公社債の利札の会計処理

【公社債の利札とは】
公社債に付いている利息を受け取るための引換券

【公社債の利札の会計処理】
期日到来前:資産認識しない
期日到来後:『現金』として取り扱う
公社債とは、国が発行する「国債」、地方公共団体が発行する「地方債」、会社が発行する「社債」の総称で、国・地方公共団体・会社が借金をする際に発行する借用証書です。

公社債には利札という利息を受け取るための引換券が付いており、利札にはそれぞれ利払期日が記載されています。

利払期日が到来した利札を切り取って銀行に持って行くと、現金と交換してもらえます。

そのため公社債の利札は期日到来前は資産として認識しませんが、期日到来後は現金と同じ役割を果たす『貨幣代用証券』に該当し、会計処理上は『現金』として取り扱われます。

期日が到来した場合は、所得税を差し引き、現金を入金されたとして会計処理します。

差し引いた所得税は、法人税の前払いであるため仮払法人税に計上します。

仮払法人税は、期末決算において法人税額から控除することができます。

ただし、元本の保有期間に対応する部分のみが税額控除の対象となるため留意が必要です。
【参考文献】
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則第15条1号
財務諸表等規則ガイドライン15-1-1
仰星監査法人(2023)『勘定科目別仕訳処理ハンドブック/Ⅰ流動資産-現金3⃣期日到来の公社債の利札ががる』株式会社清文社
下記では、公社債の利札の会計処理について、具体例を使用してご紹介します。
前提条件
A社はX1年4月1日に、国債10,000千円を購入した。
・国債には利払期日がX1年5月31日の利札30千円が付いて
 いる
・このうち、所得税は5千円であった
【A社の会計処理】
① X1年4月1日(国債購入時)
借方 貸方
有価証券 10,000千円※1 現金 10,000千円※1
※1国債の購入金額
購入した国債を有価証券に計上します。利札については期日未到来のため、資産として認識しません。
② X1年5月31日(利払期日到来時)
借方 貸方
現金 25千円※4
仮払法人税 5千円※3
有価証券利息 30千円※2
※2期日が到来した利札の金額
※3所得税額
※4期日が到来した利札の金額30千円-所得税額5千円
受領した利札の金額で有価証券利息を収益計上し、所得税額を仮払法人税に計上します。両社の差額を現金として資産計上します。
次のページでは、配当金領収書の会計処理について具体的にご紹介します。