仮想通貨利用者の期末における仮想通貨の評価に関する会計処理

仮想通貨の期末評価における取り扱いは、保有している仮想通貨に、活発な市場が存在するかどうかで異なります。
(資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取り扱い第38項)
活発な市場が存在する仮想通貨の場合、期末において市場価格に基づく価格で仮想通貨を評価し、貸借対照表に計上します。帳簿価額と評価額の差額は、当期の損益として処理します。
(資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取り扱い第5・36・38・40項)
期末評価に使用する市場価格としては、仮想通貨取引所や仮想通貨販売所での取引価格などを用いることが想定されます。

仮想通貨取引では、個々の取引所や販売所ごとに異なる価格が設定されているため、同一の仮想通貨であっても複数の取引価額が存在します。

期末評価の際には、保有する仮想通貨の種類ごとに、自己の取引実績の最も大きい仮想通貨取引所又は仮想通貨販売所の取引価格を使用しなければなりません。

その際に、期末における取引価格が無い場合は、気配値又は仮想通貨販売所が提示する価格を取引価格の代用として使用することも可能です。

なお、期末評価に用いる市場価格は、取得又は売却に要する付随費用は含めずに算定します。 (資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取り扱い第4(7)・9・48・49項)
それに対して、活発な市場が存在しない場合は、原則として取得原価をもって貸借対照表に計上します。

活発な市場が存在しない仮想通貨は、時価を客観的に把握することが困難であることが多いこと、正直ちに売買・換金を行うことに事業遂行上等の制約があることから、このような取り扱いとされています。

ただし、期末における処分見込価額が取得原価を下回る場合は、過大な帳簿価額を減額し損失を将来に繰り延べないため、その処分見込価額(ゼロ又は備忘価額を含む)をもって貸借対照表に計上し、取得価額と処分見込価額の差額は当期の損失として処理します。

具体的な処分見込み価額については、第3者との相対取引を行った場合に想定される価格等が例として挙げられます。

なお、資金的な裏付けのある価格の把握が困難な場合については、ゼロ又は備忘価額を処分見込価額で評価すると考えられています。

また、計上した損失については、保守的に切放し法を適用し、翌期以降で戻入を行うことはありません。
(資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取り扱い第6・7・37・38・40・41・42・43・44項
「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い(案)」に対するコメント5)
【仮想通貨の期末評価】
⓵活発な市場が存在する仮想通貨の場合
  市場価格に基づく価格で評価
 ⇒評価損益はPL計上
  
※市場価格としては、仮想通貨の種類ごとに 自己の取引実績の最も大きい取引所又販売 所の取引価格を使用
  
※取引価格がない場合は、気配値・仮想通貨 販売所が提示する価格で代用
  
※市場価格は、取得又は売却の付随費用は含 めずに算定

②活発な市場が存在しない仮想通貨の場合
  取得原価でBS計上
  
※期末処分見込価額が取得原価を下回る場合 は処分見込価額で評価
 ⇒評価損はPL計上(切放し法)

   ただし、期末処分見込価額の見積りが困難 な場合、ゼロ又は備忘価額で評価すると考 えられる
次のページでは、仮想通貨利用者の仮想通貨売却時の会計処理について具体的にご紹介します。