債務保証及び保証類似行為とは
債務保証の定義
債務保証とは、主たる債務者が債務を履行しない場合に、保証人が当該債務を履行する責任を負うことを契約することによって債権者の債権を担保するものである。
(債務保証及び保証類似行為の会計基準及び表示に関する監査上の取扱い第2項)
最近の実務においては、上記の債務保証には該当しないものの、実質的に債務保証と同等の効果をもたらす金融機関と保証人との間の契約等が存在します。このような取引を保証類似行為といいます。
会計基準では保証類似行為についても、財務諸表の注記の対象としています。保証類似行為の具体例としては、保証予約と経営指導念書等の差し入れが挙げられます。
会計基準では保証類似行為についても、財務諸表の注記の対象としています。保証類似行為の具体例としては、保証予約と経営指導念書等の差し入れが挙げられます。
保証予約とは、将来において保証契約の成立を約束する契約のことです。
保証予約には、停止条件付保証契約、予約完結権行使型保証予約、保証契約締結義務型保証予約の3種類の形態があります。
停止条件付保証契約とは、保証先の財務状態が悪化した等一定の事由を停止条件として、それが生じた場合に自動的に保証契約が発行する契約です。
予約完結権行使型保証予約とは、債権者による予約完結権(保証契約を成立させる権利)の行使により、保証予約人の承諾を必要とせず自動的に保証契約が成立する契約です。
この停止条件付保証契約と予約完結権行使型保証予約については、法的形式は異なるものの、実質的に債務保証と同一の性格であることから、債務保証に準じて会計処理を行います。
それに対して、保証契約締結義務型保証予約は、債権者から保証契約締結の請求を受けた場合に、保証予約人が保証契約を締結する義務をう契約です。
そのため、保証予約人が承諾の意思表示を行わない限り保証は成立しないという点で、他の2つの保証契約と異なります。
しかしながら、現実には、債権者である金融機関等との取引関係を維持する等の理由から保証契約を締結せざるを得ないのが通常であることから、原則として、他の保証契約と同様に、債務保証に準じて会計処理を行います。
保証予約には、停止条件付保証契約、予約完結権行使型保証予約、保証契約締結義務型保証予約の3種類の形態があります。
停止条件付保証契約とは、保証先の財務状態が悪化した等一定の事由を停止条件として、それが生じた場合に自動的に保証契約が発行する契約です。
予約完結権行使型保証予約とは、債権者による予約完結権(保証契約を成立させる権利)の行使により、保証予約人の承諾を必要とせず自動的に保証契約が成立する契約です。
この停止条件付保証契約と予約完結権行使型保証予約については、法的形式は異なるものの、実質的に債務保証と同一の性格であることから、債務保証に準じて会計処理を行います。
それに対して、保証契約締結義務型保証予約は、債権者から保証契約締結の請求を受けた場合に、保証予約人が保証契約を締結する義務をう契約です。
そのため、保証予約人が承諾の意思表示を行わない限り保証は成立しないという点で、他の2つの保証契約と異なります。
しかしながら、現実には、債権者である金融機関等との取引関係を維持する等の理由から保証契約を締結せざるを得ないのが通常であることから、原則として、他の保証契約と同様に、債務保証に準じて会計処理を行います。
経営指導念書等とは、子会社等が金融機関等から借入を行う際に、親会社等としての監督責任を認め、子会社等の経営指導などを行うことを約束して金融機関等に差し入れる文書です。
実務的には、経営指導念書、念書、覚書、レター・オブ・アウェアネス、キープウエル・レター等の標題で作成されています。
経営指導念書等で、親会社等が子会社等に対して債務保証義務、損害担保義務等を負担する旨の明記がなくても、現実に、当該経営指導念書等が差し入れられていることに起因して、実質的に保証契約と同様の効果がもたらされることがあります。
そのため、記載内容に基づく法的効力が保証契約又は保証予約契約と同様と認められる場合は、債務保証又は保証予約の取り扱いに準じて会計処理を行うとされています。
また、記載内容に基づく法的効力が保証契約又は保証予約契約と同様と認められ無い場合であっても、債権者との関係及び差し入れの経緯その他の状況から、実質的に、債務保証義務又は損害担保義務を負っていると認められる場合であれば、同じく債務保証又は保証予約の取り扱いに準じて会計処理を行います。
ただし、保証類似行為に該当するか否かについて法的な解釈が必要な場合は、法律専門家の見解を適宜参考にすることとなります。
実務的には、経営指導念書、念書、覚書、レター・オブ・アウェアネス、キープウエル・レター等の標題で作成されています。
経営指導念書等で、親会社等が子会社等に対して債務保証義務、損害担保義務等を負担する旨の明記がなくても、現実に、当該経営指導念書等が差し入れられていることに起因して、実質的に保証契約と同様の効果がもたらされることがあります。
そのため、記載内容に基づく法的効力が保証契約又は保証予約契約と同様と認められる場合は、債務保証又は保証予約の取り扱いに準じて会計処理を行うとされています。
また、記載内容に基づく法的効力が保証契約又は保証予約契約と同様と認められ無い場合であっても、債権者との関係及び差し入れの経緯その他の状況から、実質的に、債務保証義務又は損害担保義務を負っていると認められる場合であれば、同じく債務保証又は保証予約の取り扱いに準じて会計処理を行います。
ただし、保証類似行為に該当するか否かについて法的な解釈が必要な場合は、法律専門家の見解を適宜参考にすることとなります。
【保証類似行為の具体例】
名称 | 内容 |
---|---|
保証予約 |
■保証予約とは
将来にいて保証契約の成立を約束する契約 ■保証予約の形態 ①停止条件付保証契約 ⇒停止条件が生じると保証契約が発効 ②予約完結権行使型保証予約 ⇒予約完結権が行使されると保証契約が発効 ③保証契約締結義務型保証 ⇒保証契約締結の請求を承諾すると保証契約が 発効 ■会計上の取り扱い ①②⇒実質債務保証と同一の性格であることか ら、債務保証に準じて会計処理 ③⇒現実的に保証と同一の性格であることか ら、原則、債務保証に準じて会計処理 |
経営指導念書等の差入れ |
■経営指導念書等とは
親会社等としての監督責任を認め、子会社等の経営指導などを行うことを約束して金融機関等に差し入れる文書 ■経営指導念書等の効果 債務保証義務、損害担保義務等を負担する旨の明記がなくても、その差入れに起因して保証契約と同様の効力を発するケースがある ■会計上の取り扱い 下記に該当する場合債務保証又は保証予約の取り扱いに準じて会計処理を行う ①記載内容に基づく法的効力が保証契約又は 保証予約契約と同様と認められる場合 ②記載内容に基づく法的効力が保証契約又は 保証予約契約と同様と認められる場合以外 でも、実質的に債務保証義務等を負ってい ると判断できる場合 |
(債務保証及び保証類似行為の会計基準及び表示に関する監査上の取扱い第1・2項)
次のページでは、債務保証及び保証類似行為の会計処理について具体的にご紹介します。