関連当事者の開示の対象となる従業員のための企業年金

従業員のための企業年金は、会社との間で掛金の拠出以外の重要な取引を行う場合に限り『関連当事者』に該当します。

ただし、日本における従業の企業年金には、確定拠出年金制度、確定給付企業年金制度、厚生年金基金制度などがありますが、いずれの場合も掛金の拠出以外の取引を会社と行うことは通常は生じないものであると考えられるため、企業年金が『関連当事者』となるケースは非常に稀であります。

海外子会社については、それぞれの国の企業年金制度に応じて開示対象となる取引が存在するか否かに留意が必要です。
企業年金と会社の間で行う掛金の拠出以外の重要な取引の具体例としては、下記のものが挙げられます。
【企業年金が会社との間で行う重要な取引(掛金の拠出以外)の具体例】

●企業年金が会社に不動産を賃貸している
 取引

●厚生年金基金及び基金型の確定給付企業年
 金が個別指示による運用を行い会社と直接
 行う取引

●厚生労働大臣の承認を受けた場合の借入を
 基金が会社から行う場合

●退職給付信託の年金資産の入替・返還
(関連当事者の開示に関する会計基準第5項(3)⑪・23項
関連当事者の開示に関する会計基準の公開草案に対するコメントの公表『企業年金』)
ただし、従業員のための企業年金については金融商品法上は関連当事者に含まれますが、会社法上は関連当事者に含まれず、関連当事者の取引の開示を行う必要はありません。
(関連当事者の開示に関する会計基準第5項(3)⑪
会社計算規則112条第4項
関連当事者の開示に関する会計基準の公開草案に対するコメントの公表『「目的・範囲」に関して』)
次のページでは、親会社が存在する場合に関連当事者となる者について具体的にご紹介します。