銀行からの未通知取引
の会計処理

【銀行からの未通知取引の会計処理】

●銀行からの未通知取引とは
口座取引は発生しているものの、銀行からの連絡等が未達で仕訳未計上の取引

●残高の状態
当座預金勘定残高:未反映
銀行残高証明書残高:既に当座預金口座残高
          に加減されている

●会計処理
未通知取引の内容に則って、適切な調整仕訳を計上
※銀行勘定調整表で当座預金勘定残高に加減
銀行からの未通知取引とは、銀行口座取引が発生しているものの、銀行からの連絡等が企業に未達のため、企業の会計上簿上での仕訳が未計上の取引をいいます。

銀行では既に取引を認識しているので、預金口座残高には反映されていますが、企業側では未認識のため当座預金勘定残高に反映されておらず、両者に差異が生じます。

このような取引は実際に発生済みであるため、企業側の会計帳簿上で適切な仕訳を行うとともに、銀行勘定調整表で、当座預金勘定残高に加減する必要があります。
下記では、銀行からの未通知取引の会計処理について、具体例を使用してご紹介します。
前提条件
A社のX01年3月31日決算日の当座預金勘定残高は2,000千円であったが、銀行から取り寄せた銀行残高証明書の当座預金残高は10,000千円であった。両者の差異を調査したところ、下記の事項が判明した。

・X01年3月31日に売掛金9,000千円が入金されていたが
 未通知であった
・X01年3月31日に借入金利息1,000千円が引き落とされて
 いたが未通知であった
・A社の決算日は3月31日
【A社の会計処理】
① X1年3月31日(未通知取引調整仕訳)
借方 貸方
当座預金 9,000千円※1
支払利息 1,000千円※2
売掛金 10,000千円※1
当座預金 1,000千円※2
※1売掛金代金の回収金額
※2支払利息の引き落とし額
未通知となっていた取引について、それぞれ適切に仕訳を計上します。

この場合の銀行勘定調整表は、『銀行残高・企業残高区分調整法』『銀行残高基準法』『企業残高基準法』それぞれで、下記のようになります。
【銀行残高・企業残高区分調整法】
銀行勘定調整表
X01年3月31日 (単位:千円)
当座預金勘定残高 銀行残高証明書残高
X01年3月31日現在 2,000 10,000
加算:掛代金振込未通知 9,000
減算:利息引落未通知  1,000
修正残高 10,000 10,000





【銀行残高基準法での銀行勘定調整表】
銀行勘定調整表
X01年3月31日 (単位:千円)
銀行残高証明書残高 10,000
加算:利息引落未通知  1,000 1,000
減算:掛代金振込未通知 9,000 9,000
当座預金勘定残高  2,000





【企業残高基準法での銀行勘定調整表】
銀行勘定調整表
X01年3月31日 (単位:千円)
当座預金勘定残高  2,000
加算:掛代金振込未通知 9,000 9,000
減算:利息引落未通知  1,000 1,000
銀行残高証明書残高 10,000





次のページでは、預金の預入・引き出しの消費税法上の取扱いについて具体的にご紹介します。