在外子会社の為替換算調整勘定の税効果

連結財務諸表の作成又は持分法の適用にあたり、在外子会社及び関連会社の換算によって生じた差額は、連結会社間取引の相殺により発生したものを除き、為替換算調整勘定として貸借対照表の資本の部に記載します。

在外子会社等の財務諸表の換算手続で発生する為替換算調整勘定は、在外子会社等の経営成績とは無関係に発生するものであるため、その他有価証券評価差額金と同様に、損益計算書を経由せずに純資産の部の独立項目として累積されます。 (外貨建取引等会計処理基準三4
外貨建取引等会計処理基準の改訂に関する意見書二3・三8
外貨建取引等の会計処理に関する実務指針第75項)
連結貸借対照表の純資産の部に計上された為替換算調整勘定は、在外子会社等に対する投資持分から発生した為替換算差額であるものの、未だ連結上の純損益に計上されていないため、投資会社(親会社)の将来の損益であるという性格を有します。 (外貨建取引等の会計処理に関する実務指針第42項)
そのため、投資会社(親会社)の将来減算一時差異又は将来加算一時差異に該当し、税効果会計の対象となり得ます。

しかし、為替換算調整勘定は子会社等の株式を処分したときなどに限り損益として実現するものであるため、税効果会計の適用については、税効果適用指針に従って慎重に判断しなければなりません。 (外貨建取引等会計処理基準の改訂に関する意見書三8
外貨建取引等の会計処理に関する実務指針第43項)
【為替換算調整勘定に関する税効果】
為替換算調整勘定は投資会社(親会社)の将来減算一時差異又は将来加算一時差異に該当

※ただし、損益の実現は子会社等株式の処分
 時であるため、税効果会計の適用について
 は慎重な検討が必要!
次のページでは、在外子会社の資本連結について具体例を使ってわかりやすくご紹介します。