養老保険の名義を法人から個人へ変更する場合の会計処理

【法人から個人への養老保険名義変更の会計処理】

変更時点の保険料の資産計上額と解約返戻金相当額の差額を、変更日の属する事業年度の益金又は損金の額に算入。
 
 ■仕訳イメージ
 (退職金)XXX (保険積立金)XXX
 (雑損失)XXX (配当積立金)XXX
法人が従業員を被保険者として契約している養老保険について、従業員の退職時などに、契約者名義を被保険者である従業員に変更するケースがあります。

このような場合、名義変更時の解約返戻金の額を退職金として計上し、相手勘定で資産計上している保険積立金や配当積立金を取崩します。

両者の差額は、変更時の雑収入、又は、雑損失に計上します。
下記では、養老保険の名義を法人から個人へ変更する場合の会計処理を、具体例を使用してご紹介します。 【参考文献】
山本英生(2019)『「通達」から読み解く保険税務/第3章5⃣(2)』税務研究会出版局
前提条件
A社は全従業員を対象に養老保険(保険金受取人は法人)を契約しているが、従業員Xの退職に伴い、Xを被保険者とした養老保険契約の名義を、令和2年3月31日にX本人に変更した。
・変更時の保険積立金残高は1,200千円であった
・変更時の配当金積立金残高は200千円であった
・変更時の解約返戻金相当額は1,000千円(保険積立金部分
 800千円+配当金積立金部分200千円)で
 あった
【譲渡側:A社の会計処理】
①令和2年3月31日(名義変更時)
借方 貸方
退職金 1,000千円※3
雑損失 400千円※4
保険積立金 1,200千円※1
配当金積立金 200千円※2
※1変更時保険積立金
※2変更時配当金積立金
※3変更時解約返戻金相当額
※4貸借差額
変更時の解約返戻金相当額を退職金として計上し、相手勘定で保険積立金と配当金積立金を取り消し、両者の差額を雑損益に計上します。
次のページでは、養老保険の名義を個人から法人へ有償で変更する場合の会計処理について具体的にご紹介します。