貸倒引当金の引当対象となる
債権

貸倒引当金の引当対象になる債権は、主に回収を目的とした債権です。

代表的なものとしては、売掛金・受取手形などの売上債権や貸付金や未収入金などが挙げられますが、その範囲は多岐にわたります。

国税庁のタックスアンサーNo.5500では、『一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の対象となる金銭債権の範囲』が具体的に例示されており、検討対象の債権が貸倒引当金の引当対象になるか判断する際に、参考になります。

ただし、ここに例示されているものはあくまでも『法人税法上の一括評価金銭債権』となるものの例示であるため、これ以外であっても貸倒引当金の引当対象になる債権が存在することに留意が必要です。
【貸倒引当金の引当対象となるもの】

・売掛金

・ファイナンシャル・リース取引の
 リース料の内、支払期日の到来前のもの

・受取手形

・先日付小切手

・貸付金

・未収の譲渡代金

・未収加工料

・未収請負金

・未収手数料

・未収保管料

・未収地代家賃

・未収の損害賠償金

・貸付金の未収利子

・他人のために立替払をした場合の立替金
 (将来費用・資産になる予定のものを除く)

・保証債務を履行した場合の求償権
反対に、将来の資産又は費用となる見込である費用性資産や、敷金や保証金などの預けること自体が目的である債権など、主に回収を目的としいない債権については、貸倒引当金の引当対象にはなりません

また、公的機関に対する債権・未収金についても、貸倒引当金の引当対象外となります。

国税庁のタックスアンサーNo.5500では、『一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の対象となる金銭債権の範囲』では、一括評価金銭債の対象とならない債権についても、具体例が列挙されており、検討の際の参考になります。
【貸倒引当金の引当対象とならないもの】

・預貯金およびその未収利子

・公社債の未収利子

・未収配当

・保証金

・敷金

・預け金

・手付金

・前渡金

・将来精算される費用の前払&仮払
 (例:前払給料,概算払旅費,前渡交際費)

・金融機関における他店為替貸借の決済取引
 に伴う未決済為替貸勘定

・証券会社または証券金融会社に、借株の
 担保として差し入れた信用取引に係る株式
 の売却代金に相当する金額

・雇用保険法、雇用対策法、障害者の雇用
 の促進等に関する法律等の法令の規定に
 基づき交付を受ける給付金等の
 未収金

・仕入割戻しの未収金

・保険会社における代理店貸勘定の金額

・未決済デリバティブ取引に係る差金勘定等
 の金額

・特定目的会を用いて売掛債権等の証券化を
 行った場合において、その特定目的会社の
 発行する証券等のうちその
 法人が保有す
 ることとなったもの
【根拠資料】
タックスアンサーNo.5500一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の対象となる金銭債権の範囲
次のページでは、貸倒見積高の算定における債権の区分について具体的にご紹介します。