仮想通貨交換業者が他の仮想通貨交換業者へ預けた仮想通貨の会計処理

仮想通貨交換業者が他の仮想通貨交換業者の利用者として取引を行っている場合、保有する仮想通貨を売却した後や、仮想通貨の送付の際に、自己が保有する仮想通貨を他の仮想通貨交換業者へ預けることがあります。

仮想通貨交換業者が自己保有している仮想通貨については、自社が管理している場合も他の仮想通貨交換業者に預け入れている場合も、勘定科目はどちらも「自己保有暗号資産」で資産計上します。

ただし、両社を区分管理するために、その中科目として自社で管理するものは「保管暗号資産」、他の仮想通貨交換業者に預け入れているものは「預け暗号資産」の勘定管区を使用することができます。
 
【仮想通貨交換業者が他の仮想通貨交換業者へ預けた仮想通貨の勘定科目】

「自己保有暗号資産」で資産計上

 ※ただし、中科目として下記の
  勘定科目の使用も可能

  自社で管理するもの
   ⇒「保管暗号資産」

  他の仮想通貨交換業者に預け入れている
  もの
   ⇒「預け暗号資産」
(暗号資産取引業における主要な経理処理例示Ⅲ1(1)(注2)・(4)ロ・ニ)
下記では、仮想通貨交換業者が他の仮想通貨交換業者へ仮想通貨を預入・払出に関する仕訳について、具体例を使用してご紹介します。(参考:暗号資産取引業における主要な経理処理例示Ⅲ1(1)(注2)・(4)ロ・ニ)
前提条件
仮想通貨交換業者であるA社は、下記のように仮想通貨交換業者であるB社との間で仮想通貨の預入・払出を行った。

・X1年4月1日にB社に対して仮想通貨X10単位の預け入れを
 受けた

・X1年4月1日における仮想通貨XのA社における帳簿価額は
 1単位当り100千円であった

・X1年5月1日にB社に預けているか仮想通貨Xを5単位払い
 出した

・A社の決算日は3月31日である
【A社の会計処理】
① X1年4月1日(B社への預入時)
借方 貸方
自社保有暗号資産
(預け暗号資産)
             1,000千円※1
自社保有暗号資産
(保管暗号資産)
             1,000千円※1
※1預入時の仮想通貨Xの帳簿価額@100千円×10単位
B社へ預け入れた仮想通貨の帳簿価額を同じ自社保有暗号資産の勘定科目の中で、中科目「保管暗号資産」から「預け暗号資産」へ振替えます。
② X1年5月1日(B社からの払出時)
借方 貸方
自社保有暗号資産
(保管暗号資産) 500千円※2
自社保有暗号資産
(預け暗号資産) 500千円※2
※2払出時の仮想通貨Xの帳簿価額@100千円×5単位
B社から払い出した仮想通貨の帳簿価額を同じ自社保有暗号資産の勘定科目の中で、中科目「預け暗号資産」から「保管暗号資産」へ振替えます。
次のページでは、仮想通貨交換業者が他の仮想通貨交換業者から仮想通貨を買い付けた場合の会計処理について具体的にご紹介します。