子会社が存在する場合に関連当事者となる者

子会社が存在する場合には、下記の者が『関連当事者』に該当し、これらの『関連当事者』と重要な取引を行った場合は、その取引について開示しなければなりません。
【子会社が存在する場合に関連当事者となる者】

①子会社
  ※連結上での連結子会社は自身のことを
   指すため関連当事者には該当しない

  ※組織形態は会社に限定されず、組合
   その他これに準する事業体も含まれる


②重要な子会社の役員
 子会社の役員に事業運営に強い影響を持つ
 者がいる場合その役員(取締役、会計参与、
 監査役、執行役又はこれらに
 準ずる者)

  ※『これらに準ずる者』とはその地位や
   職務等から実質的に会社の経営に強い
   影響を及ぼしている者を言う

    例:相談役、顧問、執行役員、創業
      者等で役員を退任した者、創業
      者一族

  ※連結上は関連当事者に該当するが個別
   上は該当しない

  ※会社法上は関連当事者の対象外のため
   開示不要


③②の近親者
 二親等以内の親族(配偶者、父母、兄弟、
 姉妹、祖父母、子、孫及び配偶者の父母、
 兄弟、姉妹、
 祖父母並びに兄弟、姉妹、
 子、孫の配偶者)

  ※連結上は関連当事者に該当するが個別
   上は該当しない

  ※会社法上は関連当事者の対象外のため
   開示不要


④②③が自己の計算で議決権の過半数を所有
 している会社

  ※連結上は関連当事者に該当するが個別
   上は該当しない

  ※組織形態は会社に限定されず、組合そ
   の他これに準する事業体も含まれる


⑤④の子会社
  ※連結上は関連当事者に該当するが個別
   上は該当しない

  ※組織形態は会社に限定されず、組合そ
   の他これに準する事業体も含まれる
(関連当事者の開示に関する会計基準第5項(3)②⑨⑩・19項)
子会社は『関連当事者』に該当します。

ただし、連結財務書類上は連結会社(連結親会社+連結子会社)に対しての『関連当事者』であるかで判断されるため、連結財務書類上での連結子会社は自身のことを指すことになり、『関連当事者』には該当しません。
(関連当事者の開示に関する会計基準第5項(2)・(3))
上記で登場する『会社』は、その組織形態は『会社』に限定されず、組合その他これに準する事業体であっても、関連当事者に含まれます。

上記④『重要な子会社の役員及びその近親者が自己の計算で議決権の過半数を所有している会社』について、該当の組織において業務執行組合員が組織の方針を決定している場合は、『議決権の過半数』に代えて、『業務執行を決定する権限』があるかで判断します。
(関連当事者の開示に関する会計基準第5項(4))
連結会社において、例えば、引退後の創業者が子会社の役員を務めているなど、子会社の役員に影響力のある者がいる場合、その役員と連結会社との取引が重要な影響を及ぼすケースがあります。

そのため、このような子会社の役員についても『関連当事者』に含めて開示の対象とする必要性がありますが、一律に子会社の役員全てを関連当事者の範囲に含めると、必ずしも重要な影響を及ぼしていない者が含まれ、開示対象の人数が非常に多くなり、過度な情報収集の負担が作成者に強いられるこから、事業運営に強い影響を持つ者が子会社の役員にいる場合のみ、『関連当事者』に該当するとされています。
(関連当事者の開示に関する会計基準第21項
関連当事者の開示に関する会計基準の公開草案に対するコメントの公表『重要な子会社の役員』
ただし、このような『重要な子会社の役員』及びそれに関連して『関連当事者』となる者(上記の③『その近親者』④『これらの者が自己の計算で議決権の過半数を所有している会社、⑤『その子会社』)については、連結財務諸表上は『関連当事者』の対象となりますが、個別財務諸表上は対象外とされています。
(関連当事者の開示に関する会計基準第5項(3))
さらに、重要な子会社の役員及びその近親者については金融商品法上は関連当事者に含まれますが、会社法上は関連当事者に含まれず、関連当事者の取引の開示を行う必要はありません。
(関連当事者の開示に関する会計基準第5項(3)⑨
会社計算規則112条第4項
関連当事者の開示に関する会計基準の公開草案に対するコメントの公表『「目的・範囲」に関して』)
②『重要な子会社の役員』に該当する『役員』とは、取締役、会計参与、監査役、執行役又はこれらに準ずる者をいいます。
(関連当事者の開示に関する会計基準第5項(7))
『役員に準ずる者』とは、相談役、顧問、執行役員、創業者等で役員を退任した者、創業者一族等、その他これらに類する者でその会社内における地位や職務等からみて実質的に会社の経営に強い影響を及ぼしていると認められる者をいいます。

これらの者は、形式的には役員でないものの、実質的に役員と同様の影響力を持つものであるため、役員と同様に関連当事者として位置づけられています。

『役員に準ずる者』に該当するかどうかは、その影響力等により実質的に判定します。
(関連当事者の開示に関する会計基準第25項
関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針第4項)
さらに、②重要な子会社の役員の『近親者』とは、二親等以内の親族であるとされており、具体的には、配偶者、父母、兄弟、姉妹、祖父母、子、孫及び配偶者の父母、兄弟、姉妹、祖父母並びに兄弟、姉妹、子、孫の配偶者が対象となります。
(関連当事者の開示に関する会計基準第5項(8))
次のページでは、関連会社が存在する場合に関連当事者となる者について具体的にご紹介します。