ファイナンス・リース取引の中途解約の
会計処理(借手)
Question |
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ファイナンス・リース取引で物件を賃借しているのですが、中途解約する予定で違約金が発生します。このような場合はどう会計処理をすればよいでしょうか? |
【Answer】
ファイナンス・リース取引はその判定の際に、ノンキャンセラブルの要件を満たしており、中途解約をする際は相当の違約金を支払なければならない契約になっています。
当該違約金の支払いについては、リース債務残高と相殺する形で計上し、リース債務残高と違約金の金額に差異がある場合は、差額をリース債務解約損などの科目で支払額の確定時に損益に計上します。
また、リース資産の未償却残高についてはリース資産除却損等で損失計上します。(リース取引に関する会計基準の適用指針第30・44項)
当該違約金の支払いについては、リース債務残高と相殺する形で計上し、リース債務残高と違約金の金額に差異がある場合は、差額をリース債務解約損などの科目で支払額の確定時に損益に計上します。
また、リース資産の未償却残高についてはリース資産除却損等で損失計上します。(リース取引に関する会計基準の適用指針第30・44項)
なお、リース資産除却損とリース債務解約損は、「リース解約損」などの科目で合算してPL計上することがきます。(リース取引に関する会計基準の適用指針設例1)
この中途解約時の会計処理は、所有権移転と所有権移転外で共通です。(リース取引に関する会計基準の適用指針第30・44項)
以下では、所有権移転外ファイナンス・リース取引の中途解約の会計処理を具体例を使ってご紹介します。(参考:リース取引に関する会計基準の適用指針【設例1-3-(1)】)
前提条件 |
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B社は物件Xを下記の条件でA社からリースする契約を締結しました。
・所有権移転条項無し ・割安購入選択権無し ・リース物件は特別仕様ではない ・解約不能リース期間3年 ・借手の見積り現金購入価額は25,000千円 ・貸手のリース物件の購入価額は貸手において明らかでは ない ・リース料年額10,000千円(支払は1年ごと), リース料総額30,000千円 ・リース物件の経済的耐用年数5年 ・借手の減価償却方法は定額法 ・借手の追加借入利子率は年8% ・借手は貸手の計算利子率を知り得ない ・リース取引開始日はX1年4月1日 ・B社の決算日は3月31日 |
【現在価値基準による判定】
リース料総額の現在価値
10,000千円÷(1+0.08)+10,000千円÷(1+0.08)^2++10,000千円÷(1+0.08)^3=25,771千円
リース料総額の割引現在価値25,771千円÷現金販売価額25,000千円=103%≧90%
10,000千円÷(1+0.08)+10,000千円÷(1+0.08)^2++10,000千円÷(1+0.08)^3=25,771千円
リース料総額の割引現在価値25,771千円÷現金販売価額25,000千円=103%≧90%
【経済的耐用年数基準による判定】
解約不能条件有のためノンキャンセラブルを満たします。
経済的耐用年数基準は75%未満ですが、現在価値基準が90%超のためフルペイアウトを満たします。
ノンキャンセラブルとフルペイアウトの条件を満たすためファイナンス・リース取引に該当すると判定されます。
経済的耐用年数基準は75%未満ですが、現在価値基準が90%超のためフルペイアウトを満たします。
ノンキャンセラブルとフルペイアウトの条件を満たすためファイナンス・リース取引に該当すると判定されます。
① X1年4月1日(リース取引開始日)
借方 | 貸方 |
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リース資産 25,000千円※1 | リース債務 25,000千円※1 |
※1借手の見積り現金購入価額25,000千円
借手は貸手の購入価額を知りえないので、借手の見積現金購入価額25,000千円とリース総額の割引現在価値25,771千円のうち低い方の金額でリース資産とリース債務を計上します。
② X2年3月31日(第1回リース料支払日)
借方 | 貸方 |
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リース債務 7,575千円※4
支払利息 2,425千円※3 |
現金預金 10,000千円※2 |
※2支払いリース料
※3支払リース料の内利息相当額。計算利子率は下記の計算
で算定。
10,000千円÷(1+r)+10,000千円÷(1+r)^2+10,000千円
÷(1+r)^3=25,000千円
r=9.70%
※4支払リース料10,000千円-利息相当額2,425千円
※3支払リース料の内利息相当額。計算利子率は下記の計算
で算定。
10,000千円÷(1+r)+10,000千円÷(1+r)^2+10,000千円
÷(1+r)^3=25,000千円
r=9.70%
※4支払リース料10,000千円-利息相当額2,425千円
リース料を支払い、支払リース料の内、利息相当額を支払利息に計上し、それ以外の部分をリース債務からマイナスします。利息相当額を算定する計算利子率は、借手の見積購入価額とリース料総額の割引現在価値が一致する利回りを逆算して算出します。
③ X2年3月31日(決算日)
借方 | 貸方 |
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減価償却費 8,333千円※5 | 減価償却累計額 8,333千円※5 |
※5リース資産計上額25,000千円÷解約不能リース期間3年
所有権移転外のため、償却期間は解約不能リース期間の3年を使用し、残存価額はゼロで減価償却費を計算します。
追加前提条件 |
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X2年3月31日にB社は当リース契約を中途解除しました。
契約に基づいてB社はA社に規定損害金20,000千円を支払います。 |
④ X2年3月31日(リース契約途中解約時)
借方 | 貸方 |
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減価償却累計額 8,333千円※6
リース資産 除却損 16,667千円※8 リース債務 17,425千円※10 リース債務 解約損 2,575千円※11 |
リース資産 25,000千円※7
現金預金 20,000千円※9 |
※6解約時までに計上した減価償却累計額
※7リース取引開始時に計上したリース資産総額
※8リース資産計上額25,000千円-減価償却累計額8,333千円
※9規定損害金
※10リース債務残高
※11規定損害金20,000千円-リース債権残高17,425千円
※7リース取引開始時に計上したリース資産総額
※8リース資産計上額25,000千円-減価償却累計額8,333千円
※9規定損害金
※10リース債務残高
※11規定損害金20,000千円-リース債権残高17,425千円
解約時の物件Xの帳簿価額をリース資産除却損として損失計上します。同時に、規定損害金とリース債務残高を相殺し、相殺差額をリース解約損として損失計上します。
上記の仕訳を計上することで、リース取引に関するBS残高は全てゼロになりリース取引が完了します。
次のページでは、ファイナンス・リース取引の中途解約の貸手の会計処理をご紹介します。