関連当事者との取引に関する開示

開示対象となる関連当事者との取引がある場合、原則として個々の関連当事者ごとに、以下の項目を開示します。

また、開示の際には『関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針第13項』で定める各グループ別、及び、グループ順に並べて記載します。
【関連当事者との取引に関する開示事項】

①関連当事者の概要
 【法人の場合】
  ・名称
  ・所在地
  ・資本金(出資金)
  ・事業の内容
  ・関連当事者の議決権に対する会社の所
   有割合又は財務書類作成会社の議決権
   に対する関連当事者の所有割合

 【個人の場合】
  ・氏名
  ・職業
  ・財務書類作成会社の議決権に対する関
   連当事者の所有割合


②会社と関連当事者との関係
  ・製品の販売・購入、資金援助等の取引
   関係、役員の兼務等の関係を記載

   ※特記すべき関係がない場合は
    『なし』と記載


③取引の内容
  ・開示対象となる関連当事者との取引の
   内容を記載

   ※形式的/名目的に第三者との取引であ
    るの場合は、下記1・2についても
    要記載

     1,形式上の取引先名

     2,実質的には関連当事者との取引で
      ある旨


④取引の種類ごとの取引金額
  ・開示対象となる関連当事者との取引に
   ついて、取引の種類ごとの金額を記載

   ※営業外損益・特別損益に関連する取
    引で取引総額と損益が相違する場
    合、取引損益も記載

   ※資金貸借取引の場合は、当年度中の
    貸付総額又は借入総額を記載

   ※債務保証等の場合は、保証債務等、
    又は、被保証債務等の期末残高を
    記載
    同時に、保証等をしている・受
    けているのに分けて内容を具体的に
    注記

   ※担保提供又は受入の場合は、担保資
    産に対応する債務の期末残高を記載
    同時に、担保を提供している・受け
    入れているのに分けて内容を具体的
    に注記


⑤取引条件及び取引条件の決定方針
 ※競争的で自由な取引市場が存在しない場
  合で、関連当事者との取引が独立第三者
  間取引と同様の一般的な
  取引条件で行わ
  れた旨を記載する際は、関連当事者以外
  の第三者との取引と比較して同等の取引
  条件であること
  を要記載


⑥取引により発生した債権債務に係る主な科
 目別の期末残高
 ※対象取引が資本取引の場合等の残高は債
  権債務ではないため開示対象外


⑦取引条件の変更があった場合は、その旨、変
 更内容及び当該変更が財務書類に与えてい
 る影響の内容


⑧関連当事者に対する貸倒懸念債権及び破産
 更生債権等に係る情報

 【記載項目】
  ・債権の期末残高に対する貸倒引当金
   残高
  ・当期の貸倒引当金繰入額
  ・当期の貸倒損失額(一般債権に区分さ
   れている場合に貸倒損失が生じた場合
   も含む)

  ※関連当事者の種類ごとに合算して
   記載可


⑨債務保証損失引当金の期末残高や繰入額
 ※⑧に準じて開示
(関連当事者の開示に関する会計基準第10・35・36・37項
関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針第7・8・9・13・15・28項・参考(開示例)1)
①の関連当事者の概要については、関連当事者が個人か法人かにより記載内容が異なります。

関連当事者が法人(会社に準ずる事業体などを含む)である場合は、その名称、所在地、資本金(出資金)、事業の内容、該関連当事者の議決権に対する会社の所有割合又は財務書類作成会社の議決権に対する関連当事者の所有割を記載します。

関連当事者が個人である場合は、氏名、職業、財務書類作成会社の議決権に対する関連当事者の所有割合を記載します。
(関連当事者の開示に関する会計基準第10項(1)
関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針第7項)
②の会社と関連当事者との関係については、製品の販売・購入、資金援助等の取引関係や、役員の兼務等の経営陣のつながりなどの、会社と関連当事者の関係について記載します。

会社と関連当事者との間に、このような特記すべき関係がない場合は『なし』と記載します。
(関連当事者の開示に関する会計基準第10項(2)
関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針参考(開示例)1)
③の取引の内容については、開示対象となる関連当事者との取引の内容を記載します。

