令和3年2月28日以前に締結した会社役員賠償責任保険の会計処理
【令和3年2月28日以前に締結した会社役員賠償責任保険の会計処理】
ケース | 会計処理 |
---|---|
取締役会及び社外取締役が過半数の構成員である任意の委員会の同意、又は、社外取締役全員の同意の取得手続きを得て保険料を負担した場合 |
全額単純損金として計上 |
上記以外 |
■株主代表訴訟時担保部分 過大役員報酬等に該当しない限り、役員に対する定期同額給与として損金計上 ※給与課税の対象 ■それ以外 単純損金として計上 |
会社役員賠償責任保険の会計上の取扱いは、令和元年に改正された会社法で変更されています。
改正後の会社法の施行日は令和3年3月1日であり、この改正は同日以降に会社と保険者との間で締結された保険契約にのみ適用されます。
そのため、令和3年2月28日以前に締結された保険契約については、改正前の取扱いが適用されます。
令和3年2月28日以前に締結した会社役員賠償責任保険の会計処理は、その保険料の支払いが適切な決議を得てるか否かで異なります。
具体的には、取締役会及び社外取締役が過半数の構成員である任意の委員会の同意、又は、社外取締役全員の同意の取得手続きを得て保険料を負担した場合、役員に対する経済的利益の供与は無いと考えられ、支払保険料は、役員に対する給与ではなく、単純損金として取り扱われます。
それに対して、この決議を得ずに契約した会社役員賠償責任保険の支払保険料については、支払保険料の内、株主代表訴訟時担保部分については役員に対する経済的利益の供与があったとみなされ、過大役員報酬等に該当しない限り、定期同額給与として損金計上します。
株主代表訴訟時担保以外の保険料については、単純損金として取り扱われます。
株主代表訴訟時担保部分とは、株主から役員が訴えられ、敗訴した場合に備えた保険部分です。
役員が株主から訴えられて敗訴した場合、役員が会社に対して損害を与えていることになるので、この部分の保険料を会社が負担することには、利益相反があること、また、役員負担にすることで違法行為の抑制効果があることなどから、このような取扱いとされています。
改正後の会社法の施行日は令和3年3月1日であり、この改正は同日以降に会社と保険者との間で締結された保険契約にのみ適用されます。
そのため、令和3年2月28日以前に締結された保険契約については、改正前の取扱いが適用されます。
令和3年2月28日以前に締結した会社役員賠償責任保険の会計処理は、その保険料の支払いが適切な決議を得てるか否かで異なります。
具体的には、取締役会及び社外取締役が過半数の構成員である任意の委員会の同意、又は、社外取締役全員の同意の取得手続きを得て保険料を負担した場合、役員に対する経済的利益の供与は無いと考えられ、支払保険料は、役員に対する給与ではなく、単純損金として取り扱われます。
それに対して、この決議を得ずに契約した会社役員賠償責任保険の支払保険料については、支払保険料の内、株主代表訴訟時担保部分については役員に対する経済的利益の供与があったとみなされ、過大役員報酬等に該当しない限り、定期同額給与として損金計上します。
株主代表訴訟時担保以外の保険料については、単純損金として取り扱われます。
株主代表訴訟時担保部分とは、株主から役員が訴えられ、敗訴した場合に備えた保険部分です。
役員が株主から訴えられて敗訴した場合、役員が会社に対して損害を与えていることになるので、この部分の保険料を会社が負担することには、利益相反があること、また、役員負担にすることで違法行為の抑制効果があることなどから、このような取扱いとされています。
【参考文献】
中村慈美・樋口翔太(2022)『企業の保険をめぐる税務/第4章3』一般財団法人大蔵財務協会
中村慈美・樋口翔太(2022)『企業の保険をめぐる税務/第4章3』一般財団法人大蔵財務協会
次のページでは、会社役員賠償責任保険に加入していない場合の訴訟費用の会計処理について具体的にご紹介します。