インボイス制度における郵便切手の取り扱い

【切手の会計処理】

~原則の取り扱い~
■切手購入時:消費税非課税で資産計上
≪仕訳イメージ≫
(貯蔵品)84 (現金預金)84

■切手使用時:課税仕入で費用計上
≪仕訳イメージ≫
(通信費)77 (貯蔵品)84
(仮払消費税)7


⇒ただし、下記の特例が認められる
~特例の取り扱い~
■切手購入時:課税仕入で費用計上
≪仕訳イメージ≫
(通信費)77 (現金預金)84
(仮払消費税)7


⇒原則の方法だとポスト投函時のインボイス
 交付が不可能

⇒インボイス制度の特例として、切手につい
 ては下記の項目を帳簿に記載することで、
 インボイス無しでも
 仕入税額控除が受けら
 れる

≪帳簿記載事項≫
①課税仕入の相手方の氏名または名称
②課税仕入の相手方の住所または所在地
③取引年月日
④取引内容
(軽減税率対象の場合はその旨を記載)
⑤対価の額
⑥”帳簿のみ記載特例”の対象となる旨

※法人税法および所得税法上の経費
 計上するためにレシートの保存は
 必要!!!

※窓口で発送する郵送料(切手代を含む)に
 ついてはインボイスが必要!!!

※レターパックやゆうパック等も同様
 に特例が認められる!!!

※金券ショップでの購入は特例の
 対象外!!!

※代金支払時のレシートが『非課税』となっ
 ていればインボイス不要の特例対象
インボイス制度において、切手等、ポストに投函する郵便物に添付する郵送代については、特例でインボイスを保存していなくても、仕入税額控除が認められています。

切手については、原則の会計処理においてインボイスの入手が不可能であるため、このような特例が設けられています。

ではなぜ、切手のインボイスの入手は不可能とされているのでしょうか?

切手を購入する場合、領収書(レシート)が発行され、郵便代金に消費税額を上乗せした金額を請求されます。

この領収書がインボイスになるのでは?と思うかもしれませんが、そうではないのです。

なぜなら、切手の原則的な会計処理では、切手は購入時に貯蔵品として資産計上し、使用時に通信費等で費用計上します。

そのため、切手の”消費”のタイミングは、郵便物の発送時であり、購入時の取引は”消費”ではないため、非課税取引となっています。

そして、ポスト投函等のタイミングで”消費”が行われるため、”通信費”として計上する時にやっと、課税仕入れとなります。

ポスト投函の取引のインボイスを入手することが実質的に不可能であり、インボイス不要の特例が設けられています。

ここで『切手は実務上、購入時に課税仕入れで費用計上しているのだけど?』と思われた方も多くいらっしゃるかと思います。

そうなのです、切手については原則法での煩雑さを回避するために、法人税・所得税の計算における特例で、使用時ではなく、購入時に費用計上してよいとされています。

そのため、法人税・所得税の計算における特例を採用している場合には、購入時の領収書(インボイス)が発行されているけれど、インボイス不要で仕入税額控除できるという状態になっています。

ただし、インボイス不要の特例を適用する際には、帳簿に上記の①~⑥の事項を記載しなければなりません。

また、このインボイス不要の特例の対象となるのは、ポスト投函等で発送するもののみで、郵便局の窓口で荷物を発送する際等は、原則通りインボイスが必要になります。

さらに、切手等であっても、法人税・所得税上の経費として計上するためには、領収書等の証憑が必要になるため、領収書は必ず保存しておきましょう。

また、この特例は切手だけではなく、レターパックやゆうパック等、送料が付加されたポスト投函用の封筒等を購入した場合も適用できます。

反対に、切手代であっても、郵便局の窓口に持ち込んで発送した際に支払った場合は、課税取引となるため、インボイス不要の特例が認められません。

さらに、金券ショップでの切手等の購入は、その用途が記念切手等の収集である等、郵便での使用以外である可能性があるため、購入時に課税取引となり、インボイス不要の特例は認められません。

特例の対象となるかどうかは、郵便局等への支払いの際のレシートで『非課税』となっているかどうかで判断できます。 【参考文献】
国税庁HPインボイス制度に関するQ&A問1-3・問100・問101・問106-2・問110
次のページでは、インボイス制度における郵便物発送費用の取り扱いについて具体的にご紹介します。