別段預金の口座を使用して
新株発行増資を行った場合の
会計処理

【別段預金の口座を使用して新株発行増資を行った場合の会計処理】

■申込証拠金入金時
 
入金された金額を別段預金勘定に計上し、相手勘定で新株式申込証拠金を計上

 ≪仕訳イメージ≫
 (別段預金)XXX (新株式申込証拠金)XXX

■払込期日到来時
 
別段預金勘定にプールされた申込証拠金を営業用の預金口座へ振替え、同時に新株式申込証拠金勘定を資本金等へ
 振替え

 ≪仕訳イメージ≫
 (新株式申込証拠金)XXX (資本金)XXX
            (株式払込剰余金)XXX
 (当座預金)XXX     (別段預金)XXX
新株発行による増資を行う場合、新株の払込を引き受けた者は、払込期日までに、新株式申込証拠金を指定された口座に入金しなければなりません。

別段預金は、このような払込用の口座として使用されます。

株主となる効力発生日は、新株式申込証拠金の払込期日であるため、払い込まれた金額は払込期日までの間、『新株式申込証拠金』勘定に計上します。

そして、払込期日になると、資本金等に振替える増資の仕訳を計上します。

払込額は基本的には資本金となりますが、1/2を超えない額については資本準備金として計上することができます。

同じタイミングで、別段預金に預け入れていた資金も、当座預金等の営業用の口座へ振替えられます。



【参考文献】
仰星監査法人(2023)『勘定科目別仕訳処理ハンドブック/Ⅵ純資産-333新株発行を伴う増資を行った』
株式会社清文社
下記では、別段預金の口座を使用して新株発行増資を行った場合の会計処理について、具体例を使用してご紹介します。 【参考文献】
仰星監査法人(2023)『勘定科目別仕訳処理ハンドブック/Ⅵ純資産-333新株発行を伴う増資を行った』
株式会社清文社
前提条件
A社は下記の条件で新株発行による増資を行った。

・申込期日はX1年3月20日
・払込期日はX1年3月31日
・X1年3月25日に指定した別段預金口座に申込証拠金
 5,000千円の入金があった
・X1年3月27日に指定した別段預金口座に申込証拠金
 15,000千円の入金があった
・X1年3月31日に別段預金に預けていた申込証拠金を
 全額当座預金に振り替えた
・今回の増資による払込金額は、全額資本金とする
【A社の会計処理】
① X1年3月25日(申込証拠金入金時)
借方 貸方
別段預金 5,000千円※1 新株式申込証拠金 
       5,000千円※1
※1X1年3月25日の払込金額
払い込まれた金額で別段預金を資産計上し、相手勘定で新株式申込証拠金を計上します。
② X1年3月27日(申込証拠金入金時)
借方 貸方
別段預金 15,000千円※2 新株式申込証拠金 
       15,000千円※2
※2X1年3月27日の払込金額
X1年3月25日の払込と同様の会計処理を行います。
③ X1年3月31日(払込期日)
借方 貸方
当座預金 20,000千円※3
新株式申込証拠金 
       20,000千円※3
別段預金 20,000千円※3
資本金 20,000千円※3
※3払込総額
別段預金に計上していた払込金を全額当座預金勘定に振替えます。同時に、新株式払込証拠金を資本金勘定へ振替え、増資の仕訳を計上します。
次のページでは、別段預金の貸借対照表上の表示について具体的にご紹介します。