銀行勘定調整表

預金の帳簿残高は、銀行の口座残高と本来一致すべきですが、当座預金については、小切手の取扱いがあること等により、両者の残高は必ずしも一致しません。

銀行勘定調整表は、そのような不一致の原因を明確にし調整するために作成します。

当座預金の帳簿残高と銀行口座残高の不一致の主な要因の代表例としては、下記のようなものが挙げられます。
【主な不一致要因】
項目 内容

未渡小切手

企業側で小切手を振り出して支払処理をしているが、相手方に引き渡されずに手元に残っている小切手

【企業側】
振出時に当座預金からマイナスしている

【銀行口座】
当座預金残高として残っている

未取付小切手

企業側で小切手を振り出して相手方に渡しているが、未だ銀行に呈示されていない小切手

【企業側】
振出時に当座預金から減算している

【銀行口座】
当座預金残高として残っている

未取立小切手

相手方から受取った小切手を銀行に呈示して回収処理をしたが、銀行では未だ取り立てが完了していない小切手

【企業側】
回収による当座預金増加分を加算している

【銀行口座】
未取立のため当座預金残高に加算されていない

時間外預入

銀行の営業時間外での預け入れ

【企業側】
預け入れの会計処理を行い、当座預金として加算している

【銀行口座】
時間外の取引のため、口座残高に加算されていない

銀行からの未通知取引

取引は生じているが、銀行からの連絡が未達のため企業側で未処理の取引

【企業側】
会計処理を行っていない

【銀行口座】
口座残高に加減されている
銀行勘定調整表の作成方法は、『銀行残高・企業残高区分調整法』、『銀行残高基準法』、『企業残高基準法』の3種類があります。
『銀行残高・企業残高区分調整法』は、銀行口座残高と企業の帳簿残高を横並びに表示して、両者の残高を起点とし、それぞれ不一致の原因となった取引を加減して、あるべき残高を求める方法です。

この方法では、調整後の修正残高が、企業の帳簿残高としてあるべき数字になるため、修正前の企業の帳簿残高に対して加減された不一致原因について、調整のための仕訳を計上すればOKです。

『銀行残高・企業残高区分調整法』での銀行勘定調整表は、具体的には下記の様な形式になります。
【銀行残高・企業残高区分調整法の形式】
銀行勘定調整表
X01年3月31日 (単位:円)
当座預金勘定残高 銀行残高証明書残高
X01年3月31日現在 XXX XXX
加算: XXX XXX
減算: XXX XXX
修正残高 XXX XXX





『銀行残高基準法』は、銀行口座残高を起点として、企業の帳簿残高との不一致要因を加減していき、企業の帳簿残高に一致せしめる方法です。

この方法では、加減された不一致原因の中に、調整仕訳を計上すべきものとそうでないものが混在します。

そのため、調整仕訳を計上する際には、企業の帳簿残高を修正する必要があるものを選別して対象を特定します。

『銀行残高基準法』での銀行勘定調整表は、具体的には下記の様な形式になります。
【銀行残高基準法の形式】
銀行勘定調整表
X01年3月31日 (単位:円)
銀行残高証明書残高 XXX
加算: XXX XXX
XXX
減算: XXX XXX
当座預金勘定残高 XXX





『企業残高基準法』は、企業の帳簿残高を起点として、銀行口座残高との不一致要因を加減していき銀行口座残高に一致せしめる方法です。

この方法では、『銀行残高基準法』と同様に、加減された不一致原因の中に、調整仕訳を計上すべきものとそうでないものが混在するため、企業の帳簿残高を修正する必要があるものを選別して、調整仕訳を計上します。

『企業残高基準法』での銀行勘定調整表は、具体的には下記の様な形式になります。
【企業残高基準法の形式】
銀行勘定調整表
X01年3月31日 (単位:円)
当座預金勘定残高 XXX
加算: XXX XXX
XXX
減算: XXX XXX
銀行残高証明書残高 XXX





次のページでは、時間外預入の会計処理について具体的にご紹介します。