対象の取引が、形式的・名目的に第三者との取引で場合には、併せて、形式上の取引先名、及び、実質的には関連当事者との取引である旨についても記載します。
(関連当事者の開示に関する会計基準第10項(3))
④取引の種類ごとの取引金額については、開示対象となる関連当事者との取引について、資金の借入・利息の支払等の取引の種類ごとに、取引金額を記載します。
(関連当事者の開示に関する会計基準第10項(4)
関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針参考(開示例)1)
対象の取引が営業外収益・営業外費用・特別利益・特別損失に関連するもので、取引総額と損益が相違する場合には、その取引金額と併せて、取引損益についても記載します。
(関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針第15項(1)②③)
対象の取引が資金貸借取引の場合は、当年度中の貸付金額又は借入金額の総額を取引金額として記載します。
(関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針第9項(1))
対象の取引が債務保証等の場合は、保証債務等(被保証債務等)の期末残高を取引金額として記載します。

同時に、注記において、保証等をしている・受けているのに分けて、その内容を具体的に記載します。
(関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針第9項(2))
対象の取引が担保提供又は受入れの場合は、担保資産に対応する債務の期末残高を取引金額として記載します。

同時に、注記において、担保を提供している・受け入れているのに分けて、その内容を具体的に記載します。
(関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針第9項(3))
⑤の会社と関連当事者との取引条件については、関連当事者との取引が会社の財務書類にどの程度影響を与えているかを理解する上で有用な情報であるため、開示項目の1つに含まれています。

競争的で自由な取引市場が存在しない場合で、関連当事者との取引が独立第三者間取引と同様の一般的な取引条件で行われた旨を記載する際は、関連当事者以外の第三者との取引と比較して同等の取引条件であることを要すると考えられます。
(関連当事者の開示に関する会計基準第35・36項)
⑥の期末残高については、開示対象の取引から発生した債権債務に係る主な科目別の期末残高を記載します。
(関連当事者の開示に関する会計基準第10項(6))
対象の取引が資本取引の場合の残高は、債権債務には該当しないため、この『期末残高』の開示は必要ありません。
(関連当事者の開示に関する会計基準第28項)
⑧の関連当事者に対する貸倒懸念債権及び破産更生債権等に係る情報については、債権の期末残高に対する貸倒引当金残高、当期の貸倒引当金繰入額等、当期の貸倒損失額(一般債権に区分されている場合に貸倒損失が生じた場合も含む)を記載します。

開示については、関連当事者ごとではなく、『関連当事者の開示に関する会計基準第5項(3)』で定められている関連当事者の種類ごとに合算して記載することもできます。
(関連当事者の開示に関する会計基準第10項(8)・37項
関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針第8項)
また、⑨債務保証損失引当金の期末残高や繰入額についても、⑧の関連当事者に対する貸倒懸念債権及び破産更生債権等に係る情報に準じてて開示します。
(関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針第8項)
下記では、関連当事者との取引に関する開示について、具体例を使用してご紹介します。(参考:関連当事者の開示に関する会計基準の適用指針参考(開示例)1)
(1) 親会社及び法人主要株主等
種類 会社等の名称 所在地 資本金
又は
出資金
(百万円)
事業の内容 議決権等の所有(被所有)割合 関連当事者との関係 取引の内容 取引金額
(百万円)
科目 期末残高
(百万円)
親会社 A社 東京都
港区
100,000 半導体製造 被所有
直接51%
当社製品の販売
役員の兼任
半導体製品
の販売
(注1)
資金の借入
(注2)
利息の支払
(注2)
100


300

3
受取手形
及び売掛金

長期借入金

その他の
流動資産
30


200

3
その他の
関係会社
(当該その他の関係会社の親会社を含む)
B社 東京都
港区
5,000 半導体
製造・販売
被所有
直接20%
間接 2%
B社製品の購入及び設備の賃貸 原材料の購入
(注3)
建物の賃貸
(注4)

当社の銀行借入金に対する土地の担保提供
(注5)
100

30


150
支払手形
及び買掛金
その他の固定負債(預り保証金)
40

2


主要株主(法人) C社 東京都
港区
30,000 半導体製造 被所有
直接10%
間接1%
技術援助契約
の締結
技術料の支払(注6) 30 その他の
流動負債
6






















