通常の販売目的で保有する
棚卸資産とは

通常の販売目的で保有する棚卸資産とは、企業がその営業目的を達成するために保有し、売却を予定する商品や製品、さらに、その製品を製造する目的で保有する半製品・仕掛品、原材料などのことを言います。

ここでポイントとなるのは、『営業目的を達成するために』保有しているという点です。

そのため同じく売却を予定して保有する資産であっても、その目的が市場価格の変動により利益を得ることであれば、『通常の販売目的で保有する棚卸資産』ではなく、『トレーディング目的で保有する棚卸資産』となります。 (棚卸資産の評価に関する会計基準第3・7・28・30項)
棚卸資産は流動資産を構成するものですので、一般的に少額で軽微なもののイメージがありますが、不動産売買業における販売目的不動産など高額で大規模なものであっても、その営業目的を達成するために販売目的で保有しているものであれば、通常の販売目的で保有する棚卸資産に該当します。

さらに仕掛品についても、不動産開発・宅地造成を行うディベロッパーにおける開発事業等支出金や、工事契約における未成工事支出金などの大規模なもの、注文生産や請負作業についての仕掛中のものも、営業目的を達成するために販売する製品を製造する目的で保有するものに該当する場合は、通常の販売目的で保有する棚卸資産となります。 (棚卸資産の評価に関する会計基準第31・32項)
【通常の販売目的で保有する棚卸資産の要件】
要件1:営業目的を達成するために保有して
    いる
要件2:売却を予定する商品や製品又はその
    製品を製造する目的で保有する半製
    品・仕掛品、原材料

【通常の販売目的で保有する棚卸資産の具体例】
●卸売業における販売用商品
●不動産売買業における販売目的不動産
●不動産開発・宅地造成を行うディベロッパ
 ーにおける開発事業等支出金
●工事契約における未成工事支出金
●注文生産や請負作業についての仕掛中の
 もの
次のページでは、通常の販売目的で保有する棚卸資産の取得価額について具体的にご紹介します。