当座借越とは

【当座借越とは】

当座預金口座残高が不足した状態で、マイナス残高迄引き出すことにより発生する金融機関に対する借金

※小切手の不渡りを回避するための手段

※銀行との当座借越契約の締結が必要

※借越限度額は当座借越契約に基づく

※当座借越に対しては支払利息が発生する
当座借越とは、当座預金口座残高が不足した状態で、マイナス残高まで引き出すことにより発生する金融機関に対する借金です。

当座預金の口座残高不足で、振り出した小切手が不渡りとなってしまうと、手形交換所によって「不渡り報告」に掲載され、すべての金融機関に不渡りの事実が通知されます。

これはいわば「今後、この会社と取引する場合は注意しましょう」という警告で、「不渡り報告」に掲載されると、金融機関からの信用が大幅に下がるため、その後の借入などが難しくなってしまいます。

さらに、1度目の不渡りから6ヶ月以内に2度目の不渡りを出してしまった場合は、「取引停止報告」に掲載されることになり、金融機関に通知されます。

そうなると、通知日から2年間、当座預金取引や融資ができなくなってしまいます。

このような銀行取引停止処分になることで、さらなる信用の低下や資金繰りの悪化を招いて経営の継続が難しくなるため、このような状態に陥ることは「事実上の倒産」と呼ばれています。

このような手形の不渡りを回避するために、当座借越を行います。

当座借越を行うためには、金融機関と当座借越契約を結ぶ必要があります。

当座借越による借入には限度額があり、その限度額は当座借越契約に基づき決まっています。

当座借越による借入額には、その借入金額と期間に基づいた利息を支払わなければなりません。
【当座預金の2種類の仕訳計上方法】
①一勘定制
 常に『当座預金』等の同一の勘定科目で
 当座預金を計上

②二勘定制
 当座預金残高がプラスの場合  
  ⇒『当座預金』勘定等に計上

 当座預金残高がマイナスの場合 
  ⇒『当座借越』勘定等に計上
当座預金の会計処理方法には、一勘定制と二勘定制の2種類が有ります。

一勘定制は、当座預金がプラス残高でもマイナス残高(当座借越)でも、『当座預金』等の1つの勘定科目を使用して仕訳を計上します。

それに対して二勘定制は、当座預金がプラス残高の場合は『当座預金』等の勘定科目で、マイナス残高の場合は『当座借越』等の勘定科目で、区別して仕訳を計上します。
【参考文献】
仰星監査法人(2023)『勘定科目別仕訳処理ハンドブック/Ⅰ流動資産-預金21当座借越となった(過振り)』
株式会社清文社
次のページでは、当座借越の会計処理(一勘定制)について具体的にご紹介します。