賃貸等不動産部分とそれ以外で構成させる不動産の取り扱い
不動産の中には、賃貸等不動産として使用している部分と、物品の製造や販売、サービスの提供、経営管理に使用している部分が混在しているものが存在します。
このような場合、その不動産を用途別に区分し、賃貸等に使用している部分のみ賃貸等不動産に含めなければなりません。
該当の不動産を区分するにあたっては、管理会計上の区分方法、その他の合理的な方法を用いるとされています。
ただし、副次的に使用している部分の割合や重要性が低い場合は、両者を区分せずに取り扱うことができます。
このような場合、その不動産を用途別に区分し、賃貸等に使用している部分のみ賃貸等不動産に含めなければなりません。
該当の不動産を区分するにあたっては、管理会計上の区分方法、その他の合理的な方法を用いるとされています。
ただし、副次的に使用している部分の割合や重要性が低い場合は、両者を区分せずに取り扱うことができます。
【賃貸等不動産部分とそれ以外で構成させる不動産の取り扱い】
原則:不動産を用途別に区分し、賃貸等に
使用している部分のみ賃貸等不動産と
する
例外:副次的に使用している部分の割合や
重要性が低い場合は、両者を区分せず
全体を主な用途のための不動産と
みなすことができる
原則:不動産を用途別に区分し、賃貸等に
使用している部分のみ賃貸等不動産と
する
例外:副次的に使用している部分の割合や
重要性が低い場合は、両者を区分せず
全体を主な用途のための不動産と
みなすことができる
この重要性の判定基準は、主な用途が賃貸等不動産かそれ以外かで異なります。
主な用途が賃貸等の不動産については、一般的な重要性の判断に基づき、賃貸等以外で使用している部分の重要性が乏しい場合は、全体を賃貸等不動産として取り扱うことができます。
それに対して、主な用途が賃貸等以外の不動産については、賃貸等不動産として使用される部分の割合が低いと考えられる場合は、その不動産全体を賃貸等不動産以外の不動産として取り扱うことができます。
ここで留意しなければならないのは、『割合が低い』ことのみが要求されており、『重要性が低い』ことが要件とされてないということです。
賃貸等に使用している割合が低い場合は、貸等不動産としての使用が副次的・一時的であると考えられるため、実務負担等を配慮してこのような要件とされています。
主な用途が賃貸等の不動産については、一般的な重要性の判断に基づき、賃貸等以外で使用している部分の重要性が乏しい場合は、全体を賃貸等不動産として取り扱うことができます。
それに対して、主な用途が賃貸等以外の不動産については、賃貸等不動産として使用される部分の割合が低いと考えられる場合は、その不動産全体を賃貸等不動産以外の不動産として取り扱うことができます。
ここで留意しなければならないのは、『割合が低い』ことのみが要求されており、『重要性が低い』ことが要件とされてないということです。
賃貸等に使用している割合が低い場合は、貸等不動産としての使用が副次的・一時的であると考えられるため、実務負担等を配慮してこのような要件とされています。
【副次的に使用している部分の割合や重要性が低い場合の取り扱い】
主な用途 | 重要性の判定 |
---|---|
賃貸等 |
【要件】 一般的な重要性の判断に基づき、賃貸等以外で使用している部分の重要性が乏しいこと 【取り扱い】 全体を賃貸等不動産とできる |
賃貸等以外 |
【要件】 賃貸等不動産として使用される部分の割合が低いこと 【取り扱い】 全体を賃貸等不動産以外とできる |
(賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準
第7・29項
賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準の適用指針
第7項
賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準及び適用指針(案)に対するコメント(9)・(10))
第7・29項
賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準の適用指針
第7項
賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準及び適用指針(案)に対するコメント(9)・(10))
また、このように1つの不動産を賃貸目的等を含む複数の目的で使用している場合、賃貸等不動産に使用している部分の時価又は損益を、実務上把握することが困難なケースがあります。
その場合は、区分を行わず当該不動産全体を注記の対象とすることができます。その際には、他の賃貸不動産とは別建てで、注記事項を開示しなければなりません。
その場合は、区分を行わず当該不動産全体を注記の対象とすることができます。その際には、他の賃貸不動産とは別建てで、注記事項を開示しなければなりません。
【不動産の時か又は損益を用途別に区分できない場合】
区分を行わず当該不動産全体を注記の対象とすることができる
⇒他の賃貸不動産とは別建てで注記事項を
要開示
区分を行わず当該不動産全体を注記の対象とすることができる
⇒他の賃貸不動産とは別建てで注記事項を
要開示
(賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準の適用指針
第17項)
第17項)
下記では、賃貸等不動産として使用される部分を区分しない場合の注記を具体例を使用してご紹介します。(参考:賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準の適用指針開示例3)
【注記例:賃貸等不動産として使用される部分を区分しない場合】
当社は、東京その他の地域において、複数の賃貸用のオフィスビルを保有しています。なお、賃貸オフィスビルの一部については、当社の本社としているため、賃貸等不動産として使用される部分を含む不動産としております。
これらの賃貸等不動産及び賃貸等不動産として使用される部分を含む不動産に関する貸借対照表上計上額、当期増減額及び時価は、次のとおりであります。
これらの賃貸等不動産及び賃貸等不動産として使用される部分を含む不動産に関する貸借対照表上計上額、当期増減額及び時価は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
貸借対照表計上額 | 当期末の時価 | |||
---|---|---|---|---|
前期末残高 | 当期増減額 | 当期末残高 | ||
賃貸等 不動産 |
250 | 50 | 300 | 350 |
賃貸等不動産として使用される部分を含む不動産 | 80 | ▲3 | 77 | 100 |
(注1)貸借対照表計上額は、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額であります。
(注2)賃貸等不動産の当期増減額のうち、主な増加額は不動産の取得(65百万円)であり、主な減少額は減損損失
(10百万円)であります。
(注3)当期末の時価は、主として「不動産鑑定評価基準」に基づいて自社で算定した金額(指標等を用いて調整を行った
ものを含む。)であります。
(注2)賃貸等不動産の当期増減額のうち、主な増加額は不動産の取得(65百万円)であり、主な減少額は減損損失
(10百万円)であります。
(注3)当期末の時価は、主として「不動産鑑定評価基準」に基づいて自社で算定した金額(指標等を用いて調整を行った
ものを含む。)であります。
また、賃貸等不動産及び賃貸等不動産として使用される部分を含む不動産に関するXX年3月期における損益は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
賃貸収益 | 賃貸費用 | 差額 | その他 (売却 損益等) |
|
---|---|---|---|---|
賃貸等 不動産 |
35 | 10 | 25 | 30 |
賃貸等不動産として使用される部分を含む不動産 | 12 | 4 | 8 | 0 |
(注)賃貸等不動産として使用させる部分を含む不動産には、当社の本社として使用される部分も含むため、当該部分の
賃貸収益は計上されておりません。なお、当該不動産に係る費用(減価償却費、修繕費、保険料、租税公課等)につ
いては、賃貸費用に含まれております。
賃貸収益は計上されておりません。なお、当該不動産に係る費用(減価償却費、修繕費、保険料、租税公課等)につ
いては、賃貸費用に含まれております。
次のページでは、賃貸等不動産におけるリース物件の取り扱いについて具体的にご紹介します。