得意先元帳

得意先元帳とは、得意先ごとの売掛金の増減及び残高を記帳した補助元帳です。

売掛金の実務では、回収管理や与信管理等のために、得意先別の売掛金の増減及び残高を管理したい場面が多く有ります。

そのため、総勘定元帳上では売掛金勘定を一括して管理しつつ、補助元帳として得意先元帳を作成することで、一つの帳簿で、売掛金の統括管理と得意先別管理を同時に行うことができます。

得意先ごとの実績を帳簿上で区分するには、実務ではいくつかの方法が考えられます。

1つは、売掛金勘定を統制勘定として設定した上で、得意先ごとの人名勘定を設けてそれぞれの取引を区別する方法です。

2つめは、売掛金と同一の勘定科目を使用つつ、『顧客コード』等のコードを付けて、それぞれの取引を区別する方法です。
【得意先元帳とは】
得意先ごとの売掛金を記帳した補助元帳。実務では下記の様な方法で作成する。

 ①人名勘定で区分
 売掛金勘定を統制勘定とし、得意先ごとの
 『人名勘定』を勘定科目として使用し取引
 を特定

 ②顧客コード等で区分
 勘定科目は『売掛金』を使用しつつ、取引
 に『顧客コード』等を付けることで取引を
 特定
下記では、得意先元帳の会計処理について、具体例を使用してご紹介します。
前提条件
A社は得意先Aの売掛金に『得意先A』、得意先Bの売掛金に『得意先B』という人名勘定を設定しており、下記の取引を行った。

・X1年4月1日に得意先Aに対して10,000千円、得意先Bに
 対して5,000千円を掛で売り上げた
・X1年5月1日に売掛金の回収として、得意先Aより6,000
 千円、得意先Bより3,000千円が当座預金に
 入金された
【A社の会計処理】
① X1年4月1日(売上時)
借方 貸方
得意先A(売掛金) 10,000千円※1
得意先B(売掛金) 5,000千円※2
売上高 15,000千円※3
※1得意先Aへの売上高
※2得意先Bへの売上高
※3得意先Aへの売上高10,000千円+得意先Bへの売上高
  5,000千円
得意先A・Bへの売上を収益計上し、人名勘定である『得意先A』と『得意先B』の勘定科目で売掛金を資産計上します。
② X1年5月1日(売掛金回収時)
借方 貸方
現金及び預金 9,000千円※6 得意先A(売掛金) 6,000千円※4
得意先B(売掛金) 3,000千円※5
※4得意先Aからの入金額
※5得意先Bからの入金額
※6得意先Aからの入金額6,000千円+得意先Bからの入金額
  3,000千円
得意先A・Bからの入金を現金及び預金に計上し、相手勘定で人名勘定である『得意先A』と『得意先B』の勘定科目で売掛金をマイナスします。

上記の取引を集計することで、総勘定元帳及び得意先元帳は下記のように作成されます。
総勘定元帳
売掛金(=統制勘定)
4/1売上15,000 5/1現金9,000


同時に、得意先元帳は下記のように作成されます。
得意先元帳
得意先A
4/1売上10,000 5/1現金6,000

得意先B
4/1売上5,000 5/1現金3,000

次のページでは、売掛金の消費税法上の取扱いについてご紹介します。