平成24年4月27日~令和元年7月7日以前に契約したがん保険
(終身保障&解約返戻金なし)の支払保険料の会計処理

【平成24年4月27日~令和元年7月7日以前に契約したがん保険(終身保障&解約返戻金なし)の支払保険料の会計処理】




契約者 被保険者 保険金の
受取人
支払保険料の会計処理
法人 役員
使用人
法人 保険料等で払込の都度
損金算入
役員
使用人
(普遍的加入である)
役員
使用人
の遺族
福利厚生費等で払込の都度
損金算入
役員
使用人
(普遍的加入でない)
役員
使用人
の遺族
被保険者の給与となる
※役員報酬の場合は定期同額
 給与
法人が自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者として、平成24年4月27日~令和元年7月7日以前に契約したがん保険(保険期間終了に際して保険金が支給されないもの)の内、終身保障タイプで、かつ、解約返戻金のない契約の払込保険料の会計処理は、被保険者となる対象者の範囲と、保険金又は給付金の受取人が誰かにより異なります。
保険金又は給付金の受取人が法人である場合、払込保険料は、保険料等で払込の都度損金算入します。
保険金又は給付金の受取人が被保険者の遺族である場合、払込保険料は、福利厚生費等で払込の都度損金算入します。

ただし、保険金又は給付金の受取人が被保険者の遺族である場合で、役員又は部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者としている場合は、払込保険料は、当該役員又は使用人に対する給与となります。

このとき、被保険者が役員で、法人が負担する保険料が毎月おおむね一定である場合は、定期同額給与となります。

特定の役員または部課長その他特定の使用人のみを被保険者とした加入でないことを『普遍的加入』といいます。

普遍的加入の詳細な要件については、下記のページをご参照下さい。
保険契約における普遍的加入とは
がん保険(保険期間終了に際して保険金が支給されないもの)の支払保険料の会計処理は、昭和50年及び昭和54年に初めて規定され、その後、成13年及び平成24年、及び令和元年に改正されています。

平成13年の改正においては、それまで払込の都度損金算入するとしていたがん保険の内、『終身保障タイプの有期払込』については、保険期間と保険料支払期間の不一致により前払いとなる支払保険料を、資産計上しなければならないというルールが規定されました。

それに対して、平成24年の改正では、『終身保障タイプのがん保険』を、解約返戻金の有無で区分し、解約返戻金の無い終身保障タイプについては、有期払込であっても、払込の都度損金算入できるというルールに変更されました。

しかしながら、このようなルールの基では、有期払込(短期払い)とすることにより、不当に利益操作がされてしまうケースが多く発生しました。

そのため、令和元年の改正において、解約返戻金のない契約であっても、原則として期間の経過に伴い損金算入し、ごく少額であるもののみが払込時に損金算入できるというルールに再度変更されました。

平成24年の改正後規定については、平成24年4月27日以降に契約したがん保険についてのみ適用されます。

令和元年の改正についても、令和元年7月8日以降に契約した保険契約にのみ適用されます。

ただし、令和元年の大きな改正は令和元年7月8日以降に契約したものに適用されるとされていますが、『解約返戻金がなく、短期払いの契約』の取扱いについてのみ、『令和元年10月8日以降』とされているため留意して下さい。

上記より、現存する平成24年4月27日~令和元年7月7日以前に契約した『終身保障タイプ・解約返戻金なし』のがん保険、及び、令和元年7月8日~令和元年10月7日以前に契約した『終身保障タイプ・解約返戻金なし・短期払い』のがん保険の保険料については、平成24年の改正で規定されていた『払込の都度損金経理できる』会計処理が適用されます。 【参考文献】
平成24年4月27日 課法2-5・課審5-6 法人が支払う「がん保険」(終身保障タイプ)の保険料の取扱いについて(法令解釈通達)
山本英生(2019)『「通達」から読み解く保険税務/第2章5⃣』税務研究会出版局
定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱いに関するFAQ-Q1
上記の通り、がん保険に関する税制は、たびたび改正されており、適用される会計処理は、そのがん保険を契約したタイミングや、保障タイプ、払込期間、解約返戻金の有無により異なります。

がん保険にに関する税制の改正履歴と、適用される会計処理の総まとめは、下記のページをご参照ください。
がん保険の税制の改正履歴と会計処理の総まとめ
下記では、平成24年4月27日~令和元年7月7日以前に契約したがん保険(終身保障&解約返戻金なし)の支払保険料の会計処理を、具体例を使用してご紹介します。 【参考文献】
山本英生(2019)『「通達」から読み解く保険税務/第2章5⃣(2)①ハ』税務研究会出版局
前提条件
A社は全従業員に対して、下記の条件でがん保険を契約している。
・終身保障タイプである
・払込期間も終身である
・毎年3月31日に1年分の保険料2,000千円を後払いする
【ケース1:保険金の受取人が法人】
① 平成23年3月31日(保険料支払時)
借方 貸方
保険料 2,000千円※1 現金預金 2,000千円※1
※1払込保険料
払込保険料を全額、保険料として費用計上します。
【ケース2:保険金の受取人が被保険者で普遍的加入である】
① 平成23年3月31日(保険料支払時)
借方 貸方
福利厚生費 2,000千円※1 現金預金 2,000千円※1
※1払込保険料
払込保険料を全額、福利厚生費として費用計上します。
【ケース3:保険金の受取人が被保険者で普遍的加入でない】
① 平成23年3月31日(保険料支払時)
借方 貸方
給与 2,000千円※1 現金預金 2,000千円※1
※1払込保険料
払込保険料を全額、給与として費用計上します。
次のページでは、平成24年4月27日~令和元年7月7日に契約したがん保険(終身保障&有期払込&解約返戻金あり)の支払保険料の会計処理について具体的にご紹介します。