相続税における小規模宅地の特例

【小規模宅地の特例】
一定の要件を満たすことで、相続した土地の評価額を330㎡まで8割引きにできる
※330㎡を超える土地の場合は330㎡分だけ適用可
※以下についても適用可
・マンションの土地部分
・夫婦共有名義の土地
・二世帯住宅の土地
※特例を使用するには相続税申告が必要

≪特例による評価減の算定式≫
土地評価額×330㎡÷総面積×80%
小規模宅地の特例とは、一定の要件を満たすことで、相続した土地の評価額を、330㎡まで8割引きにできる制度です。

この制度を使用することで、例えば評価額1,000万円の土地を、8割引きの200万円で相続することできます。

"小規模宅地"という名前から、330㎡以上の土地では利用できないというイメージを持たれるかもしれませんが、そうではありません。

330㎡を超える土地であっても、330㎡分まではこの特例を使用することができます。

この特例は、マンションの土地部分や、夫婦共同名義の土地、二世帯住宅の土地であっても、適用することができます。

なお、特例を利用するには、必ず相続税の申告を行わなければなりません。

特例を利用することで相続税がゼロになる場合であっても、忘れずに申告をするようにしましょう。
【適用要件】
ケース 要件

被相続人の配偶者

無条件で適用可能
※別居でもOK!
※相続後すぐ売却してもOK!

被相続人の同居親族

①被相続人死亡時に同居している
 ※住民票が一緒だけだとNG
 ※亡くなる直前からでもOK!

②被相続人死亡後10カ月以上居住し続ける

被相続人の別居親族
(家なき子特例)

①被相続人に同居人がいない

②相続する別居親族が3年以上賃貸に住んでいること

③被相続人死亡後10カ月以上所有すること
小規模宅地の特例を適用するには、上記3つのケースのいずれかにおける要件を、全て満たさなければなりません。
被相続人の配偶者の場合は、被相続人の同居・別居を問わず特例を適用することができ、相続後すぐに売却することができます。
被相続人の被相続人の同居親族は、被相続人死亡時に同居している事実が必要です。

ここでいう”同居”は、実態を見られるため、単に住民票が同じであるだけでは要件を満たしません。

ただ、同居の期間までは定められていないため、亡くなる直前に同居を始めていても要件を満たします。

同居親族の場合は、被相続人死亡後、相続税の申告期限(相続開始後10カ月)までは、その建物に住み続けなければなりません。
被相続人の被相続人の別居親族は、被相続人が死亡時に同居していた配偶者や親族がいないという要件を満たさなければなりません。

また、過去3年以内にその親族やその親族の配偶者・3親等内の親族・同族会社等が所有する家屋に住んだことがないことに加えて、相続時にその親族が住んでいる家屋を過去に所有していないことという要件が追加されます。

これは実質、相続する別居親族が、過去3年以上賃貸で暮らしている”家なき子”でなければならないということです。

さらに、相続後においても、被相続人死亡後、相続税の申告期限(相続開始後10カ月)までは、その物件を所有し続けなければなりません。
【提出書類】
・相続人全員の戸籍謄本
 (相続開始から10日以降に作成されたもの)
・相続人全員の印鑑証明
・住民票
・遺言書又は遺産分割協議書の写し

≪被相続人が老人ホームに入居している場合の追加書類≫
・介護保険被保険者証の写し
・障害者福祉サービス受給者証の写し
・施設入居時契約書の写し
小規模宅地の特例を利用するためには、相続税申告の際に上記の書類を提出しなければなりません。

同居親族が相続する場合で、被相続人が老人ホームなどに入所している場合は、上記の”被相続人が老人ホームに入居している場合の追加書類”が追加で必要になります。
次のページでは、共有名義の土地における小規模宅地の特例について具体的にご紹介します。