市場販販売目的のソフトウェアの販売を含む複合取引の会計処理

市場販売目的のソフトウェアの販売の際には、その契約の中に、販売後の保守等のサービスや機器の販売が含まれている複合取引であるケースが多々あります。

このような複合取引の内、一方の取引が他方の主たる取引に付随して提供される場合は、その主たる取引の収益認識時点で一体として会計処理をすることができます。

しかし、それ以外の場合は、取引の種類ごとに別個に収益認識等の会計処理を行わなければなりません。 複合取引の具体例としては、下記のようなものが挙げられます。
【一方の取引が他方の主たる取引に付随して提供される複合取引の具体例】

●ソフトウェアを販売するとともに、全てのユーザーに無償の保守サービスを均一に提供している

●ソフトウェアを販売するとともに、全てのユーザーに無償のトレーニングサービスを均一に提供している

 ⇒付随のサービス分もソフトウェアの販売
  取引に含めて会計処理
【それぞれの取引が個別の取引として認識される複合取引の具体例】

●ソフトウェアの販売に保守サービスが含ま
 れているケース
 ⇒保守サービスはサービス期間や履行実績
  に基づいて売上及び費用を計上

●ソフトウェアの販売にトレーニングサービ
 スが含まれているケース
 ⇒トレーニングサービスはサービス期間や
  実施実績に基づいて売上及び費用を計上

●ソフトウェアライセンス販売にアップグレ
 ードの実施が含まれているケース
 ⇒アップグレードは完了実績に基づいて
  売上及び費用を計上

●ソフトウェアを機器(ハードウェア)とともに
 販売する場合でそれらが必ずしも有機的
 一体として機能しないケース
 ⇒原価計算上も両者を個別のものとして
  区分
 ⇒機器の販売は、会社の収益認識基準
  (販売基準、出荷基準等)に基づいて売上
  及び費用を計上
 ⇒機器の据付調整作用はサービスとして
  取り扱われる
それぞれの取引が個別の取引として認識される複合取引の場合、当該契約で約束された収益金額をそれぞれの取引要素に分解して識別しなければなりません。

契約書等の中で、販売するソフトウェアと財又はサービスの内容や各々の対価が明らかにされている場合は、契約上の対価に基づきそれぞれの取引の収益の金額を識別します。

契約書等で対価の金額が明らかにされていない場合であっても、管理上の適切な区分に基づき契約の対価を分解して会計処理しなければなりませんが、こうした複合取引については収益認識等の問題を解決するために、管理上の適切な区分に基づいて契約を締結する等の対処を行うことが、取引慣行を是正していくうえでも、適切であると考えられています。
(ソフトウェア取引の会計処理に関する実務上の取扱い第3項
研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A-Q18)
次のページでは、市場販販売目的のソフトウェアの売上を総額表示してはならなケースについて具体的にご紹介します。