上記の金額のうち、取引金額には消費税等が含まれておらず、期末残高には消費税等が含まれている。
取引条件及び取引条件の決定方針等
(注1)独立第三者間取引と同様の一般的な取引条件で行っている。
(注2)資金の借入については、借入利率は市場金利を勘案して利率を合理的
  に決定しており、返済条件は期間5年、1年据置き、半年賦返済として
  いる。
  なお、担保は提供していない。
(注3)原材料の購入については、B社以外からも複数の見積りを入手し、市場
  の実勢価格を勘案して発注先及び価格を決定し ている。
(注4)建物の賃貸については、近隣の取引実勢に基づいて、2年に一度交渉の
  上、賃貸料金額を決定している。
(注5)当社の銀行借入金に対する土地の担保提供については、B社からの原材
  料購入のための資金借入れに対するものである。
(注6)技術料の支払については、C社より提示された料率を基礎として毎期交
  渉の上決定している。
(2) 関連会社等
種類 会社等の名称 所在地 資本金
又は
出資金
(百万円)
事業の内容 議決権等の所有(被所有)割合 関連当事者との関係 取引の内容 取引金額
(百万円)
科目 期末残高
(百万円)
関連会社
(当該関連会社の子会社を含む)
D社 東京都
港区
100 情報処理
サービス業
所有
直接25%
役務の受入れ
役員の兼任
コンピュータ・プログラムの
外注
(注1)
増資の引受
(注2)
10



50
支払手形
及び買掛金


3



E社
(注3)
東京都
港区
600 サービス業 所有
直接60%
資金の援助
役員の兼任
資金の貸付
(注4)
利息の受取
(注4)
100

10
長期貸付金
(注8)
その他の
流動資産
100

5
F社 東京都
港区
500 サービス業 なし なし 債権放棄
(注5)
50
G社 東京都
港区
400 小売業 所有
直接25%
半導体の販売
役員の兼任
半導体の売上
(注6)
100 更生債権その他これに準ずる債権
(注8)
20
H社 東京都
港区
300 小売業 所有
直接30%
資金の援助 資金の貸付
(注7)
50 更生債権その他これに準ずる債権
(注8)
50






















上記の金額のうち、取引金額には消費税等が含まれておらず、期末残高には消費税等が含まれている。
取引条件及び取引条件の決定方針等
(注1)コンピュータ・プログラムの外注については、D社から提示された価格
  と、他の外注先との取引価格を参考にしてその都度交渉の上、決定して
  いる。
(注2)当社が D社の行った第三者割当増資を1株につき2,000円で引き受けた
  ものである。
(注3)共同支配企業である。
(注4)E社に対する資金の貸付については、市場金利を勘案して利率を合理的
  に決定しており、返済条件は期間3年、半年賦返済としている。なお、
  担保は受け入れていない。
(注5)債権放棄については、経営不振のF社の清算結了により行ったもので
  ある。
(注6)市場価格、総原価を勘案して、当社希望価格を提示し、毎期価格交渉
  の上、取引条件を決定している。
(注7)資金の貸付については、X1年4月より無利息としている。
(注8)関連会社(当該関連会社の子会社を含む。)への更生債権等に対し、
  合計70百万円の貸倒引当金を計上している。
  また、当連結会計年度に
  おいて合計50百万円の貸倒引当金繰入額を計上している。
(3) 兄弟会社等
種類 会社等の名称 所在地 資本金
又は
出資金
(百万円)
事業の内容 議決権等の所有(被所有)割合 関連当事者との関係 取引の内容 取引金額
(百万円)
科目 期末残高
(百万円)
親会社の子会社 I社
(A社の子会社)
東京都
港区
1,000 卸売業 なし 当社の製品の
販売
半導体製品
の販売
(注1)
事業譲渡
(注2)
譲渡資産合計
譲渡負債合計
譲渡対価
事業譲渡益
50




150
50
110
10
受取手形
及び売掛金






5







その他の関係会社の子会社 J社
(B社の子会社)
東京都
港区
100 半導体製造業 被所有
直接2%
なし 旧君津工場跡地の譲渡
(注3)
売却代金
売却損
有価証券の売却
(注4)
売却代金
売却益



100
10



20
5



その他の
固定資産







50





主要株主(法人)が議決権の過半数を所有している会社
(当該会社の子会社を含む)
K社
(C社の子会社)
東京都
港区
150 リース業 被所有
直接1%
製造設備
のリース
支払リース料
(注5)
未経過リース料
期末残高相当額
(注5)
支払利息相当額
30

