在外支店の外貨建財務諸表の為替換算手順
外貨建で作成されている支店の財務諸表を円換算する場合は、下記の手順で行います。
【外貨建在外支店財務諸表の為替換算
の手順】
ステップ1:BS項目をそれぞれ適用される為替
相場で円換算する
ステップ2:円換算したBSの貸借差額を支店の
当期純利益とする
ステップ3:BSで算定した当期純利益をPLに
転記する
ステップ4:当期純利益以外のPL項目をそれ
ぞれ適用される為替相場で円換算
する
ステップ5:PLの円建て費用・収益・当期純
利益の差額を為替差損益とする
の手順】
ステップ1:BS項目をそれぞれ適用される為替
相場で円換算する
ステップ2:円換算したBSの貸借差額を支店の
当期純利益とする
ステップ3:BSで算定した当期純利益をPLに
転記する
ステップ4:当期純利益以外のPL項目をそれ
ぞれ適用される為替相場で円換算
する
ステップ5:PLの円建て費用・収益・当期純
利益の差額を為替差損益とする
下記では、外貨建てで作成されている在外支店の財務諸表の為替換算について、具体例を使用してご紹介します。
前提条件 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
東京に本社があるA社は、アメリカ支店を開設しており、アメリカ支店の今期末の決算整理後残高試算表は下記の通りであった。
・アメリカ支店の財務諸表はドル建てで作成している ・当期の外部商品仕入高は270千USDで、期首商品在庫は ゼロ、期末棚卸在庫は20千USDであった ・備品は全て前々期首に取得したものである ・有価証券は当期中に売買目的で取得したものであり、取得 価額は143千USD取得時為替相場は@105円/USD であった ・売上、仕入、その他営業費用については期中平均相場で換算 する方法を採用している ・本店におけるアメリカ支店勘定は45,835千円であった ・本店におけるアメリカ支店売上勘定は4,240千円であった ・前々期首為替相場@120円/USD、当期期中平均為替相場 @100円/USD、当期末為替相場@110円/USD |
【アメリカ支店の財務諸表項目の換算】
① 貸借対照表
① 貸借対照表
決算整理後残高試算表(単位:千円) | |
---|---|
現金預金 5,500※1
売掛金 11,220※2 有価証券 15,400※3 繰越商品 2,000※4 備品 36,000※5 当期純損失 1,965※11 |
貸倒引当金 550※7
減価償却累計額 4,800※8 長期借入金 20,900※9 本店 45,835※10 |
72,085 | 72,085 |
※1現金預金期末残高50千USD×当期末為替相場@110円/USD
※2売掛金期末残高102千USD×当期末為替相場@110円/USD
※3有価証券外貨建期末残高140千USD×当期末為替相場
@110円/USD
※4期末棚卸在庫20千USD×当期期中平均為替相場
@100円/USD
※5備品外貨建残高300千USD×備品取得時為替相場
@120円/USD
※7貸倒引当金期末残高5千USD×当期末為替相場
@110円/USD
※8減価償却累計額外貨建残高40千USD×備品取得時為替相場
@120円/USD
※9長期借入金期末残高190千USD×当期末為替相場
@110円/USD
※10本店におけるアメリカ支店勘定
※11貸借差額
※2売掛金期末残高102千USD×当期末為替相場@110円/USD
※3有価証券外貨建期末残高140千USD×当期末為替相場
@110円/USD
※4期末棚卸在庫20千USD×当期期中平均為替相場
@100円/USD
※5備品外貨建残高300千USD×備品取得時為替相場
@120円/USD
※7貸倒引当金期末残高5千USD×当期末為替相場
@110円/USD
※8減価償却累計額外貨建残高40千USD×備品取得時為替相場
@120円/USD
※9長期借入金期末残高190千USD×当期末為替相場
@110円/USD
※10本店におけるアメリカ支店勘定
※11貸借差額
② 損益計算書
決算整理後残高試算表(単位:千円) | |
---|---|
当期商品仕入高 27,000※13
本店仕入 4,240※14 貸倒引当金繰入 500※15 減価償却費 3,600※16 その他営業費 6,000※17 |
売上高 32,000※18
期末商品棚卸高 2,000※19 有価証券評価損 385※20 為替差益 4,990※21 当期純損失 1,965※12 |
41,340 | 41,340 |
※12BSで算定した当期純損失額
※13当期商品仕入高270千USD×当期期中平均為替相場
@100円/USD
※14本店におけるアメリカ支店売上勘定
※15貸倒引当金繰入額5千USD×当期期中平均為替相場
@100円/USD
※16減価償却費外貨建計上額30千USD×備品取得時為替相場
@120円/USD
※17その他営業費期末残高60千USD×当期期中平均為替相場
@100円/USD
※18売上高期末残高320千USD×当期期中平均為替相場
@100円/USD
※19期末棚卸在庫20千USD×当期期中平均為替相場
@100円/USD
※20有価証券円建期末残高15,400千円-有価証券取得時外貨建
価額143千USD×取得時為替相場@105円/USD
※21貸借差額
※13当期商品仕入高270千USD×当期期中平均為替相場
@100円/USD
※14本店におけるアメリカ支店売上勘定
※15貸倒引当金繰入額5千USD×当期期中平均為替相場
@100円/USD
※16減価償却費外貨建計上額30千USD×備品取得時為替相場
@120円/USD
※17その他営業費期末残高60千USD×当期期中平均為替相場
@100円/USD
※18売上高期末残高320千USD×当期期中平均為替相場
@100円/USD
※19期末棚卸在庫20千USD×当期期中平均為替相場
@100円/USD
※20有価証券円建期末残高15,400千円-有価証券取得時外貨建
価額143千USD×取得時為替相場@105円/USD
※21貸借差額
次のページでは、在外子会社の財務諸表換算に使用する為替相場について具体的にご紹介します。