在外子会社の外貨建財務諸表の為替換算手順
外貨建てで作成されている在外子会社の財務諸表を円換算する場合は、下記の手順で行います。
【外貨建在外子会社財務諸表の為替換算の
手順】
ステップ1:PL項目(当期純利益も含む)をそれ
ぞれ適用される為替相場で円換算
する
ステップ2:PLの貸借差額を為替差損益として
計上(連結会社間取引に関連して
発生)
ステップ3:PLで算定した当期純利益をSSに
転記する
ステップ4:当期純利益以外のSS項目をそれ
ぞれ適用される為替相場で円換算
する
※当期首残高は前期末に計算
された円貨額
ステップ5:SSの貸借差額を利益剰余金の当期
末残高とする
ステップ6:SSで算定した利益剰余金月末残高
をBSに転記する
ステップ7:BS項目をそれぞれ適用される為替
相場で円換算する
ステップ8:円換算後のBSの貸借差額を
為替換算調整勘定とする
手順】
ステップ1:PL項目(当期純利益も含む)をそれ
ぞれ適用される為替相場で円換算
する
ステップ2:PLの貸借差額を為替差損益として
計上(連結会社間取引に関連して
発生)
ステップ3:PLで算定した当期純利益をSSに
転記する
ステップ4:当期純利益以外のSS項目をそれ
ぞれ適用される為替相場で円換算
する
※当期首残高は前期末に計算
された円貨額
ステップ5:SSの貸借差額を利益剰余金の当期
末残高とする
ステップ6:SSで算定した利益剰余金月末残高
をBSに転記する
ステップ7:BS項目をそれぞれ適用される為替
相場で円換算する
ステップ8:円換算後のBSの貸借差額を
為替換算調整勘定とする
下記では、現地通貨建てで作成されている在外子会社の財務諸表の為替換算について、具体例を使用してご紹介します。
前提条件 | ||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
日本法人であるA社は、アメリカに本社を置くZ社の株式を100%保有している。
Z社の今期末の損益計算書、株主資本等変動計算書、貸借対照表は下記の通りであった。
・Z社はA社に手数料として50千USDを支払っており、支払時の 為替相場は@120円/USDであった ・当期の期中平均為替相場は@100円/USDであった
・利益剰余金の円建前期末残高は136,500千円であった ・Z社の配当時の為替相場は@103円/USDであった
・当期末為替相場は@110円/USDであった ・Z社の支配獲得時の為替相場は@101円/USDであり、 それ以降Z社は増資を行っていない |
【Z社の財務諸表項目の換算】
① 損益計算書
① 損益計算書
損益計算書(単位:千円) | |
---|---|
期首商品棚卸高 70,000※1
当期商品仕入高 300,000※2 広告宣伝費 50,000※3 支払手数料 11,000※4 当期純利益 70,000※5 |
売上高 440,000※6
期末商品棚卸高 60,000※7 為替差益 1,000※8 |
501,000 | 501,000 |
※1期首商品棚卸高千700USD×期中平均為替相場
@100円/USD
※2当期商品仕入高3,000千USD×期中平均為替相場
@100円/USD
※3広告宣伝費期末残高500千USD×期中平均為替相場
@100円/USD
※4A社への支払手数料50千USD×支払時為替相場
@120円/USD
+(支払手数料期末残高100千USD
-50千USD)×期中平均為替相場@100円/USD
※5当期純利益700千USD×期中平均為替相場@100円/USD
※6売上高4,400千USD×期中平均為替相場@100円/USD
※7期末商品棚卸高600千USD×期中平均為替相場
@100円/USD
※8貸借差額
@100円/USD
※2当期商品仕入高3,000千USD×期中平均為替相場
@100円/USD
※3広告宣伝費期末残高500千USD×期中平均為替相場
@100円/USD
※4A社への支払手数料50千USD×支払時為替相場
@120円/USD
+(支払手数料期末残高100千USD
-50千USD)×期中平均為替相場@100円/USD
※5当期純利益700千USD×期中平均為替相場@100円/USD
※6売上高4,400千USD×期中平均為替相場@100円/USD
※7期末商品棚卸高600千USD×期中平均為替相場
@100円/USD
※8貸借差額
② 株主資本等変動計算書
株主資本等変動計算書(利益剰余金のみ)(単位:千円) | |
---|---|
剰余金の配当 30,900※9
当期末残高 175,600※12 |
当期首残高 136,500※10
当期純利益 70,000※11 |
206,500 | 206,500 |
※9剰余金の配当額300USD×配当時の為替相場@103円/USD
※10利益剰余金の円建前期末残高136,500千円
※11当期純利益700千USD×期中平均為替相場@100円/USD
※12貸借差額
※10利益剰余金の円建前期末残高136,500千円
※11当期純利益700千USD×期中平均為替相場@100円/USD
※12貸借差額
③ 貸借対照表
貸借対照表(単位:千円) | |
---|---|
現金預金 220,000※14
商品 66,000※15 貸付金 264,000※16 為替換算調整勘定 71,600※19 |
借入金 143,000※17
資本金 303,000※18 利益剰余金 175,600※13 |
621,600 | 621,600 |
※13株主資本等変動計算書より転記
※14現金預金期末残高2,000USD×当期末為替相場
@110円/USD
※15商品期末残高600USD×当期末為替相場@110円/USD
※16貸付金期末残高2,400USD×当期末為替相場@110円/USD
※17借入金期末残高1,300USD×当期末為替相場@110円/USD
※18資本金期末残高3,000USD×支配獲得時の為替相場
@101円/USD
※19貸借差額
※14現金預金期末残高2,000USD×当期末為替相場
@110円/USD
※15商品期末残高600USD×当期末為替相場@110円/USD
※16貸付金期末残高2,400USD×当期末為替相場@110円/USD
※17借入金期末残高1,300USD×当期末為替相場@110円/USD
※18資本金期末残高3,000USD×支配獲得時の為替相場
@101円/USD
※19貸借差額
次のページでは、在外子会社の為替換算調整勘定の税効果の会計処理について具体的にご紹介します。