものなどが有ります。

そのため、公社債の時価は、その公社債の取引状況に従って、金融商品取引所の取引価格、店頭での取引価格、日本証券業協会の売買参考統計値、元利金の割引現在価値等により決定します。
【公社債の額面金額と時価の差異要因】

・クーポンレートと取得時の市場利子率との
 調整
・債券の発行体の信用力の変動
・減損
・その他の要因
公社債の額面金額と時価に差額が出る理由としては、様々な要因が有りますが、代表的なものとしては、クーポンレートと取得時の市場利子率との調整に基づくもの、債券の発行体の信用力の変動や減損が挙げられます。 【根拠資料】
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第70項
次のページでは、公社債の保有目的別分類について具体的にご紹介します。