10



3
その他の
流動資産
15





























上記の金額のうち、取引金額には消費税等が含まれておらず、期末残高には消費税等が含まれている。
取引条件及び取引条件の決定方針等
(注1)価格その他の取引条件は、市場実勢を参考に当社が希望価格を提示
  し、価格交渉の上で決定している。
(注2)事業譲渡については、親会社の方針に基づいてコネクター部門の事業
  を譲渡したものであり、当社の算定した対価に基づき交渉の上で
  譲渡価格を決定している。
(注3)売却価格は不動産鑑定士の鑑定価格を参考にして交渉により決定して
  おり、支払条件は引渡時50%、残金は5年均等年賦払、金利は年9%で
  ある。
(注4)有価証券の売却価格は、取引直近日の東京証券取引所の終値により決
  定しており、支払条件は一括現金払いである。
(注5)リース料については、提示された見積りを他社より入手した見積りと
  比較の上、交渉により決定している。
(4) 役員及び個人主要株主等

種類 会社等の名称又は氏名 所在地 資本金
又は
出資金
(百万円)
事業の内容
又は職業
議決権等の所有(被所有)割合 関連当事者との関係 取引の内容 取引金額
(百万円)
科目 期末残高
(百万円)
主要株主(個人)及びその近親者 佐藤花子 L社代表取締役 被所有
直接10%
前当社取締役
L社は当社の販売代理店
L社への半導体製品の販売
(注1)
30 更生債権その他これに準ずる債権
(注11)
15
佐藤次郎 なし 佐藤花子の配偶者 君津支店用地予定の土地の購入
(注2)
50 その他の
流動負債
30
佐藤太郎 なし 佐藤花子の父
土地の賃借
駐車場用地
の賃借
(注3)
12 その他の
流動負債
2
役員及びその近親者 中村三郎 当社相談役 被所有
直接1%
土地の賃借 福利厚生施設用地の賃借
(注3)
24 その他の流動資産 4
中谷由紀 当社取締役 被所有
直接0.5%
債務保証 債務保証
(注4)
保証料の受入れ
(注4)
50

1




元永太一 当社取締役 被所有
直接0.5%
債務被保証 当社銀行借入に対する債務被保証
(注5)
200
松田雄大 当社取締役
M社代表取締役専務
被所有
直接1%
M社は商品仕入先 M社からの商品仕入れ
(注6)
300 支払手形
及び買掛金
50
主要株主(個人)及びその近親者が議決権の過半数を所有している会社
(当該会社の子会社を含む)
N社
(注7)
東京都
港区
3,000 不動産業 なし 倉庫の賃借 賃借料の支払
(注8)
24 その他の
流動資産
2
役員及びその近親者が議決権の過半数を所有している会社
(当該会社の子会社を含む)
P社
(注9)
東京都
港区
5,000 建設業 なし なし 光工場の
建物の建設
(注10)
500 その他の
流動負債
300












































上記の金額のうち、取引金額には消費税等が含まれておらず、期末残高には消費税等が含まれている。
取引条件及び取引条件の決定方針等
(注1)価格等の取引条件は、市場の実勢価格等を参考にして、その都度交渉
  の上で決定している。
(注2)近隣の取引実勢等に基づいて決定している。
(注3)近隣の地代を参考にした価格によっている。
(注4)中谷由紀の銀行借入(50百万円、期限10年)につき、債務保証を行った
  ものであり、年率2%の保証料を受領している。
(注5)当社は、銀行借入に対して取締役元永太一より債務保証を受けてい
  る。なお、保証料の支払は行っていない。
(注6)松田雄大が第三者(M 社)の代表者として行った取引であり、独立第三者
  間取引と同様の一般的な取引条件で行っている。
(注7)当社の主要株主佐藤花子が議決権の100%を直接所有している。
(注8)賃借料の支払については、近隣の取引実勢に基づいて、2年に一度交渉
  の上賃借料金額を決定している。
(注9)当社役員中村三郎が議決権の51%を直接保有している。
(注10)数社からの見積りを勘案して発注先と価格を決定しており、
  支払条件は第三者との取引条件と比較して同等である。
(注11)主要株主への更生債権等に対し、15百万円の貸倒引当金を計上してい
  る。また、当連結会計年度において14百万円の貸倒引当金繰入額を
  計上している。
次のページでは、親会社が存在する場合の関連当事者の存在に関する開示について具体的にご紹介します。