通常の販売目的で保有する
棚卸資産の取得価額

棚卸資産を取得した際には、取得価額をもって資産計上します。

通常の販売目的で保有する棚卸資産の取得価額は、その取得形態の区分に応じて、購入品であれば購入代金に、製造品であれば製造原価に、贈与、交換、債権の代物弁済、現物出資、合併等により取得した品であれば取得時の適正時価(現金買入価額、現金売却価額等)に取引費用等の副費の一部又は全部を加算して算定します。

購入品の場合の購入代価は、送状価額から値引額・割戻額等を控除した金額です。ただし、割戻額が確実に予定できない場合は、これを控除しない送状価額で取得価額を算定することができます。

支払いの際に送状価額から控除される項目には引額・割戻額以外に、仕入割引があります。仕入割引とは、買い手が代金の支払いを一定の期日以内に行う場合に、代金の一定割合を減額するものです。

仕入割引については、財務収入と同様の性格のものであるため送状価額から控除せずに、営業外収益として計上します。
取得形態 取得価額

購入品

取得価額=購入代価+取引費用
     等の副費
※購入代価=送状価額-仕入引
      額・割戻額
 (仕入割引は控除せず、営業外収益として計上)

製造品

取得価額=製造原価+取引費用
     等の副費

贈与、交換、債権の代物弁済、現物出資、合併等により取得した品

取得価額=適正時価+取引費用
     等の副費
※適正時価には現金買入価
 額・現金売却価額等を使用
取引費用等の副費には、取引運賃・購買手数料等の外部副費と、購入事務費・保管費などの内部副費があります。

取得価額に加算する副費については、各企業の実情の応じ、収益費用対応の原則、重要性の原則、継続性の原則等を考慮して決定します。

購入に要した資金調達のための支払利子に関しては、原則として副費として取得価額には含めず期間費用として計上するとされています。ただし、不動産開発事業の開発資金のための支払利子の内、一定の条件を満たすものついて内部副費として取得価額に加算することが認められています。
外部副費 内部副費

引取運賃
購入手数料
関税
その他引取費用

購入事務費
保管費
不動産開発資金の支払利子の内一定条件を満たすもの
その他
(棚卸資産の評価に関する会計基準第6-2・7・23・34-2項
連続意見書第四棚卸資産の評価について第五項・(注10)
不動産開発事業を行う場合の支払利子の監査上の
取り扱いについて)
次のページでは、通常の販売目的で保有する棚卸資産(商品・製品)の期末評価について具体的にご紹介します。