在外子会社の株式持分比率が減少した場合の会計処理

在外子会社の株式持分比率が減少した場合の会計処理は、為替換算調整勘定の取り扱いを除き、基本的には通常の内国子会社と同様です。
連結貸借対照表の純資産の部に計上された為替換算調整勘定は、在外子会社等に対する投資持分から発生した為替換算差額であるものの、未だ連結上の純損益に計上されていないため、投資会社(親会社)の将来の損益であるという性格を有します。

そのため、持分変動により親会社の持分比率が減少する場合、為替換算調整勘定のうち持分比率の減少割合相当額は取り崩さなければなりません。 (外貨建取引等の会計処理に関する実務指針第42項)
取り崩した為替換算調整勘定の会計処理は、持ち分比率の減少でその在外子会社への支配関係が継続するか否かにより異なります。

具体的には、それぞれのケースで下記のように取り扱います。
支配関係 為替換算調整勘定(持分比率の減少割合相当額)の処理

支配を喪失

株式売却損益を構成し連結損益計算書に計上

支配が継続

資本剰余金に計上
株式を売却したことにより支配を喪失した場合は、親会社の個別財務諸表上の子会社株式売却損益を連結財務諸表上の売却損益に修正する形で、一部売却の処理を行います。

その際に、売却した部分に係る為替換算調整勘定も含んだ形で、連結上の子会社株式売却損益が算定されます。
株式を売却しても支配が継続する場合は、連結上は子会社株式売却損益を計上せず、連結修正仕訳の中の持分の一部売却の仕訳で、親会社の持分の減少額と投資の減少額との差額を資本剰余金として処理します。

その際に、売却した部分に係る為替換算調整勘定についても、一緒に資本剰余金に振替えられます。

支配が継続する場合の一部売却の仕訳例は、下記のようになります。
【支配が継続する場合の一部売却の仕訳例】

(子会社株式)××※1    (非支配株主持分)××※4
(子会社株式売却益)××※2 (資本剰余金)××※5
(為替換算調整勘定)××※3

※1売却した子会社株式の親会社貸借対照表上
  の売却時帳簿価額
※2親会社個別損益計算表上の子会社株式
  売却益
※3売却した持分に係る為替換算調整勘定
※4在外子会社外貨建純資産額×期末直物為替
  相場×売却持分比率
※5貸借差額
(外貨建取引等の会計処理に関する実務指針第42-2・42-3・75・76項・設例13)
次のページでは、在外子会社等の配当金の為替換算について具体的にご紹介します。