定期付終身保険の支払保険料の会計処理
(保険料が終身保険と定期保険で明確に区分されていない場合)

【保険料が終身保険と定期保険で区分されていない場合の定期付終身保険の支払保険料の会計処理】

全額を終身保険として法人税基本通達9-3-4に基づいて会計処理
定期付終身保険の支払保険料の会計処理は、終身保険と同様に、現状では通達等で明文化されていません。

そのため、終身保険が養老保険の取扱いを踏襲するのと同様に、定期付終身保険は定期付養老保険の取扱いを踏襲します。

保険料が終身保険と定期保険で明確に区分されていない定期付終身保険の保険料は、全額終身保険として、終身保険の規定(法人税法基本通達9-3-4)を適用して会計処理します。 【参考文献】
中村慈美・樋口翔太(2022)『企業の保険をめぐる税務/第1章1(6)・Q&A10・Q&A11』一般財団法人大蔵財務協会
法人税基本通達9-3-6
【定期付終身保険の受取人保険料の会計処理(保険料が終身保険と定期保険で明確に区分されていない場合)】




契約者 被保険者 死亡保険金の
受取人
支払保険料の
会計処理
法人 役員・使用人 法人 保険積立金等で資産計上
役員・使用人
の遺族
給与として損金計上
法人が自社の役員・使用人を被保険者として定期付終身保険(終身保険と定期保険で保険料が明確に区分されていないもの)を契約した場合、支払う保険料の会計処理は、その保険金の受取人が誰かによって異なります。

死亡保険金の受取人が法人である場合、支払った保険料は、全額保険積立金として資産計上します。

それに対して死亡保険金の受取人が役員・使用人の遺族である場合、支払った保険料は、全額、被保険者である役員・使用人の給与として費用計上します。 【参考文献】
タックスアンサーNo.5363 養老保険の保険料の取扱い
法人税法基本通達9-2-9(12)・9-2-11(5)
法人税法基本通達9-3-4
所得税基本通達36-31
山本英生(2019)『「通達」から読み解く保険税務/第2章2⃣(2)』税務研究会出版局
下記では、定期付終身保険(終身保険と定期保険で保険料が明確に区分されていないもの)の保険料を支払った場合の会計処理を、具体例を使用してご紹介します。
前提条件
A社は従業員に対して、下記の条件で定期付終身保険を契約した。
・X0年4月1日に保険契約を開始した
・X1年3月31日に、X0年4月1日~X1年3月31日分の保険料
 100千円を支払った
【死亡時保険金受取人が法人の場合】
① X1年3月31日(保険料支払時)
借方 貸方
保険積立金 100千円※1 現金預金 100千円※1
※1支払った保険料
支払った保険料は、全額保険積立金として資産計上します。
【死亡時保険金受取人が被保険者の遺族の場合】
① X1年3月31日(保険料支払時)
借方 貸方
給与 100千円※1 現金預金 100千円※1
※1支払った保険料
支払った保険料は、全額給与として費用計上します。
次のページでは、定期付終身保険契約の契約者配当の会計処理の概要について具体的にご紹介します。