市場販販売目的のソフトウェアの表示

市場販販売目的のソフトウェアに関する支出の内、研究開発活動に係る部分については、発生時に研究開発費として費用計上します。

PLで費用計上した研究開発費は、「研究開発費」の費目で通常は一般管理費の項目として表示します。

ただし例外的に、製造現場において研究開発活動が行われており、かつ、当該研究開発の費用を一括して製造費用として計上しているような場合は、当該研究開発費を当期製造費用に算入することが認められています。

研究開発費を当期製造費用に算入するに当たっては、研究開発費としての内容を十分に検討してその範囲を明確にし、製造費用に含めることが不合理である場合は、当期製造費用に算入することはできません。

特に、当期製造費用として計上したものの大部分が期末仕掛品として資産計上されるようなケースの場合、結果的に当期製造費用に計上した研究開発費が棚卸資産として計上されてしまうため、妥当な会計処理として認められないことに留意が必要です。
【研究開発費に該当する支出のPLの表示区分】
一般管理費(原則) 当期製造費用(例外)

研究開発費は原価性がないため、通常は一般管理費に”研究開発費”の費目で表示する

製造現場で研究開発活動が行われており、費用を一括して製造原価として計上しているような場合は当期製造費用計上が認められる

※ただし、下記の条件を満たさなければならない

①研究開発費の範囲を明確にすること

②製造原価として計上することに不合理性がないこと

(大部分が期末棚卸資産計上される場合はNG!)
(研究開発費等に係る会計基準(注2)
研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針4項
研究開発及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A-Q1・5
研究開発費に係る会計基準の設定に関する意見書四の1)
製品マスターの当期の制作原価は製造費用に含めて表示し、完成した製品マスター及び期末仕掛中の製品マスターの制作費は無形固定資産へ振替えることにより製造原価から控除します。

完成した製品マスターと仕掛中の製品マスターのBS表示にあたってはこれを区別することなく一括してソフトウェア等の名称で無形固定資産へ計上することを基本としていますが、仕掛品に重要性がる場合には、これを区分して表示することが望ましいとされています。

それに対して、製品マスターの減価償却費については製造費用には含めず、直接売上原価に参入して表示します。これはすでに製品マスターの制作費が製造費用に含まれているため、製造費用への2重計上を防ぐ目的があります。

また、バグ取り等、ソフトウェアの機能維持に要した費用は、発生の費用として売上原価に含めて表示します。

製品としてのソフトウェアの制作費については、製造費用に含めて表示し、期末に残っている完成品及び仕掛品については、棚卸資産に振替えることにより製造原価から控除します。

振替えを行った期末製品・仕掛品については、BS上で棚卸資産として表示します。
【市場販売目的のソフトウェアに関してPLに表示されるアイテム】
対象 PL上の表示

研究開発費として処理
したもの

原則:一般管理費の”研究
   開発費”の費目
例外:製造費用

製品マスターの制作費

製造費用

当期に完成した製品マスターの制作費

無形固定資産に振替えることで当期製品製造原価から控除

期末仕掛中の製品マスターの制作費

無形固定資産に振替えることで当期製品製造原価から控除

製品マスターの減価償却費

売上原価

ソフトウェアの機能維持に要した費用

売上原価

製品としてのソフトウェアの制作費

製造費用

期末製品及び仕掛品在庫

棚卸資産に振替えることで当期製品製造原価から控除
【市場販売目的のソフトウェアに関してBSに表示されるアイテム】
対象 BS上の表示

完成した製品マスター

ソフトウェア等の名称で無形固定資産に表示

仕掛中の製品マスター

完成した製品マスターと一括してソフトウェア等の名称で無形固定資産に表示

※ただし、仕掛品に重要性がる場合には、完成した製品マスターと区分して表示

期末製品在庫

棚卸資産

仕掛品在庫

棚卸資産
(研究開発費等に係る会計基準四の4・(注4)
研究開発費に係る会計基準の設定に関する意見書三の3(3)
研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針
第10・34・35項
研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A
-Q11・14・24)
次のページでは、市場販販売目的のソフトウェアの注記について具体的にご紹介します。