その他有価証券に分類される公社債購入時の会計処理
【公社債の発生の認識】
原則:約定日基準
⇒約定日に金融資産として発生を
認識
簡便:修正受渡日基準(要継続適用)
⇒約定日~受渡日:時価の変動のみ
を認識
受渡日 :購入対価部分の
金融資産として
の発生を認識
原則:約定日基準
⇒約定日に金融資産として発生を
認識
簡便:修正受渡日基準(要継続適用)
⇒約定日~受渡日:時価の変動のみ
を認識
受渡日 :購入対価部分の
金融資産として
の発生を認識
公社債の購入取引は、金融資産自体を対象とする取引に該当し、その取引の契約時から、対象の公社債の時価の変動リスクが購入者に生じます。
そのため、原則として受渡日ではなく約定日に、金融資産の発生を認識し、資産として計上します。
これを、『約定日基準』と言います。
ただし簡便法として、継続適用を条件に、約定日から受渡日については、対象公社債の時価の変動のみを認識し、購入対価部分については受渡時に発生を認識する方法が認められています。
これを、『修正受渡日基準』といいます。 【根拠資料】
企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第7・55項
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第231・232・233・234・235項・〔設例1〕
そのため、原則として受渡日ではなく約定日に、金融資産の発生を認識し、資産として計上します。
これを、『約定日基準』と言います。
ただし簡便法として、継続適用を条件に、約定日から受渡日については、対象公社債の時価の変動のみを認識し、購入対価部分については受渡時に発生を認識する方法が認められています。
これを、『修正受渡日基準』といいます。 【根拠資料】
企業会計基準第10号金融商品に関する会計基準第7・55項
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第231・232・233・234・235項・〔設例1〕
【公社債の取得原価(=資産計上額)】
公社債の取得原価
=購入代金+付随費用(手数料等)
※一年内に満期の到来するものは
『有価証券』等、
一年内に満期の到来
しないものは『投資有価証券』等の
勘定科目で資産計上
公社債の取得原価
=購入代金+付随費用(手数料等)
※一年内に満期の到来するものは
『有価証券』等、
一年内に満期の到来
しないものは『投資有価証券』等の
勘定科目で資産計上
公社債を購入する際に支出する手数料等は、商品の仕入諸掛りと同様に、付随費用として購入した公社債の取得原価に含めます。
その他有価証券に分類される公社債を購入した場合、この取得原価を、一年内に満期の到来するものは『有価証券』等の勘定科目で、一年内に満期の到来しないものは『投資有価証券』等の勘定科目で、資産計上します。 【根拠資料】
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第261項
その他有価証券に分類される公社債を購入した場合、この取得原価を、一年内に満期の到来するものは『有価証券』等の勘定科目で、一年内に満期の到来しないものは『投資有価証券』等の勘定科目で、資産計上します。 【根拠資料】
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針第261項
下記では、その他有価証券に分類される公社債購入時の会計処理について、具体例を使用してご紹介します。
【根拠資料】
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針設例〔設例1〕
会計制度委員会報告第14号金融商品会計に関する実務指針設例〔設例1〕
前提条件 |
---|
A社はB社社債について、下記の取引を行った。
・X1年3月30日にB社社債額面総額8,000千円を7,500千円で 購入する契約を結んだ ・当該取引で手数料2,000円を証券会社へ支払う ・X1年3月31日におけるB社社債の時価は、7,800千円で あった ・X1年4月2日にB社社債の引渡を受けて、購入代金及び 手数料を支払った ・B社社債の償還日はX5年3月31日である ・取得価額と額面総額の差額は金利の調整とは認められない ・B社社債はその他有価証券に区分している ・その他有価証券の評価差額については全部純資産直入法を 適用している ・A社の実効税率は40%である ・A社の決算日は3月31日 |
【原則:約定日基準の会計処理】
① X1年3月30日(約定日)
① X1年3月30日(約定日)
借方 | 貸方 |
---|---|
投資有価証券 7,502千円※1 | 未払金 7,502千円※1 |
※1B社社債購入価額7,500千円+手数料2千円
社債の購入代価と付随費用の合計を、『投資有価証券』勘定で資産計上し、相手勘定で未払金を計上します。
② X1年3月31日(決算日)
借方 | 貸方 |
---|---|
投資有価証券 298千円※2 |
その他有価証券評価差額金 179千円※4 繰延税金負債 119千円※3 |
※2B社社債時価7,800千円-B社債帳簿価額7,502千円
※3評価差額298千円×実効税率40%
※4評価差額298千円-繰延税金負債119千円
※3評価差額298千円×実効税率40%
※4評価差額298千円-繰延税金負債119千円
B社社債を決算時の時価で評価替えし、帳簿価額との差額は税効果を加味した上で、その他有価証券評価差額金に計上します。
③ X1年4月1日(翌期首)
借方 | 貸方 |
---|---|
その他有価証券評価差額金 179千円※4 繰延税金負債 119千円※3 |
投資有価証券 298千円※2 |
※2B社社債時価7,800千円-B社債帳簿価額7,502千円
※3評価差額298千円×実効税率40%
※4評価差額298千円-繰延税金負債119千円
※3評価差額298千円×実効税率40%
※4評価差額298千円-繰延税金負債119千円
前期末評価替えの反対仕訳を計上し、洗替を行います。
④ X1年4月2日(受渡時)
借方 | 貸方 |
---|---|
未払金 7,502千円※1 | 現金預金 7,502千円※1 |
※1B社社債購入対価と手数料の合計額
約定日に計上していた未払金を相手勘定に、購入代金と手数料の支払仕訳を計上します。
【簡便:修正受渡日基準】
① X1年3月30日(約定日)
仕訳なし
修正受渡日基準では、約定日には仕訳を計上しません。
② X1年3月31日(決算日)
借方 | 貸方 |
---|---|
投資有価証券 298千円※1 |
その他有価証券評価差額金 179千円※3 繰延税金負債 119千円※2 |
※1B社社債時価7,800千円-B社債帳簿価額7,502千円
※2評価差額298千円×実効税率40%
※3評価差額298千円-繰延税金負債119千円
※2評価差額298千円×実効税率40%
※3評価差額298千円-繰延税金負債119千円
契約に基づくB社社債の取得原価と決算時の時価の差額を投資有価証券に計上し、相手勘定で、税効果を加味したうえでその他有価証券評価差額金を計上します。
③ X1年4月1日(翌期首)
借方 | 貸方 |
---|---|
その他有価証券評価差額金 179千円※3 繰延税金負債 119千円※2 |
投資有価証券 298千円※1 |
※1B社社債時価7,800千円-B社債帳簿価額7,502千円
※2評価差額298千円×実効税率40%
※3評価差額298千円-繰延税金負債119千円
※2評価差額298千円×実効税率40%
※3評価差額298千円-繰延税金負債119千円
前期末評価替えの反対仕訳を計上し、洗替を行います。
④ X1年4月2日(受渡時)
借方 | 貸方 |
---|---|
投資有価証券 7,502千円※4 | 現金預金 7,502千円※4 |
※4B社社債購入価額7,500千円+手数料2千円
社債の購入代価と付随費用の合計を、『投資有価証券』勘定で資産計上し、相手勘定で対価として支払った現金預金をマイナスします。
次のページでは、その他有価証券に分類される公社債の償却原価法(利払日と決算日が一致するケース)について具体的にご紹介します。