リース取引とは

リース取引の定義

「リース取引」とは、特定の物件の所有者たる貸手(レッサー)が、当該物件の借手(レッ シー)に対し、合意された期間(以下「リース期間」という。)にわたりこれを使用収益する権利を与え、借手は、合意された使用料(以下「リース料」という。)を貸手に支払う取引をいう。
(企業会計基準第13号
リース取引に関する会計基準4項)

リース取引とは、特定の物件を特定の期間使用する権利を貸手から借手に与え、借手がその使用料を支払う取引です。
たとえ契約の名称がレンタル契約、賃貸借契約などリース契約以外であったとしても、上記の定義に該当する場合、会計上はリース取引として取り扱われます。(リース取引に関する会計基準の適用指針91項)
リース取引はさらに、その経済的実態に基づき下記の3種類に分類されます。
【リース取引の種類】
(1)所有権移転ファイナンス・リース取引
(2)所有権移転外ファイナンス・リース取引
(3)オペレーティングリース取引
ファイナンス・リース取引は、法的形式は賃貸借取引ですが、経済的実態は資金を借入れてリース物件を購入し、その後、借入金を分割返済する取引であると見ることが出来ます。
そのため、会計上は通常の売買取引に係る方法に準じて処理を行います。(企業会計基準第13号リース取引に関する会計基準9項)
ただし、ファイナンス・リース取引に該当する取引であっても、少額又は短期リース取引の要件を満たし、重要性が乏しいと認められる場合は、簡便的に賃貸借取引に準じた会計処理を行うことが認められています。(リース取引に関する会計基準の適用指針34項・45項)
リース取引の内、下記の要件の両方を満たす取引の場合、ファイナンス・リース取引に該当すると判定されます。(企業会計基準第13号リース取引に関する会計基準5項
リース取引に関する会計基準の適用指針5・9項)
要件名 要件内容
ノン・キャンセラブル リース期間の中途において契約を解除することができない
フルペイアウト リース料総額の現在価値≧リース物件の合理的見積額×90%
又は、
解約不能リース期間≧リース物件の経済的耐用年数×75%
ファイナンス・リース取引はさらに、リース物件の所有権が借手に移転する所有権移転ファイナンス・リース取引と移転しない所有権移転外ファイナンス・リース取引に分類されます。(企業会計基準第13号リース取引に関する会計基準8項
リース取引に関する会計基準の適用指針8項)
具体的には、以下のいずれかに該当する場合、リース物件の所有権が借手に移転する取引として所有権移転ファイナンス・リース取引と判断され、それ以外のファイナンス・リース取引は、所有権移転外ファイナンス・リース取引と判断されます。(リース取引に関する会計基準の適用指針10項)
要件名 要件内容
譲渡条件付リース リース契約上で、リース期間中又は終了後にリース物件の所有権が借手に移転する旨の定めがある取引
割安購入選択権付リース リース契約上で、リース期間中又は終了後にリース物件を借手が有利な価格で買い取る権利が設定されている取引
特別仕様物件のリース リース物件が借手のための特別の仕様になっており、転用が困難な場合
ファイナンス・リース取引においてはリース料に含まれる利息相当額は、原則として利息法により支払利息として処理しなければならないとされています。

ただし、所有権移転外ファイナンス・リース取引するリース取引において、リース資産総額に重要性が乏しいと認められる場合は、簡便的な方法により利息相当額を取り扱うことが出来るとされています。(リース取引に関する会計基準の適用指針31・108項)
ファイナンス・リース取引以外のリース取引は、オペレーティングリース取引に該当します。こちらは、法的形式も経済的実態も賃貸借契約に該当し、通常の賃貸借取引として会計処理を行います。(企業会計基準第13号リース取引に関する会計基準6・15項)
上記の内容をまとめると、物件を賃貸借する取引全体は、下記のように分類されます。
契約 取引の分類 リース取引の分類 条件 会計処理
リース契約
レンタル契約
賃貸借契約等
リース取引 所有権移転ファイナンス・リース取引 ノン・キャンセラブルを満たす

フルペイアウトを満たす

所有権移転あり
売買取引※1
※1の内、下記の①②を満たす

①リース期間が1年以内

②少額資産に該当
賃貸借処理
所有権移転外ファイナンス・リース取引 ノン・キャンセラブルを満たす

フルペイアウトを満たす

所有権移転なし
売買取引※2
※2の内、③を満たす

③基準リース比率>10%
売買取引
※利息相当額の計算不要
※2の内下記の、④~⑥いずれかを満たす

④リース期間が1年以内

⑤1契約のリース料総額 300万円以下

⑥少額資産に該当
賃貸借処理
オペレーティングリース取引 上記以外 賃貸借処理
その他取引 その他取引 リース取引に該当しない 契約に準ずる
次のページでは、上記でご紹介したファイナンス・リース取引に該当するかの要件の1つである『ノン・キャンセラブル』について具体的にご紹介します。